業種別
ソルベンシー

キャッシュ、資本、そして配当: ソルベンシーⅡが保険業界の投資家に与える影響

2016.06.28

キャッシュ、資本、そして配当: ソルベンシーⅡが保険業界の投資家に与える影響2012年から2016年第1四半期にかけて、欧州の保険会社の株価は収益性の向上と配当性向の高さ、ビジネスモデルや指標の簡略化を受けて、堅調に推移してきました。投資命題の中心となったのは「キャッシュの生成」でした。しかし、こうした投資命題もSolvency Ⅱの導入により、根本的な見直しの必要性が生じています。低成長と低金利環境が続くなか、新規制は投資家に配当増加の持続可能性を見直すきっかけを与えてきました。

Solvency Ⅱが保険業界への投資家に与える影響は、まだ十分に理解されていません。早期対応を行った企業の開示の多くは、Solvency Ⅱの枠組みや、資本とソルベンシー資本要件(SCR)の構成要素、Solvency Ⅰとeconomic capitalの細かな調整といった説明に終始しています。しかし、大手保険会社の決算報告と投資家向け説明会から、新規制が及ぼす影響について、全体像が次第に明らかになってきています。こうした決算報告と説明会では、投資家の示した資本不足や減配の懸念への対応が行われましたが、まだ多くの疑問が残されています。本稿では、投資家が保険会社の配当やバリューに関してどのような期待を抱いているかを理解するため、保険会社が対応すべき5つの疑問について取り上げます。

  • 1. 保険会社は現在および将来の配当が制約を受けないような、適切で安定した自己資本比率を設定しているか?
  • 2. 期待成長率はどのくらいか、これは投資家の投資収益率にどのように反映されているか?
  • 3. 保険会社は低成長、低金利下で配当を継続し収益を拡大し続けることができるか?
  • 4. 収益と資本の増加は、どのように株主の利用可能なフリー・キャッシュフローに転換されているか?
  • 5. 保険会社は新事業の価格設定を合理的に行っており、正確な見積もりによる仮定を通じて将来の利益を獲得しているか?

EYは上記の質問や課題について、保険会社がこれまでにどのように回答しているかに注目していますが、Solvency Ⅱ に関して言えば、保険会社はまだ自社の価値提案を明確に示してはおらず、投資家が戦略的な導入を評価するための手法も提供していません。

英文オリジナルレポートと併せてご確認ください。

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