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日本の動向

IFRS第9号(最終版)に関する金融機関への影響 ~ヘッジ会計~

2016.06.29
内藤 裕
内藤 裕
新日本有限責任監査法人
金融部 マネージャー
2005年12月に新日本有限責任監査法人入所後、銀行、証券会社、投資運用会社、IT系コンサルティング会社等の会計監査業務、J-SOX対応支援業務、受託業務に係る内部統制の保証報告書作成業務等に従事。
2012年7月から2014年6月まで証券取引等監視委員会事務局証券検査課にて証券検査官(金融庁監督局証券課併任)として、金融商品取引業者等の情報収集や分析、大手国内系・外資系証券会社および投資運用会社に対する証券検査業務に従事。
2014年7月より新日本有限責任監査法人金融部に復帰し、銀行、証券会社および投資運用会社等に対するアドバイザリー業務(規制対応、IFRS導入支援等)に従事。

Summary

  • IFRS第9号(最終版)の公表により、金融商品会計への影響度の調査や課題の把握などIFRSが財政状態や損益に与える影響を具体的に分析できる環境が整ってきている。
  • IFRSでは、日本基準における金利スワップの特例処理や為替予約の振当処理といった特例がなく、ヘッジ有効性要件を満たす場合でも非有効部分を純損益に認識することが求められる。
  • IFRS第9号がクローズド・ポートフォリオを前提としているため、業種別監査委員会報告の包括ヘッジを適用している銀行業においては、IFRSを適用する場合にヘッジ会計の見直しが(場合によってはALMによる管理、ITインフラの見直しも)必要となる可能性がある。

各ヘッジ活動とIFRS第9号および日本基準の会計処理

ヘッジ活動の成果を財務諸表に反映させ、会計上のミスマッチを解消するという基本コンセプトは、日本基準とIFRSで相違ないものの、ヘッジ会計処理の適用方法については相違する部分がある。

(下の図をクリックすると拡大します)

銀行業における包括ヘッジ

日本基準 銀行業においては、金融商品会計基準の一般的なヘッジ会計に加えて、期限前償還リスクにさらされる小口多数の金銭債権債務を抱えるその特性から、業種別監査委員会報告第24号および第25号にて動的リスク管理に対応する特別な包括ヘッジの会計処理が定められている。
IFRS第9号 業種別の基準が存在しないため、単一のヘッジ会計モデルがすべての業種に適用される。
業種別監査委員会報告の包括ヘッジが適用されるポートフォリオに対してIFRS第9号に基づくヘッジ会計を適用する場合、IFRS第9号ではヘッジ対象とヘッジ手段のひも付けを指定する必要があるため、ヘッジ会計の要件を満たしつつヘッジ実務として実現させるためにはさまざまな課題が存在する。

How we see it

  • IFRS第9号では非有効部分を純損益に認識する必要があるため、ヘッジ活動の実態が損益計算書にタイムリーに反映される。
  • 経済的関係を重視し、将来に向かって行われる有効性判定に加えて、多様なヘッジ指定の方法が認められているため、よりヘッジ活動の実態を財務諸表に反映させることが可能になる。
  • 業種別監査委員会報告の包括ヘッジが適用されるポートフォリオにIFRS第9号の一般ヘッジ会計をどのように適用するかについては、海外の先行事例等も踏まえ、慎重に検討する必要があると考える。

【お問い合わせ先】

新日本有限責任監査法人 金融部
raat@jp.ey.com




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