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「公益法人の会計に関する諸課題の検討結果について」(内閣府公益認定等委員会公益法人の会計に関する研究会)を読む!(27年度)

第1回 「27年度報告」の概要

2017.02.21
非営利デスク
シニアマネージャー 公認会計士 松前江里子

内閣府公益認定等委員会から公表された公益法人の会計に関する研究会「公益法人の会計に関する諸課題の検討結果について」(以下「27年度報告」という)は、26年度報告と同様に公益法人を運営する際に必要な事項、特に「公益法人会計基準」を補完する事項が記載されています。わかりやすく、全11回(予定)に分けて読解していきます。

1. これまでの経緯(平成25年8月~現在)

平成25年8月より、公益認定等委員会は、公益法人の会計に関する実務上の課題、公益法人を取り巻く新たな環境変化に伴う会計事象等に的確に対応するために、同委員会の下に「公益法人の会計に関する研究会」(以下「研究会」という。)を設置し、会計の専門的な見地からの検討を行ってきています。検討の結果は、平成27年3月に「26年度報告」が公表され、その後、平成28年3月に「27年度報告」が公表されました。
「27年度報告」の「はじめに」によると、「26年度報告と同様、公益法人会計基準(平成20年4月11日内閣府公益認定等委員会)及び公益法人会計基準の運用指針(同)を補完するものとしてとりまとめ、これを公表することとした」と記載があり、「26年度報告」及び「27年度報告」の位置づけが示されています。すなわち、会計基準と同様に公益法人が会計処理や、計算書類及び定期提出書類の作成に当たり、準拠するべきルールとして位置づけています。

2. 26年度報告の日本公認会計士協会実務指針等へ反映

公益認定等委員会は、日本公認会計士協会に対して、同委員会が公表した26年度報告の方向性を示した課題のうち、主な項目について検討し、実務指針等で公表するよう協力依頼をしています。主な項目は、以下のとおりです。

  • 法人類型ごとの適用する会計基準の明確化
  • 収支相償・遊休財産規制と指定正味財産の考え方
  • 有価証券の評価方法等の考え方と表示方法 等

これらの協力依頼項目については、日本公認会計士協会での検討の結果、平成28年3月22日に非営利法人委員会実務指針第38号『公益法人会計基準に関する実務指針』(改正平成28年12月22日)(以下、実務指針第38号という)として公表されています。

3. 企業会計基準の公益法人への適用についての考え方

一般法人法において、一般社団法人及び一般財団法人の会計は、『一般に公正妥当と認められる会計の慣行に従うものとする』と規定されており、企業会計基準は、そのひとつとして拠り所となっています。公益法人会計基準においては、退職給付会計や引当金の会計処理等、すでにその適用が前提となっているものがある一方、公益法人制度施行時の公益法人会計基準の公表後に、新たに定められたり、改正された企業会計基準については、適用の要否が論点となりました。
公益法人会計基準に導入されていない企業会計基準の適用については、基準の趣旨や内容に照らし、公益法人の自己規律の確保、関係者への情報開示、行政庁による監督の必要性の観点から、法人の負担も配慮して、当該27年度報告にて結論が公表されました。

4. 個別の会計基準の適用の可否

公益法人会計基準において適用について検討された会計基準は以下の基準です。

  • 退職給付に関する会計基準
  • 金融商品に関する会計基準
  • リース取引に関する会計基準
  • 棚卸資産の評価に関する会計基準
  • 工事契約に関する会計基準
  • 資産除去債務に関する会計基準
  • 賃貸等不動産の時価等の開示に関する会計基準
  • 会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準
  • 固定資産の減損に係わる会計基準

これらの個別の会計基準のうち、②金融商品に関する会計基準は、一部公益法人の特性に合わせた修正が入って適用となっています。次に④棚卸資産の評価に関する会計基準については、現行の公益法人会計基準での取り扱いが低価法を採用しており、企業会計基準と違いはありますが、影響が少ないことから現行のままとされています。また、⑧会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準については、適用しない方向性が示されていますが、自主的に適用することは妨げていません。最後に⑨固定資産の減損に係わる会計基準については、現行の公益法人会計基準が強制評価減の考え方を採用しており、企業会計基準と違いはありますが、現行の基準を変更するほどの事情の変更はないという結論が示されています。

第2回からは、個別の会計基準の適用について解説していきます。なお、実務指針第38号は平成28年12月22日に改正されており、改正事項は、27年度報告の方向性を踏まえて、実務上の取扱いを公表してほしい旨の公益認定等委員会からの依頼に対応したものとなっています。次回以降の解説にて、合わせて紹介させていただきます。


「公益法人の会計に関する諸課題の検討結果について」(内閣府公益認定等委員会公益法人の会計に関する研究会)を読む!(27年度)



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