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情報センサー2014年新年号 業種別シリーズ

グローバル ライフサイエンス ベンチャー ウィークの開催報告
-ヘルスケア・バイオベンチャーの飛躍へ向けて-

ライフサイエンス・セクター 医薬品業研究会 公認会計士 矢崎弘直
製薬企業、医療機器企業、バイオ企業、病院法人等の監査、アドバイザリー、IFRS導入支援等の業務に従事。種々講演会にて業界動向等の講師も行っている。著書に『医薬品業ビジネスの会計ガイドブック』(中央経済社)などがある。

Ⅰ はじめに

2013年9月、EY Japanでは「グローバル ライフサイエンス ベンチャー ウィーク」を開催し、国内外のゲストスピーカーを招いたカンファレンスを行いました。非常に社会的関心の高いテーマということもあり、総数約300人の聴衆が集い、好評をいただきました。本稿では、その概要をお伝えします。

Ⅱ カンファレンス開催の背景

近年、高齢化がますます進む中、アベノミクス効果もあり、日本のヘルスケア産業は活況を呈しています。また、日本のアカデミア・企業における技術レベルは非常に高いものがあり、山中伸弥教授のノーベル賞受賞に代表されるように、iPS細胞治療の領域もブームと呼べる状況になっています。多くのベンチャー企業がそうした技術を利用してヘルスケア分野で起業しており、また他業種からも積極的な参入が見られます。
しかし、こうした技術がビジネスとして成功するためには高いハードルがあり、多くの場合、失敗に終わってしまうというのも事実です。特に日本では、規制、制度、ファイナンス等の課題が多く、米国等に比べ、ベンチャー企業が育ちにくいと指摘されています。
今回は、ベンチャー企業がそうしたハードルを越えて飛躍するため、何が課題で、何をすべきなのか、幅広く議論すべく、有識者の方にご登壇いただき、ご講演ならびにパネルディスカッションを実施しました。

Ⅲ カンファレンスの内容

1. ヘルスケアベンチャー カンファレンス

1日目のヘルスケアベンチャーカンファレンスは、主にヘルスケアベンチャー企業、支援機関等を対象に、次のような業界の課題にスポットを当てました。

(1)ヘルスケア業界の最新のグローバルトレンド
ヘルスケア業界の最新のグローバルトレンドが解説されました。マーケットの状況を俯瞰(ふかん)した上で、近年のヘルスケア業界には三つのトレンドがあり、バリューベース(量から質へ)、規制当局の規制強化、イノベーション投資の減少が見られることに言及がありました。

(2)日本の医療産業事業化の課題
ヘルスケア業界のトレンド、課題を概観した上で、医療機器開発に大切なポイントである企業風土および人材について、詳細な解説が行われました。

(3)パネルディスカッション
ヘルスケア業界の活性化のための意見が交換されましたが、諏訪内氏による、自身の活動の成果でもあるヘルスケアベンチャーを育てる活動、また、西川氏による、介護ビジネスの問題点およびビジネスの展開上のポイントについて、また、島田氏からは日米の業界比較の議論が展開されました。

2. バイオベンチャー カンファレンス

2日目のバイオベンチャー カンファレンスでは、主にバイオベンチャー企業、支援機関等を対象に、次のような業界の課題をテーマに議論が展開されました。

(1)バイオテクノロジー業界の最新のグローバルトレンド
バイオ業界のマーケットの状況を俯瞰した上で、医薬品開発に当たり、その価値のエビデンスを初期段階から準備しながら利害関係者を説得しつつ、資金調達と併せてイノベーションを効率的に進めていくことの必要性が説明されました。

(2)事業化の視点から見たiPSテクノロジー
自社のビジネスモデルに触れた上で、iPS細胞の事業化については、産官学が協力し、オールジャパンで事業化に向けた取り組みを推進し、低成長下にあえぐ日本の起爆剤となることの必要性が説明されました。

(3)パネルディスカッション
津村氏から自社の事業について、また、若尾氏からは再生医療市場の概観について説明があった上で、バイオベンチャーの抱えるさまざまな課題、村山氏の起業における課題、グレンの米国からの視点等も加え、アライアンス戦略、ファイナンス、支援の在り方等の論点が活発に議論されました。

Ⅳ おわりに

ビジネスの最前線で活躍する有識者のご講演およびご発言は、非常に示唆に富んだものでした。日本発のベンチャーの飛躍とグローバルへの活躍、そして強い産業として育っていくための議論が多くの方の間で共有できたことは、非常に意義深いことであったと思います。
EY Japanは、さらにこうした潮流の活性化を図るべく、同様の企画を継続していきたいと考えています。

(下の図をクリックすると拡大します。)
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