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情報センサー2014年2月号 業種別シリーズ

LNGプラント建設に係る海外展開のビジネスリスクと会計上の留意点

個別受注産業研究会 公認会計士 澤部直彦
大手プラントエンジニアリング業、大手建設業等の監査業務に従事。法人内の個別受注産業研究会、建設業研究会等の活動でセミナー講師、執筆に携わる。共著に『受注産業の会計実務Q&A』(中央経済社)、『業種別会計シリーズ 建設業』(第一法規)がある。

Ⅰ はじめに

東日本大震災以降、日本のエネルギー需要は変化し、原子力発電から、液化天然ガス(LNG)や石油、石炭等による発電への依存度が増しています。その中で日本のLNGの需要は旺盛です。本稿では、LNGを取り巻く最近の状況およびLNGプラント建設に係る海外展開のビジネスリスクと会計上の留意点を解説します。

Ⅱ LNGに関わる設備

LNGは天然ガスをマイナス162度まで冷却することで液化し、体積が1/600になる性質のガスのため、一度に大量輸送が可能です。ただし、その輸送には冷却設備が必要なため、プラントや運搬船等のさまざまな専用設備が必要です。LNGに関わる設備には、生産地でのLNG液化基地設備およびLNG輸送船、国内でのLNG受け入れ基地設備があります(<図1>参照)。

図1

Ⅲ 最近のLNGの輸入および需要状況

最近のLNGは中東・豪州・東南アジアからの輸入が中心です(<図2>参照)。これは、海外における過去のLNGプラント建設需要を示し、近年では、LNGプラント建設が東南アジア・豪州等で進んでいます。
また北米でのシェールガス革命により、北米からのLNGを求める動きが日本国内ガス会社に起きており、北米からの輸入に向け日本のLNG需要を満たすため国内海運会社からLNG運搬船の大型発注が相次いで行われています。更に、原子力発電に代わるエネルギー発電としてLNG火力発電プラントの建設需要が国内電力会社で増加しています。その他、東日本大震災を経て電力に代わる社会インフラとしての都市ガスのLNG配管設備の需要も増加しています。

図2

Ⅳ 海外展開のビジネスリスクと会計上の留意点

海外でのプラント建設に当たり、海外展開のビジネスリスクと会計上の留意点を考察します(<表1>参照)。
日本企業が有する技術力と工程を守る意識、品質管理の徹底等は競争力の源泉ですが、海外でその能力を発揮するには、文化・思考・風土が日本と異なるため、管理が困難となります。

(下の図をクリックすると拡大します)

Ⅴ おわりに

日本のエネルギー政策の転換が図られる中で、今後、海外プラント設備需要は高まると考えられます。海外のさまざまな文化風土の違いを適切に会計に反映させるため、管理項目が増えるとともに、本社への情報伝達が遅れないようにする等の工夫が必要となります。そのため、海外進出に当たっては現地の管理体制の構築が重要となります。