ニュースリリース

2020年6月26日

成長に向け体制を立て直すAsia-Pacific地域における企業の事業再編・売却に対する意欲は、コロナ危機の逆風にも関わらず依然として旺盛

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EY Japan

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  • 日本を含むAsia-Pacific地域の企業の75%が、2022年までに事業再編・売却を検討している
  • テクノロジー投資の資金を調達するために、事業再編・売却を検討しているAsia-Pacific地域の企業は、コロナ危機以前の31%から56%へ急増

2020年5月にEYが発表した2020年度Asia-Pacific版「企業のダイベストメントに関する意識調査」(以下、「本調査」)によると、事業再編・売却に対する意欲は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の危機によっても衰えず、日本を含むAsia-Pacific地域(以下、Asia-Pacific)では依然として高水準を保っていることが明らかになりました。本調査では、少なくとも今後、半年から1年の間に、Asia-Pacific地域の企業による事業再編・売却をめぐる検討を加速させ、影響を与える可能性のある4つの大きな要因を特定しています。

「企業のダイベストメントに関する意識調査」はEYが毎年発表しているもので、本調査では、Asia-Pacificの企業の400名以上の経営幹部を対象に、コロナ危機発生の直前および危機発生後の2回調査を実施しました。コロナ危機発生後の調査に参加したAsia-Pacific企業の75%が、今後2年の間に事業再編・売却を計画していると回答しており、これは危機発生直前の調査で同様の回答をした企業の割合は74%でしたので、わずかながらAsia-Pacificでは上回っています。また、本調査によると、今後一年間で事業再編・売却を検討しているAsia-Pacificにおける企業の割合は高く、59%の企業がこうした意欲を表明しています。

EYのAsia-Pacific 売却・譲渡・セパレーション・リーダーのポール・マーフィーは次のように述べています。

「企業の経営幹部は現在、コロナ危機という未曽有のディスラプションに直面しています。本調査は、このように将来を左右するような非常に重要な時期に発表されました。興味深いことに、Asia-Pacificの企業は、ポートフォリオを再編し、コロナ危機を乗り越えて再び成長する体制を整えていく一助として、事業再編・売却を行う意欲が高いことが、調査結果によって示されました。事業再編・売却を目指す企業はまた、ビジネスモデルを再編し、「ニューノーマル(新常態)」の時代に向けた準備を整えるために、新しいテクノロジーに投資することを計画しています。」

資本に関する戦略的意思決定

コロナ危機によって資本調達が以前より難しくなっている企業は、事業再編・売却を行う必要があるかもしれません。本調査によると、4月の時点でAsia-Pacificの企業の半数超(54%が、コロナ危機が事業に与える潜在的影響に対応するために、今後資金調達を行う必要があると回答しています。また、日本およびグローバル企業の7割を上回る企業(日本73%、グローバル77%)が、負債を減らすために、事業再編・売却を検討していると答えています。 本調査はさらに、コロナ危機によって体力が大幅に減退した企業による不良資産の売却が増加する可能性があることを示しています。Asia-Pacificの企業の58%が、今後一年間、不良資産の売却が増加すると予想していると回答しています。

デジタルトランスフォーメーション:
多くの企業は、コロナ危機の中で、通信手段を確保し事業を継続するためにデジタルインフラに大きく頼ることを余儀なくされました。そして、事業再編・売却を行うことでテクノロジー投資の資金を調達することが、これまで以上に魅力的な選択肢となっています。
本調査によると、現在、テクノロジー投資を行うために、事業再編・売却を行う意欲がこれまで以上に高まっていると回答したAsia-Pacificの企業の割合は56%で、コロナ危機以前にそう回答した企業の割合31%から増加しています。Asia-Pacificのすべての国と地域において、新しいテクノロジーに投資するための資金調達のニーズが高くなっていますが、中華圏(※)では特にこの傾向が強く見られます。テクノロジー投資の資金調達のため事業再編・売却を行うと回答した中華圏の企業の割合は、コロナ危機以前の42%から、危機発生後の67%へと上昇しました。

サプライチェーンの分散化:
コロナ危機によって、グローバルなサプライチェーンに潜んでいる脆弱性に対する意識が再び高まりました。本調査によると、グローバル全体の企業の36%が、事業再編・売却を行うにあたって、自社のサプライチェーンにこれまで以上に力点を置く予定であると回答しています。これは、危機前にそう回答した企業の割合(27%)を上回っています。
Asia-Pacificの企業は、コロナ危機以前にも、米国と中国の貿易摩擦によって、サプライチェーンを注視するようになっていました。そして今、こうしたAsia-Pacificの企業は、自社のサプライチェーンの再検討と再構築をさらに一層進めています。最新版の『EYグローバル・キャピタル・コンフィデンス調査』によると、多数の企業が、既に自社のサプライチェーン再構築のための具体的な手段を講じていると回答しており、日本企業(74%)とAsia-Pacificの企業(67%)と高い数値を示しています。

ポートフォリオ最適化:
多くの企業は、コロナ危機後の社会へと備えるために、資産ポートフォリオを再編する必要があります。本調査で4月にヒアリングを行ったAsia-Pacific企業の半数以上(54%)が、今後自社の資産ポートフォリオの再編を行うと回答しています。近い将来の展望を描くことが困難になっている状況の中でも、企業はコロナ危機から導かれたマクロ経済のシナリオに基づいて、自社のポートフォリオ再編を開始しています。


EYトランザクション・アドバイザリー・サービス株式会社、ダイベストメント・アドバイザリー・サービスリーダーの大胡晋一は、次のように述べています。

「日本企業においても、ポストコロナの事業環境は、ノンコアや追加投資が難しい低収益事業の事業再編を確実に加速させることになるでしょう。このことはコロナ禍以前から起こっていた地政学的な環境変化とともに、ビジネスモデルの再構築、テクノロジーへの投資に待ったなしで向き合うことになります」


次の段階、そしてその先に備えて:

Asia-Pacificの企業は、自社の事業再編・売却の中期戦略(戦略を修正する必要があると企業は述べていますが)を遂行する一環として、資産の売却に向けた準備を改めて積極的に進めていることが、本調査によってわかりました。Asia-Pacific企業の半数以上(53%)及び日本企業に至っては6割以上(67%)が、コロナ危機が経済にもたらす影響によって、売り手が期待する価格と、買い手が提供する価格のギャップが大きくなることが予想されると回答しています。さらに、コロナ危機によって、どの資産を売却すべきかより不透明になる可能性があると回答したAsia-Pacificの企業の割合は、コロナ危機以前の28%から、52%に大きく上昇しました。また、本調査に参加したAsia-Pacific企業の46%が、事業再編・売却に向けた準備がこれまで以上に進んでいると回答しています。

最後にマーフィーは次のように述べています。

「企業がコロナ危機の影響を受けて自社の戦略を修正している中で、Asia-Pacificにおいて事業再編・売却の意欲は依然として高いことが、本調査によってわかりました。世界がコロナ危機後を見据え始めている今、Asia-Pacificの主要各国の経済力に牽引されて、世界の経済活動が再び活気を取り戻す可能性があります。」

※注:中華圏とは、中国本土、香港、台湾を含めた地域を指します。

 

本レポートの詳細は以下ウェブサイトよりご覧ください。

ey.com/divest

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※本プレスリリースは、英語のプレスリリースを翻訳したものです。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。

英語版プレスリリース:

Asia-Pacific divestment intentions remains strong despite COVID-19 headwinds as companies reposition for growth ey.comウェブサイトへ

EY の『企業のダイベストメントに関する意識調査』について

EY の『企業のダイベストメントに関する意識調査』(原題:"Global Corporate Divestment Study")は、世界中の大企業の経営幹部(C-suite)を対象として、Euromoney Institutional Investorのグループ会社であるThought Leadership Consulting社が年に一度実施している調査です。2020年度の調査には、世界でも有数のアクティビスト投資家25名を対象に行った別の調査に対して、投資家たちが企業の事業再編・売却に関する考えを述べた回答結果も含まれています。

調査の重点分野:

  • コロナ危機が事業再編・売却のタイミングと戦略に与える影響
  • 今後一年間に事業再編・売却を加速させる要因
  • 財務と事業運営の回復力(レジリエンス)を強化するために企業が講じている手段
  • グローバルなアクティビスト投資家の視点

調査参加者のプロフィール
本調査は、コロナ危機発生前(2019年11月から2020年1月にかけて)に実施された、グローバル企業の経営幹部1010名と世界的なアクティビスト投資家25名を対象としたオンライン調査の結果、およびコロナ危機発生後(2020年4月から5月にかけて)に実施された、企業の経営幹部300名と世界的アクティビスト投資家25名を対象としたオンライン調査の結果に基づいています。回答者の75%が、CEOやCFOレベルの経営幹部(C-suite)となっています。

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本ニュースリリースは、EYのグローバル組織のメンバーファームであるアーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッド(EYGM)によって発行されています。EYGMは顧客サービスを提供していません。

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