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公益法人制度

スポーツ団体の健全な運営のために

2016.06.17
新日本有限責任監査法人
スポーツ事業支援オフィス
佐藤 峻一

非営利デスクでは、非営利組織の在り方というテーマでセミナ-を開催し、そのなかで、「スポーツ団体の健全な運営のために」として、弊法人の佐藤が、スポーツイベントにおける予算管理手法やスポーツ団体のマネジメント等についてご紹介いたしました。

概要は以下のような内容です。

1. EY Japanのスポーツビジネス支援体制紹介

(1) EYメガスポーツイベント支援実績

なぜ監査法人でスポーツビジネスなのか、というそもそも多くの方が疑問に持たれることがあります。この点、EYでは1984年のロサンゼルス五輪以来、夏季・冬季五輪、FIFAワールドカップ、ラグビーワールドカップ、コモンウェルス大会において、監査業務やアドバイザリー業務を行っています。

(2) スポーツ事業支援オフィスご紹介

新日本有限責任監査法人スポーツ事業支援オフィスは、EYの各国におけるデリバリーメンバーと連携しながら、スポーツイベント、スポーツチーム・団体、スポーツインフラ等のクライアントに対して幅広いサービスを提供しています。また、監査法人だけでなく、EY Japan全体としてチームを組んで活動しています。

(3) スポーツ関連サービスの内容

EYのスポーツ関連サービススコープとして、「Transaction Advisory Services」「Assurance」「Tax」「Advisory Services」の4つの領域があり、ニーズに応じた支援を行っています。

2. スポーツイベントにおける予算管理の特性

(1) 予算策定

スポーツイベントにおいては、プロジェクトベース予算を進めていくことが肝要です。
スポーツイベントにおける予算管理には大きく分けて「予算策定」「予算執行権限」「予算報告」「スポンサーとVIK」という4つのポイントがあります。
スポーツイベントにおける予算管理の最も重要な目的は「イベント全体の財務プラン(=個々のプロジェクト予算の総和)を適切に管理し、収支均衡を保つこと」です。
ここで言うプロジェクトとはイベントに関わる部門のことで、設営、宿泊、輸送、広報、医療、財務などが挙げられます。

適切な予算管理に向けた施策には大きく分けて以下の5つがあります。

  • プロジェクトベース予算
    イベント全体の予算を管理するために、複数年に亘って進行するプロジェクト(準備活動)の累計額を管理します。このため、単年度の活動内容の予算化ではなく、準備期間を含めたイベント全体の予算をプロジェクト単位で作成し、毎年の予算管理を行うことが肝要です。
  • 予算執行状況の早期把握
    イベント開催に必要な資材調達・支払はイベント直前期に急増するため、「支払ベース」ではなく、「契約ベース(コミットメントベース)」での執行管理を行い、最終収入・費用の早期予測を行います。
  • 必需品の優先
    「必需品(=must have)」と「あった方がよいもの(=nice to have)」を仕分け、予算の膨張を抑制することが必要。まずは「必需品(=must have)」のみを予算化し、余裕ができた場合のみ「あった方がよいもの(=nice to have)」を予算化します。
  • 他団体との費用負担整理
    大会事務局が負担すべき費用とそれ以外の組織が負担すべき費用が一体として発生するケースに配慮し、「責任分担表(=Responsibility Matrix)」を作成します。
  • 偶発事象への対応
    開催地特有の問題の発生及び偶発的な事態の発生に対応すべく、個別に特定された費用に加え、予算の弾力性を備えておくことが必要となります。

(2)予算執行権限(一元的管理と分散的管理のバランス)

スポーツイベント全体の予算管理を適切に行うためには一元的な予算の管理体制(財務部門のとりまとめ)が不可欠ですが、一方で現場に分散させた管理が必要となり、両者のバランスを取らなくてはいけません。

(3)予算報告(大会スケジュールにあわせた予算の展開)

大会が近づくにつれ規模・収入・費用が急速に増加するため、緻密な管理及びそれに対応できる体制が必要です。また、大会開催後も予算管理が継続し、そのコスト管理も重要なファクターとなります。

(4)スポンサーの存在とVIK(VIK及びスポンサー調達の適切な管理に関して)

VIKはValue In-Kindの略で、スポンサー料の現金払いを現物提供に替えることをいいます。これを活用することで、調達を有利に進める工夫が可能となります。VIK及び調達先の適切な管理が大会予算管理の重要なポイントとなります。

3. 『スポーツ団体のマネジメント入門』から

(1) 「スポーツ」と「不正」

スポーツに係る不正は多くの利害関係者、そしてスポーツの発展そのものにまで影響を及ぼしかねません。スポーツには特に高潔性が必要になります。

(2) スポーツにまつわる不正

スポーツに係る不正は多くの利害関係者、そしてスポーツの発展そのものにまで影響を及ぼしかねません。スポーツには特に高潔性が必要になります。

(3) 不正のトライアングル

米国の犯罪学者によれば、「機会」「動機」「正当化」という3要素が不正のトライアングルと言われています。

(4) 不正に対するアプローチ

不正に対するアプローチとしては「不正リスクの識別」「防止策の構築とその徹底」「内外のチェック機能」「不正リスクの防止策の見直し」という4つの要素の循環が挙げられます。

(5) スポーツ・インテグリティ

「不正行為からスポーツの高潔性や完全性を護り、スポーツの価値を高めていくこと」をスポーツ・インテグリティといい、近年声高に叫ばれるようになってきています。

(6) 運営の透明性確保への問い

団体として運営の透明性が確保できているか、ということを自己確認するために、以下の問いを自分自身に問いかけてみることが必要です。
「意思決定機関は形成されていますか?」
「計画は戦略的に練られていますか?」
「会計はきちんと報告されていますか?」
「人材の管理は適切ですか?」
「規程が整備されていますか?」
「危機管理ができていますか?」

4. 参考図書・資料等紹介

セミナーの中で、弊法人の著書として紹介したもの、日本スポーツ仲裁機構が中心になって行っているスポーツ団体のガバナンス強化の取り組みに関して、書籍の紹介をしました。

  • 「スポーツ団体のマネジメント入門 -透明性のあるスポーツ団体を目指して」(新日本有限責任監査法人編 同文館出版)
  • 「スポーツ団体のガバナンスに関する協力者会議」による報告書(公益財団法人 スポーツ仲裁機構)
  • 「トラブルのない スポーツ団体運営のために ガバナンスガイドブック」(公益財団法人 スポーツ仲裁機構)



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