業種別
FinTech

FinTechをめぐる金融規制の動向 銀行法等の改正の概要とその対策について

2016.07.19
安達 知可良
新日本有限責任監査法人
金融アドバイザリー部 シニアマネージャー
公認情報システム監査人(CISA)、公認情報セキュリティマネージャー(CISM)、ITコーディネータ(ITC)
金融機関、および金融機関にサービス提供するIT企業に対する、金融検査マニュアルやFISC((公財)金融情報システムセンター)の各種ガイドラインをベンチマークとしたシステム監査、SOCR(Service Organization Control Reporting:受託業務に係る内部統制の保証報告書)などの保証業務の対応経験多数。
現在、EY JapanのFinTech推進室のメンバーとして、FinTechベンチャー、金融機関双方に対するサービス展開を支援している。

Summary

  • 5月25日、金融庁のワーキング・グループが2015年12月に公表した報告書に基づく銀行法、資金決済法(資金決済に関する法律)、犯収法(犯罪による収益の移転防止に関する法律)等の改正法が成立した。
  • 銀行法等の改正により、銀行によるFinTechベンチャー企業への出資の容易化や、仮想通貨交換業者への規制の適用など、FinTechに係る法制の環境整備が一歩前進することとなる。
  • 改正法は2017年4月の施行が見込まれており、ベンチャー企業を活用した金融機関のイノベーション促進により、サービス品質および利用者の利便性の向上が期待されている。

FinTechをめぐる制度面での対応

ITの進展に伴う技術革新への対応 IT企業への出資を容易にするため、「銀行業の高度化」、「銀行の利用者の利便の向上」に資するまたは資すると見込まれる業務を営む会社を、内閣総理大臣の認可を受けたうえで、銀行や銀行持株会社の子会社とすることが可能となる。
銀行業務をサポートする業務(従属業務)を営む子会社等のうち、IT投資の戦略的な実施に際し、複数の金融グループ間の連携・共同が強く求められる業務(システム運用・ATM保守)について、収入依存度規制が緩和される。
仮想通貨への対応 改正資金決済法において財産的価値(電子的方法により記録されているもの)であり通貨建資産(預金通貨等)ではないもの、転々流通性が要求されること等の仮想通貨の要件が法的に定義され、仮想通貨の範囲が一定程度明確になった。
仮想通貨交換業者は登録制となり、金融庁の監督下に置かれる。
仮想通貨交換業者に対して情報の安全管理措置、利用者の財産の分別管理、公認会計士または監査法人による定期的な監査等の行為規制が義務付けられた。
マネロン、テロ資金供与への対策として、仮想通貨交換業者が犯収法上の特定事業者に加えられ、取引時確認、確認記録・取引記録の作成・保存、疑わしい取引の当局への届出等の義務が課された。

How we see it

  • 銀行や銀行持株会社は、これまでよりIT企業への出資が容易となるが、基準議決権数を超える議決権の取得・保有には当局の認可が求められることに留意が必要。
  • 仮想通貨交換業者には行為規制が要求されるため、施行までに規制に耐えうる態勢の整備が望まれる。
Fintech関連サービス
【参考資料】
Fintech関連サービス (PDF:305KB)

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