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リスク管理

変動の激しい市場における流動性リスク管理とは - 高利回りを求めて

2016.09.06

変動の激しい市場における流動性リスク管理とは - 高利回りを求めてEYは1年以上をかけ、欧州、北米、アフリカおよびアジア太平洋のグローバル保険会社17社の経営幹部を対象に、流動性リスク管理に関する調査を行いました。本稿は、これにインタビューも加えた結果をまとめたものです。保険監督者国際機構(International Association of Insurance Supervisors :IAIS)のガイダンスに基づく調査として、流動性リスクに関してグローバルレベルで比較を行い、各社のビジネスモデルを強化するため、世界基準の指標を提供することを目的としています。また、サーベイ参加企業は、金融安定理事会(Financial Stability Boards: FSB)が公表しているグローバルなシステム上重要な保険会社(Global Systemically Important Insurers: G-SIIs)や、生保、損保、マルチライン保険会社、再保険会社を含む、グローバルな保険会社、または特定国で高いプレゼンスを誇る保険会社から構成されています。

調査は以下の3つの領域に焦点を置き、定量的、定性的な質問により実施されました。これらの主なテーマと調査結果は以下の通りです。

  • 1.流動性リスク管理におけるポリシーとガバナンス
    調査結果から、流動性管理におけるガバナンスや責任は常に明確に定義されているわけではないことが判明しています。一方、役割はより明確に割り当てられ、委員会の定義や承認、上司への報告プロセスも強化されています。キャッシュ・フロー予測やリスク許容度、リスク上限、ストレス・テストの結果に関しては幹部がより頻繁にレビューするようになっており、流動性リスクのガバナンスを強化するため、有効な緊急時の調達計画が策定されています。
  • 2.流動性リスク管理と測定手法 流動性リスクの管理は、未だスプレッドシートを用いた手作業に多くを頼っています。将来は流動性ポジションの可視化を向上させるため、自動化が進むと考えられます。また、包括的なキャッシュ・フロー予測を行い、流動性のリスク許容度を確立し、監視する手法が確立しつつあります。
  • 3.ストレス・テストとシナリオ・テスト ストレス・テスト、指標および一貫性は今後も向上させる必要があります。保険会社が流動性リスクを効果的に管理する上で、包括的なキャッシュ・フロー予測やキャッシュ・フローのミスマッチの追跡、短・長期のキャッシュ・フローの重視は不可欠です。しかし、さらに改良を重ねる余地は残されています。

保険会社は生き残りを目指す一方で、高利回りを求めて流動資産の最適化を進める必要があり、流動性リスク管理は今後も進化を続ける可能性が大きいと考えられます。

英文オリジナルレポートと併せてご確認ください。

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