アシュアランス
IASBの動向

公開草案「保険契約」の公表

2013.06.21

2013年6月20日、国際会計基準審議会(以下、IASB)は改訂公開草案「保険契約」(以下、本ED)を公表しました。

IASBは米国財務会計基準審議会(FASB)と共同で本プロジェクトを進めており、多くの部分でその結論は同様であるものの、利益の認識パターンなどいくつかの重要な点でその見解は異なっています。
現在のIFRS第4号「保険契約」ではIAS第8号「会計方針、会計上の見積りの変更及び誤謬」のGAAPヒエラルキーが免除されているため、一部の例外を除き、現地の保険契約に関する会計基準をIFRS財務諸表においても適用することが可能であり、そのため、投資家が財務諸表の理解に必要とする全ての情報が提供されず、また企業間比較が困難なものとなっているといわれています。
本EDは保険契約に関する一貫した会計基準を開発し、保険契約が企業の財政状態、財務業績及びキャッシュ・フローに与える影響に対する財務諸表利用者の理解を容易にすることを目的としています。なお、保険会社が発行した保険契約に限らず、他の企業が発行した保険契約にも等しく本EDは適用されます。また、ある種類の固定料金サービス契約、第三者が製造した製品に対する保証及び保証残存価値、裁量権のある有配当投資契約を発行する一部の企業も本EDの影響を受ける可能性があります。
貸借対照表には、契約から期待される利益及び保険契約に係る将来キャッシュ・フローに関する現在の見積り(キャッシュ・フロー発生の金額やタイミングの不確実性について調整)が計上されることになります。後者は将来キャッシュ・フロー(保険料、保険金、給付金等)、リスク調整(将来キャッシュ・フローの金額に関する不確実性に対する対価)及びディスカウント(割り引き)の3つの要素からなる履行キャッシュ・フローに該当します。

保険収益に関し、以前に公表された公開草案(2010年公表、以下2010年ED)では純額ベースのマージンのみを包括利益計算書に計上することが提案されていましたが、本EDでは保険契約収益は、保障/補償や他のサービスの提供、予想される保険金、給付金及び費用の支払及び当期中のリスク負担に係る対価を表すものとして総額ベースで表示することが提案されています。
また2010年EDでは、保険契約から将来稼得される利益に係る見積りの変更を、見積りの変更を行った期に全額純損益に認識することが提案されていましたが、本EDでは残りの保障(補償)期間を通じて認識することが提案されています。
加えて、保険契約負債に関する利息費用及び割引率の変動による保険契約負債の帳簿価額の変動は、原則、それぞれ純損益及びその他の包括利益で認識されます。

企業は(最終基準化された)本EDの当初適用時に、その時点で存在する保険契約に係る残存未稼得利益及び保険契約収益を見積もることが求められています。2010年EDで提案されていた当初適用時の会計処理に従った場合、当初適用時以降、既存契約からその残存保障(補償)期間にわたって利益が生じないことになり、当初適用時以降に引き受けた契約との間で比較可能性が損なわれることから、本EDでは上記のような新たな提案が行われています。

また、2012年11月にIASBは公開草案「IFRS第9号に対する限定的な改訂:分類及び測定」を公表しており、そこでは一定の負債性商品に対して、その他の包括利益を通じた公正価値測定(FVOCI)のカテゴリーの導入が提案されています。企業は保険契約に対応する金融資産を保有しているため、保険契約に関する提案とIFRS第9号に対する改訂提案は密接に関連したものとなります。したがって、IASBは最終基準化された保険契約に関する会計基準の当初適用時に生じる(もしくは生じなくなる)会計上のミスマッチを再検討できるように提案しています(保険契約に対応する金融資産を純損益を通じて公正価値で測定する(もしくは測定しない)選択をする)。

コメント提出期限は2013年10月25日です。なお、本EDには最終基準となるべきすべての内容が含まれてはいるものの、2010年EDにおける提案からの変更点に対するコメントのみをIASBは要求しています。

IASBプレスリリース

公開草案「保険契約」




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