アドバイザリー
SIU(Strategic Impact Unit)コラム【バイオの世紀】

第4回 海外で先行、燃料シフト

2020.03.18

自動車や航空機などに使う燃料分野でもバイオシフトが進んでいる。トウモロコシやサトウキビなどから作るバイオエタノール、菜種やパーム油などから作るバイオディーゼルなどがあり、海外を中心にバイオ燃料を取り入れる動きが一段と活発になっている。

まず各国で進んだのが、エネルギー上の安全保障も兼ねたバイオ燃料の利用促進策だ。米国では2005年に成立した「エネルギー政策法」で、航空機や自動車、船舶などの輸送用燃料にバイオエタノールを一定割合混ぜることを義務づけた。英国やフランス、ブラジル、インドネシアなどでも、輸送用燃料の一定量をバイオ燃料とすることを義務づけたり、税制面での誘導策を講じたりしている。

最近、特に大きく進んでいるのが、航空機用のバイオジェット燃料の利用である。海外ですでに商業飛行に使われており、米ユナイテッド航空が2016年、米航空会社で初めて定期便への使用を開始。独ルフトハンザ航空や英ブリティッシュ航空なども使っており、国際民間航空機関(ICAO)によると、バイオジェット燃料による商業飛行はこれまでに計20万回以上になる。世界では常に数十機がバイオジェット燃料で飛んでいる。

背景にあるのが、ICAOが2021年に始める二酸化炭素(CO)排出規制だ。航空機のCO排出量が2020年実績を超える場合に航空会社に排出枠の購入を義務づけた。今後、バイオジェット燃料の利用は増え続ける見通しで、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の調査では、世界の市場規模は2030年に4兆円、2050年に19兆円になると予測している。

バイオ燃料の課題は、原料のトウモロコシや大豆などが食料と競合することである。国連食糧農業機関(FAO)はバイオ燃料や食肉の需要拡大により2019年10月の世界の食料価格指数が約2年ぶりの高水準になったと発表した。

そうした中、注目されているバイオ燃料の原料が、藻類である。食用ではないので食料需給に影響しない。中でも微生物と植物の両方の特徴を持つ「微細藻類」は食用のタンパク源や炭水化物としても有望で、COも吸収する。

大学や企業の取組みも活発だ。東京大学は石油の代わりに微細藻類による「バイオマスコンビナート」を造ってCO削減と産業活動を両立する「バイオマス・ショア構想」を打ち出した。一方、ユーグレナは2018年10月、日本初のバイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラントを完成し、2020年の旅客機の商用飛行に向けて準備を進めている。

藻類バイオ燃料の製造法

図 藻類バイオ燃料の製造法
(日経産業新聞連載より転載)

【筆者】

EYアドバイザリー・アンド・コンサルティング株式会社
シニアマネージャー 齊藤 三希子

国内シンクタンクを経て現職。再エネ活用の地域活性化、スマート農業、農作物のブランド化、食農ヘルスケアなどの業務に従事。最近ESG(環境 ・投資・企業統治)など社会課題解決型の事業組成に取り組む。

※所属・役職等は掲載当時