業種別
ソルベンシーII

ソルベンシーII導入初年度の課題:資本のボラティリティーへの対応

2017.05.29

エグゼクティブサマリー

ソルベンシーII導入初年度の課題:資本のボラティリティーへの対応2016年1月から導入されたソルベンシーIIは、欧州の保険業界にとって、大きな出来事でした。ソルベンシーIIの導入には、長い年月を要したにも関わらず、資本規制として実際にどのように機能するのかや、開示された情報に投資家等のステークホルダーがどのように反応するのかについては、事前に予想することは非常に困難でした。

ソルベンシーIIが導入された同時期には、政治面や金融面での不透明感が高まったことにより、資本市場は不安定な状況となりました。ソルベンシーIIの導入によって、資本調達が困難になるということはありませんでしたが、政治面やマーケット面の要因によって、資本市場に内在するボラティリティーは拡大しています。

スワップベースの割引率を用いて保険負債を評価し、資産を公正価値で評価するという、市場整合的評価の下では、常にバランスシートの変動が生じます。しかし、ソルベンシーIIがもたらした資本のボラティリティーは、予想された以上に注目を集めることになりました。これは、ボラティリティーの変動によってマイナスの影響が生じたためではなく、多くの保険会社のソルベンシー比率の感応度が予想よりも安定していたためです。

保険会社は、ソルベンシーIIの導入によって生じる資本のボラティリティーに対して、以下のような様々な方法で対応を図っています。

  • 将来のボラティリティーの要因を抑制するとともに、ソルベンシーの低下に対応するための資本を確保する。
  • ROEの低い事業からの撤退を含む、資本の創造に焦点を当てた経営を行う。
  • 対顧客業務や、デジタル投資、新商品開発など、将来のための事業に注力する。

本稿では、ソルベンシーII導入後の1年間を振り返り、ソルベンシーIIがもたらした資本のボラティリティーの原因について分析するとともに、投資家や経営者がなぜ資本の創造により関心を向けるようになったのかや、保険会社がソルベンシーII開示の中でどのようなメッセージを発信すべきかについて分析を行っています。

英文オリジナルレポートと併せてご覧ください。

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