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金融レポート・金融行政方針

地域金融機関に対する金融規制当局の最新動向 ~金融レポート・金融行政方針をふまえて~

2018.03.20

【Summary】

地域金融機関に対する金融規制当局の最新動向 ~金融レポート・金融行政方針をふまえて~

  • 金融庁は、過半数の地域銀行で本業利益が赤字となっており、一部の銀行では当期純利益を確保するため、有価証券運用による短期的な収益への依存が高まっているとしています。
  • 足元の健全性に問題はないものの、多くの地域銀行で本業収益の低下が続くといった問題を抱えていることから、経営余力があるうちに早期に持続可能なビジネスモデルの構築を図る必要があると指摘しています。
  • 平成29事務年度は、ビジネスモデルの持続可能性に深刻な問題がある銀行への検査などにより、持続可能なビジネスモデル構築に向けた対応を促していくほか、予期せぬ経済・市場環境の変化等に対しても健全性を維持できるようリスク管理態勢が構築されているか検証を行っていくとしています。
  • 【平成28事務年度金融レポート】

    • 地域金融機関の現状と課題
      収益は前回レポートの試算結果を上回るペースで減少しており、短期的な収益への依存やアパート・マンションローンなどにより融資の量的拡大を図る動きがみられました。
    • 企業アンケート調査
      信用力が低い、または経営課題を抱える企業への金融仲介の取組みが不十分となっている一方で、課題解決に向けたサービス提供が取引拡大につながる状況がみられました。
    • アパート・マンションローン
      金融機関の健全性に直ちに影響を及ぼす状況ではありませんが、審査管理や借り手に対するリスクの説明が不十分な状況が存在しました。

    【平成29事務年度金融行政方針】

    • 持続可能なビジネスモデルの構築
      深刻な問題をもつ金融機関への検査による経営課題の特定および解決への対応促進、ならびにKPIを活用した深度ある対話と、金融仲介機能の「見える化」の促進を行っていくとしています。
    • 経済・市場環境の変化への対応
      有価証券の運用態勢およびアパート・マンションや不動産向け融資等のモニタリングと、外貨流動性リスク管理の高度化の促進を行っていくとしています。
    • 金融ビジネスの環境変化に対応したガバナンスの発揮
      金融機関の中には、希望的観測に頼った経営を行う先や、ビジネスモデルについて必要な改革を行わない先、外部牽制が働いていない先が存在するとしています。経営陣、社外取締役などによる機動的かつ効果的なガバナンスが発揮されているか、実態を調査し、それを基に深度ある対話を行っていくとしています。

    【How we see it】

    • 平成29事務年度の金融行政方針では、経営環境が厳しさを増す中にあって、抜本的な経営改革に向き合おうとしない経営者がいることを鋭く指摘しています。そして、早期に経営改革に着手しなければ手遅れになるとの当局の強い危機意識がうかがわれます。
    • 金融モニタリングでは、持続可能なビジネスモデルの構築に向けた経営陣の取組状況が重点的に検証されることになります。金融機関の経営状況を正確に把握した上で、課題解決に向けた対応策を策定し、組織的・継続的な取組みにつなげていくことが、経営陣にとっては重要になっています。

    【筆者】

    新日本有限責任監査法人
    エグゼクティブディレクター 小林 謙太郎
    大蔵省・金融(監督)庁において幅広く金融検査・監督行政に従事。 新日本有限責任監査法人入所後は、当局検査動向やリスク管理等に関するセミナー活動などに従事。

    ※所属・役職等は掲載当時

    【本件に関するお問い合わせ】

    新日本監査法人 金融事業部
    Tel: 03 3503 1088
    Email: RAAT@jp.ey.com

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