刊行物
情報センサー2019年11月号 Tax update

外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)の令和元年度改正 前編

EY税理士法人 税理士 宮嵜 晃
2007年EY税理士法人に入所。税務コンプライアンス業務に従事。その後、14年7月から17年3月まで経済産業省 貿易経済協力局 貿易振興課(国際租税担当)に出向。帰任後は主に国際課税、研究開発税制に関するアドバイザリー業務に従事している。

Ⅰ はじめに

昭和53年度の税制改正により導入された外国子会社合算税制ですが、平成29年度税制改正により抜本的な見直しが行われました。その中でも、ペーパー・カンパニー等の規定の創設(<図1>②)と受動的所得の範囲の拡大(<図1>⑦)が、実務的には最も影響が大きいです。これらに加えて、令和元年度においても大幅な改正が行われました(<図2>参照)。

(下の図をクリックすると拡大します)

(下の図をクリックすると拡大します)

Ⅱ 外国子会社合算税制の改正内容

1. 改正の概要

令和元年度の改正では、米国の連邦法人税率が35%から21%に引き下げられたことを契機として、海外のビジネス上、一般的に用いられるペーパー・カンパニーについては、一定の要件を満たした場合には、当該税制上のペーパー・カンパニーに該当しないこととされたほか、現地で連結納税やパススルー課税が行われる外国関係会社の適用対象金額等の計算方法について整備が行われました。

2. ペーパー・カンパニーの範囲から一定の外国関係会社を除外

【改正の内容】

米国を含む幾つかの国では、商慣行等の理由により、国内で事業を行う場合に、事業の遂行上欠くことのできない機能ごとに事業体を細分化し、固定施設や人員を有さない子会社にこれらの機能を担わせて事業を実施することが一般的に行われています。こうした法人について、常に租税回避リスクが高いものとみなすことは必ずしも適当ではないと考えられます。
このため、こうした法人のうち、合算対象とならない子会社配当等が収益の大宗である外国関係会社や、実体のあるビジネスに関して用いられている本店所在地国の不動産や資源等を源泉とするものが収益の大宗である外国関係会社など、現地の経済実体のある会社と一体となって活動し、事業の遂行上欠くことのできない機能を果たし、保有する資産や生ずる所得の状況から租税回避リスクが限定的であると考えられる等の一定の外国関係会社については、ペーパー・カンパニーに該当しないこととする措置が講じられました。
なお、本改正は、実務上は租税負担割合が20%以上30%未満の外国関係会社についてのみ適用され、租税負担割合が20%未満の外国関係会社については、適用はありませんのでご留意ください。
本改正前までは、実体基準及び管理支配基準のいずれも満たさない外国関係会社はペーパー・カンパニーと規定されていましたが、本改正により、これらの基準を満たさない場合であっても、<図3>に記載する5類型(大きく分けると1.~3.の3類型であり、細かく分類すると5類型あります)のいずれかに該当すればペーパー・カンパニーに該当しないこととされました。

(下の図をクリックすると拡大します)

各類型に応じて、除外要件の範囲や内容は異なりますが、おおむね<表1>の通りです。

(下の図をクリックすると拡大します)

次号の後編では、現地で連結納税やパススルー課税を適用している外国関係会社の適用対象金額等の計算方法などについて説明します。