業種別
ブロックチェーン

ブロックチェーン・テクノロジー: デジタル化における新しいプラットフォーム

2016.06.24

ブロックチェーン・テクノロジー: デジタル化における新しいプラットフォーム社会のデジタル化が進み、保険の販路がますます多様化し複雑化するにつれて、保険商品または保険会社を選択する際の顧客の期待も高まっています。こうした保険の販売における特定のバリューチェーンがコモディティ化するにつれて、顧客はブランド情報や保険会社の業績開示の透明性に基づいて選択を行うようになります。規制強化によって保険会社のビジネスプロセスに対する誠実性、統制、透明性が強化され、カスタマーエクスペリエンスが重視されています。しかし、保険会社がイノベーションに対する準備を整えておかない限り、顧客または規制当局が逆に保険会社に対して革新を迫る事態になりかねません。

本稿は、特にブロックチェーンのテクノロジーの誕生から、保険市場におけるイノベーションがどのように保険会社に必要な将来のインフラに寄与することができるか、そしてこの新しいテクノロジーを、顧客と保険会社間の信頼の連鎖を強化するために、どのように用いることができるかについて掘り下げます。また、ブロックチェーンの主な特徴と機会を特定し、保険業界のデジタル化に対する準備状況を明らかにするとともに、全体のイノベーションおよびリスクマネジメント戦略の中でブロックチェーンが演じる役割と、業界の最新動向についても考察しています。

ブロックチェーンのシステムは取引の分散型元帳であり、消費者の行動と、一連の取引に関する元帳が裏付ける資産とを結び付ける複数層のテクノロジーです。従来の元帳同様、個々の取引(固有のブロック)は元帳(チェーン)に加えられ、削除されることはありません。このため、完全な監査証跡が維持されます。適切な暗号化権限を持つ者なら誰でも(消費者、保険会社、監査人または規制当局)この元帳のコピーにアクセスすることができ、過去の取引を検証することができます。したがって、(情報の)提供者の必要性次第で、民間または公共ベースの元帳が実質的に存在することが可能になります。

簡単な例として保険契約を挙げてみることにしましょう。この取引、または参加者の身元、機密データ、契約はまとめてブロックチェーンの元帳に記録されます。将来行われる保険金支払、契約内容の修正、または保険請求の際、この保険契約は取引の正確性によって即座に参加者から独立した立場で検証されます。

ブロックチェーンは設計上、ハッシュ機能の使用と数学的な操作の繰り返しにより取引の証跡を残し、取引情報を作成します。人間の指紋と同じように、これは一方通行の動きとなります。指紋は人物を特定できる識別法ですが、指紋から人間を作ることはできません。ハッシュ機能も同様に一方通行で、ハッシュ機能を用いたハッシュバリューは特定データを識別してデータを複製することができます。

ブロックチェーンが保険会社に与える主な影響は以下の通りです。

不正発見とリスク回避

ブロックチェーンは完全な裏付けとなる取引記録とともに、顧客、保険証券、保険金請求の正確性を独立した立場で検証するための、分散化されたデジタルレポジトリを提供します。ブロックチェーンのメカニズムを用いることでエラーや不注意をなくし、不正を発見できる可能性があります。このため、信頼できる第三者の役割が不要となり、重複する取引を防ぎ、全取引の検証可能な公的記録を提供します。

デジタルによる保険金請求管理

携帯電話のカメラを証拠として用いるなど、タイムリーなデータ送信や損害査定のコストの削減に寄与することができます。モバイルテクノロジーを活用して自然災害の発生時の保険金支払いを容易にするなど、デジタルを駆使した保険金請求管理を実施できます。

新たな販売手法

特に新興市場における保険販売を促進するため、不動産、資産運用、知的財産権にブロックチェーンをどのように用いることができるかについて、現在、大手保険会社が調査を進めています。特に意欲的なのが米国の保険会社で、専門チームを立ち上げ、資産のトラッキング、不正コストの引き下げ、クライアントとの新たなコミュニケーション手法の確立などを積極的に模索しています。また、再保険の新たな販路を開拓するため、販売に関する新たな提携先を求めたり、リアルタイムの記録を管理したりすることにより、デジタル、サイバー、保険金請求における新たな機会を開拓しています。

新たなサイバー関連商品

ブロックチェーンはネットワークや、データポイント、スイッチ、ルーター、イベントログ、バイナリーから構成されるデジタル資産の正当性に重点を置くため、ネットワークの状態を独立した立場で、リアルタイムに検証することが可能です。このことは、サイバーソリューションの保険証券の文言においては、損害保険の保険証券における原証券の扱いと似た方法で、ブロックチェーンの基準が保証として用いられることを意味しています。保険会社はブロックチェーンを用いて、ビットコインの盗難に対する保険や、ビットコイン会社の従業員の盗難やハッキングに対する保証、テクノロジーをカバーするサイバー保険など、最新のサイバー関連商品の開発を行っています。

英文オリジナルレポートと併せてご確認ください。

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