業種別
公益法人制度

非営利法人委員会研究報告第23号「公益法人の財務諸表等の様式等に関するチェックリスト(平成20年基準)」の公表についての解説

2012.03.21

1. はじめに

平成24年2月21日にお知らせしているとおり、日本公認会計士協会は、平成24年1月12日、非営利法人委員会研究報告第23号「公益法人の財務諸表等の様式等に関するチェックリスト(平成20年基準)」(以下「チェックリスト」という)を公表しました。当該チェックリストは、公益法人(※)が作成した財務諸表(貸借対照表、正味財産増減計算書及びキャッシュ・フロー計算書)及び附属明細書並びに財産目録(以下「財務諸表等」という)の様式等が「公益法人会計基準」(平成20年4月11日 平成21年10月16日改正、内閣府公益認定等委員会。以下「平成20年基準」という)に準拠しているか否かを確かめるために使用するものです。

(※)公益法人とは
本チェックリストでは、公益法人とは、「公益法人会計基準」の運用指針」(平成20年4月11日平成21年10月16日改正内閣府公益認定等委員会。以下「運用指針」という)の「2.公益法人会計基準における公益法人について」において定められている法人をいう。
  1. 「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」(平成18年6月2日法律第48号。「認定法」という)第2条第3号に定めのある公益法人(「公益社団・財団法人」という)
  2. 「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(平成18年6月2日法律第49号。「整備法」という)第123条第1項に定めのある移行法人
  3. 整備法第60条に定めのある特例民法法人(整備法第44条、第45条の申請をする際の計算書類を作成する場合)
  4. 認定法第7条の申請をする一般社団法人又は一般財団法人

当該チェックリストは、財務諸表等の表示に関する内容に特化して、表示チェックリストとしての利便性確保を図ったものであり、検算や突合といった基本的なチェックについても可能な限り網羅的に記載され、また、「平成20年基準」公表後に発表された委員会報告等にも、可能な限り対応されています。チェックリストは日本公認会計士協会のウェブサイトで入手できます。

以下は、平成16年10月14日に公益法人等の指導監督等に関する関係省庁連絡会議申合せとして全面的な改正が行われた「公益法人会計基準」(以下、「平成16年改正基準」という)などに基づく非営利法人委員会研究報告第18号「公益法人の財務諸表及び収支計算書の様式等に関するチェックリスト」(以下、「平成16年改正基準チェックリスト」という)からの主な変更項目について解説をします。

2. 主な変更項目

(1)平成20年基準に対応

i 財務諸表等の範囲の変更・附属明細書の新設

平成20年基準においては、財産目録が財務諸表の範囲から除かれたものの、公益社団・財団法人は、認定法第21条2項により、作成が義務付けられています。また、附属明細書の作成が新たに定められています(一般法第123条2項)。

このため、チェックリスト上、附属明細書の項目が新設されるとともに(7-1~7-3)、財産目録の記載場所(8-1~8-4)が変更となっています。なお、収支計算書は作成義務がなくなったため、チェックリストから削除されています。

平成16年改正基準 平成20年基準
(1)財務諸表
 ①貸借対照表
 ②正味財産増減計算書
 ③キャッシュ・フロー計算書
 ④財産目録
(2)収支計算書
(1)財務諸表
 ①貸借対照表
 ②正味財産増減計算書
 ③キャッシュ・フロー計算書
(2)附属明細書
(3)財産目録

ii 基金の新設

一般・公益社団法人では基金を設定可能(一般法第131条など)であることから、平成20年基準において、基金に関する規定が新設されています。

このため、チェックリスト上は、貸借対照表(3-3、3-11、3-12)、正味財産増減計算書(4-3、4-12)、キャッシュ・フロー計算書(5-1、5-3、5-6)および財務諸表に対する注記(6-13)において、それぞれ基金についての記載が追加されています。

<ご参考:基金関連の表示上の規定>
  • 「基金は純資産の部に記載する」(一般法施行規則第31条、認定法施行規則第31条4項および整備法施行規則第7条)
  • 「基金を設定した場合には、貸借対照表の正味財産の部を基金、指定正味財産及び一般正味財産に区分し、当該基金の額を記載しなければならない」(平成20年基準注解5)
  • 「基金を設定した場合には、正味財産増減計算書は、一般正味財産増減の部、指定正味財産増減の部及び基金増減の部に分けるものとする。基金増減の部は、基金増減額を発生原因別に表示、これに基金期首残高を加算して基金期末残高を表示しなければならない」(平成20年基準注解12)

iii 会計区分

平成16年改正基準では、特別会計を設けている場合、特別会計ごとに貸借対照表及び正味財産増減計算書を区分して作成し、総括表により法人全体を表示していましたが、平成20年基準では、法人全体の財務諸表等を基本とした上で、会計区分を有している場合には、貸借対照表及び正味財産増減計算書の内訳表を作成することとしています(運用指針 様式1-3、様式1-4、様式2-3および様式2-4)。

このため、チェックリスト上は、一般的事項(2-1)、貸借対照表(3-15、3-16)、正味財産増減計算書(4-15、4-16)において、それぞれ会計区分を有している場合についての記載が変更されています。

<一般的事項の記載比較>
平成16年基準対応チェックリスト 平成20年基準対応チェックリスト
・貸借対照表
・正味財産増減計算書
・貸借対照表
(貸借対照表内訳表を含む)
・正味財産増減計算書
(正味財産増減計算書内訳表を含む)

iv 投資有価証券評価損益等の表示

平成20年基準では、経常収益又は経常費用に含まれる投資有価証券の評価損益及び売却損益(以下、「評価損益等」という)については、正味財産増減計算書において、その他の経常収益及び経常費用と区別して当期経常増減額の調整項目として表示します。すなわち、経常費用の後に、「評価損益等調整前当期経常増減額」という表示項目を設け、当該「評価損益等」を加減算した上で、「当期経常増減額」を算定することになります(平成20年基準注解16)。

このため、チェックリスト上は、「評価損益等調整前当期経常増減額」について追加記載されています(正味財産増減計算書4-5)。

v 継続事業の前提についての注記

平成20年基準において、継続事業の前提についての注記が新規項目として規定されたことにより、チェックリスト上も新規記載されています(財務諸表に対する注記6-2)。

(2)その他

i 重要な会計方針の変更がある場合の注記(6-4)

  • 平成20年基準の適用初年度
    「重要な会計方針」の冒頭に、「当事業年度から「公益法人会計基準」(平成20年4月11日 平成21年10月16日改正 内閣府公益認定等委員会)を採用している旨」を明示することが記載されています。
  • 平成16年改正基準から平成20年基準へ会計基準を変更する場合
    運用指針の附則において定める経過的な取り扱いに従うことになります。

ii その他の注記(6-18)

リース取引・退職給付会計の注記に加え、減損会計及び税効果会計の注記が行われているかなど、留意すべきことが追加されています。

iii 財産目録(8-3)

従来の「各科目は、当該事業年度末におけるすべての資産及び負債につき、その名称、数量、使用目的、価額等を詳細に表示しているか」に続き、「「場所・物量等」については監査対象外」である点が明示され、「公益社団・財団法人の場合には、「使用目的等」については公益認定関係書類(第34号2(2))との整合性について留意」すべきことが追記されています。

(注)その他法令規則等の略称定義
一般法:一般社団法人及び一般財団法人に関する法律
一般法施行規則:一般社団法人及び一般財団法人に関する法律施行規則
認定法施行規則:公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律施行規則
整備法施行規則:一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律施行規則





情報量は適当ですか?

文章はわかりやすいですか?

参考になりましたか?