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情報センサー2018年4月号 Tax update

平成30年3月期法人税申告の留意事項

EY税理士法人 税理士・公認会計士 矢嶋 学
1998年、太田昭和アーンストアンドヤング(現EY税理士法人)に入所。法人向けコンプライアンス業務のほか、組織再編及び事業承継コンサルティング、大規模法人を対象とした税務リスク・アドバイザリー業務等に従事。EY税理士法人入所以前は国税職員として相続税、法人税の調査経験を有する。

Ⅰ はじめに

平成30年3月期の法人税申告においては、主に平成29年度の税制改正によって適用される項目の確認が必要です。また、平成28年度以前に改正され、当事業年度から適用となる項目についても留意が必要です。
本稿では、平成30年3月期(自平成29年4月1日 至平成30年3月31日)決算法人を前提とした法人税申告の留意事項のうち、主要なものについて解説します。

Ⅱ 平成29年度税制改正における主要な改正事項

1. 研究開発税制の改正

平成29年4月1日以後に開始する事業年度から、試験研究費の税額控除制度について、次の改正が行われています。

(1) 総額型の税額控除率の変更

総額型を適用する際の税額控除率が試験研究費割合に応じた控除率(8%から10%)から試験研究費の増減割合に応じた控除率に変更されました。試験研究費の増減割合と控除率の関係は<図1>の通りです。

(下の図をクリックすると拡大します)

(2) 試験研究費の範囲の拡大

また、試験研究費の範囲に、新たにサービス開発に係る一定の費用が追加されました。IoT、ビッグデータ、人工知能(AI)等を活用した「第4次産業革命型」のサービスを開発する際に生じる原材料費、人件費、経費、委託費が対象となり、開発過程に①観測②分析③設計④適用という四つのプロセスが組み込まれていることが必要です。

(3) その他の改正

その他、特別試験研究費(オープンイノベーション型)の手続き要件の緩和、試験研究費が増加した場合の税額控除(増加型)の廃止、総額型の控除限度額の上乗せ措置なども改正されています。

2. 役員給与の損金不算入

企業の役員報酬制度が多様化する中で、役員給与税制も<表1>とおり見直しが行われています。

(下の図をクリックすると拡大します)

なお、退職給与、譲渡制限付株式(RS)、ストックオプション(SO)に係る改正は、平成29年10月1日以後、その他の改正は平成29年4月1日以後に支給又は交付に係る決議をする給与について適用されます。

3. 所得拡大促進税制の拡充

雇用者給与等支給額が増加した場合の税額控除制度(所得拡大促進税制)について、次の改正が行われています。

(1) 平均給与判定の要件の見直し

「中小企業者等」に該当しない法人(いわゆる大企業など)の平均給与判定要件について、「平均給与等支給額が比較平均給与等支給額を超えること」から、「平均給与等支給額が比較平均給与等支給額の2%以上増加していること」とされました。

(2) 控除税額の拡大

「中小企業者等」に該当しない法人が所得拡大促進税制の適用要件を満たしたときの税額控除額は、従前の雇用者給与等支給増加額の10%に加えて、基準事業年度比の増加額と前事業年度比の増加額のいずれか小さい額の2%を上乗せした額とされました。

(3) 中小企業者等である場合の控除税額の拡大

平均給与等支給額が比較給与等支給額に対して2%以上増加しているときは、従前の雇用者給与等支給増加額の10%に加えて、基準事業年度比の増加額と前事業年度比の増加額のいずれか小さい額の12%を上乗せすることとされました。よって、中小企業者等においては最大で雇用者給与等支給増加額の22%の税額控除が適用されることになります。

Ⅲ 当年度から適用される平成28年度以前の主な税制改正事項

  • 欠損金の控除限度額の見直し

青色欠損金、災害損失金及び連結欠損金の控除に関する限度割合については、平成27年度税制改正と平成28年度改正で引下げ及び細分化が行われました。その結果、平成30年3月期の控除限度割合については昨年度から5%下がり、55%になっています。


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