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IFRS第9号「金融商品」最終版(2014年7月公表)に関する金融機関への影響 ~減損について~

2016.04.25
石川 浩次郎
石川 浩次郎
新日本有限責任監査法人
金融部 シニアマネージャー
2004年に当法人入所後、銀行、保険会社等各種金融機関の監査業務に従事するとともに、内部統制構築に係る支援業務に従事。現在は、銀行、証券会社、保険会社、信販業等幅広く金融機関に対するIFRSに基づく監査業務に従事する傍ら、大手金融機関に対するIFRS導入支援業務、影響度調査業務に従事。
日本公認会計士協会銀行業金融商品等専門部会専門委員。公認会計士。

Summary

  • IFRS第9号における貸倒損失計上のアプローチは、相対的アプローチの導入、フォワード・ルッキングな情報の加味等、日本基準における貸倒損失計上のアプローチとは異なる点が存在し、現行会計実務を大きく変更することとなる可能性があります。
  • 予想貸倒損失の測定にバーゼル上のパラメータを使用する場合には、予想貸倒損失の測定のために、必要に応じてパラメータを修正して使用する必要があります。
  • 減損は金融機関にとってビジネスの根幹となるため、導入にあたっては実務に与える影響を慎重に検討して対応方針を決定する必要があります。また、様々な部署に関連することとなるため、各部署で連携することが導入プロジェクトの推進にあたっての重要なサクセス・ファクターとなります。

IFRS第9号における減損のアプローチの概要

(下の図をクリックすると拡大します)

予想貸倒損失算定のステップ

信用リスクの著しい増大の評価 12カ月の予想貸倒損失に基づいて貸倒引当金を計上するか、残存全期間の予想貸倒損失に基づいて貸倒引当金を計上するかが変わるため、当初認識時以降の信用リスク状況のトラッキングが必要となります(相対的アプローチ)。
予想貸倒損失の測定 全期間の予想貸倒損失に基づいて貸倒引当金を計上することが必要と判断された金融商品について、金融商品の残存全期間にわたるすべての回収不能予想額の現在価値に基づき、貸倒引当金を見積ることが要求されます。
IFRS第9号では、信用リスクの著しい増大の評価・予想貸倒損失の測定それぞれにおいて、フォワード・ルッキングな情報およびマクロ経済要因を織り込む必要があります。

How we see it

  • 信用リスクの絶対的な水準を用いた与信管理システムを有する金融機関にとり、相対アプローチの導入はシステム対応等大きな影響を及ぼすこととなります。
  • 本基準の要求事項に対応するために、既存のバーゼル規制上の枠組みをどのように活用するかが重要な検討課題となります。

【本件に関するお問い合わせ先】

新日本有限責任監査法人
金融部 シニアマネージャー 石川 浩次郎
raat@jp.ey.com




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