独占禁止法・競争法関連支援(カルテル・談合に関する社内調査支援など)

> Forensics

近年の独占禁止法改正を受けて、カルテル・談合などの違反行為による課徴金の企業に与える影響が大きくなっています。また、コンプライアンス意識の世界的な高まりから、違反企業に対する社会の目も厳しくなっています。

EYは不正調査・コンプライアンスに関する豊富な業務提供経験やAIなどの先進的なテクノロジーの活用を通じて、社内調査など企業の独占禁止法・競争法違反行為への対応を多角的に支援します。

増大する独占禁止法・競争法関連リスクと求められる対応

独占禁止法が施行されて以降、カルテル・談合などの同法違反行為に対しては厳しい行政処分が課されていますが、2019年(令和元年)の同法関係法令の改正により課徴金の算定期間が長くなるなど、同法違反が企業に与える影響はさらに大きいものになることが想定されます。

上記に加え、新たに導入された調査協力減算制度を効果的に利用することで、独占禁止法違反が企業に与える影響の軽減につながることを踏まえると、同法違反行為に関する社内調査はこれまで以上に徹底して行うことが得策であると考えられます。

<申請順位および調査協力減算制度の利用により適用される減免率>

申請順位及び調査協力減算制度の利用により適用される減免率

(※)調査開始前の減免申請者の数と合わせて5社以内である場合に限り適用
公正取引委員会「調査協力減算制度の運用方針」、2020年9月、www.jftc.go.jp/dk/guideline/unyoukijun/tyousakyouryoku.html(2023年4月25日アクセス)を基にEY作成

また、世界の多くの国・地域において日本の独占禁止法に相当する競争法が整備されており、日系企業も違反調査の対象となっているため、特に海外にビジネスを展開している企業は海外の競争法にも注意を払う必要があります。

<カルテル・談合に関する日本国内の課徴金事例>

カルテル・談合に関する日本国内の課徴金事例

公正取引委員会 「(令和5年3月30日)旧一般電気事業者らに対する排除措置命令及び課徴金納付命令等について」、www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2023/mar/230330_daisan.html(2023年4月25日アクセス)、
「(令和2年12月22日)東海旅客鉄道株式会社が発注するリニア中央新幹線に係る品川駅及び名古屋駅新設工事の指名競争見積の参加業者に対する排除措置命令及び課徴金納付命令について」、www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2020/dec/201222.html(2023年4月25日アクセス)、および
「(令和元年7月30日)アスファルト合材の製造販売業者に対する排除措置命令及び課徴金納付命令について」、www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2019/jul/190730.html(2023年4月25日アクセス)を基にEY作成

<カルテル・談合に関する日系企業に対する日本国外の罰金または制裁金事例>

カルテル・談合に関する日系企業に対する日本国外の罰金または制裁金事例

(※)金額について、米国は罰金、EUは制裁金
経済産業省 「企業の独占禁止法コンプライアンス強化に向けた日米欧における競争法違反発覚後の実務調査報告書 (2019年3月)」、www.meti.go.jp/policy/kyoso_seisaku/tyousahoukokusyo.pdf(2023年4月25日アクセス)を基にEY作成

独占禁止法・競争法違反行為に関する社内調査支援

課徴金減免申請の順位に応じて課徴金の減免率が変わるため、カルテル・談合などに関する情報に接した際は、可能な限り早い段階で社内調査を開始し、正確な事実を把握することが今後の対応の方向性を決定する上では非常に重要です。

また、カルテル・談合などの社内調査を通じて、連鎖的に他の商品や役務に関するカルテル・談合などが発覚することがあります。そのため、社内調査開始当初は想定していなかった潜在的な行為についてもいち早く課徴金減免申請を行うことができるよう、調査スコープを当初の情報の範囲に限定せず、他の商品や役務も含めた徹底的な社内調査を行うことが望ましいと考えます。

EYは蓄積したナレッジや、テクノロジーを活用して、効率的かつ効果的な社内調査の実現をサポートします。

  • デジタル・フォレンジック調査

重要なデータやコミュニケーションの記録などを発見するため、専門のコンサルタントがPCやモバイルデバイス、スケジュール帳などを保全するだけでなく、削除データを可能な限り復元した上でレビューを実施します。

特にカルテル・談合などに関連する重要なデータやコミュニケーションを迅速かつ的確に検出するには、連絡を取っている者同士の関係性やコミュニケーション内容に込められた意図に加え、業界固有の複雑な商慣習を正確に理解した上でレビューを実施する必要があります。

EYは会計監査業務などを通じて得た広範な業界に対するナレッジを活用しつつ、公正取引委員会での業務経験者を含めた不正調査の経験が豊富なコンサルタントによるチームでレビューを実施し、重要なデータやコミュニケーションを迅速かつ的確に検出することで、社内調査開始当初に想定していた行為に加え、潜在的な違反行為の検出もサポートします。

また、レビューで使用しているソフトウェアに備わっているAIによるレビュー対象ドキュメントのスコアリング(疑義内容との関連性の高さを表示)機能を活用することで、効率的かつ効果的なレビューを実施します。

  • Forensics Data Analytics(FDA)

メールやチャットなどの非構造化データや、取引記録などの構造化データをデータアナリストが可視化することで、事案解明に有用な分析が可能になる場合があります。

例えば、単価の推移から異常性を検知したり、経費データやスケジュールデータを組み合わせて分析することで、いつ、誰が会合に参加していたかを可視化することが可能です。また、可視化したデータにメールレビューや、インタビューから得られた情報を分析軸に加え、多面的かつ流動的にリスクエリアを検出することも可能です。

独占禁止法・競争法違反行為に関する社内調査の事前準備支援

実際に独占禁止法・競争法違反行為に関する疑義が生じて、社内調査を開始する場面では、時間や人的リソースなどが切迫している状況であることが容易に想定できます。そのため、独占禁止法・競争法違反行為に関する疑義が実際に生じていない平時から、社内調査に備えた十分な事前準備を進めておくことは、同法違反行為が企業に与える影響を軽減する上では非常に有用であると考えられます。

EYは平時における社内調査の事前準備についても、主に下記のサービスにより幅広くサポートします。

  • インフォメーションガバナンス

増大するデータのマネジメントの枠組みを「インフォメーションガバナンス」と呼び、データの保全などを専門とするコンサルタントが有事での調査を見据えたインフォメーションガバナンス体制の構築を支援します。

これらを構築することで、社内調査の初動がスムーズになり、ひいては迅速な課徴金減免申請の対応も可能となります。

また、企業が起用する外部の弁護士と協働の上、判別手続に備えた準備も支援可能です。

  • 内部通報システムの脆弱性診断支援

カルテル・談合などの独占禁止法・競争法違反行為を早期に発見する有効な手段の一つとして、役職員による内部通報が挙げられます。

EYは、企業の内部通報窓口に対して架空の不正リスクシナリオを通報することなどによって内部通報システムの脆弱性をテストするとともに、その根本原因を追究し、改善の方向性を提案することが可能です。

お問い合わせ

より詳しい情報をご希望の方は、EY Forensicsチームにお問い合わせください。