アシュアランス
IFRS Developments

リース費用 - 定額法適用の提案の見直し

2011.06.28
重要ポイント
  • 全てのリースについて、借手は、現行のIAS第17号のファイナンス・リースと同じ方法でリース費用を認識することとなる(リース期間の前の方で費用認識が増加する)。
  • 2011年4月に暫定的に決定された、オペレーティング・リースと同様の会計処理(リース費用を定額で認識する方法)は否定された。
  • 貸手の会計処理についても議論されたが、暫定的決定はなかった。
  • 変動リース料の会計処理をさらに改善し、使用頻度や業績に応じて決定される変動リース料のほとんどが、資産及び負債の金額に含まれない旨が暫定的に決定された。
  • 他の基準書における支配の概念と整合するよう、リースの定義の基礎となる原則が明確にされた。この変更により、現行基準でリースとみなされている一部の契約がリースとみなされなくなる可能性がある。

概要

国際会計基準審議会(IASB)と米国財務会計基準審議会(FASB)(以下、併せて両審議会)は、リースの借手の会計処理において、重要な財務要素を含むか否かでリースを分類するという暫定的決定を取り下げた。

2011年4月には一旦、重要な財務要素を含むリースと含まないリースに分類し、重要な財務要素を含まないリースは、現行のIAS第17号におけるオペレーティング・リースと概ね同様に、リース費用を定額法により認識することを暫定的に決定していた。

しかし今回の決定でこの暫定的決定は見直され、公開草案の提案どおりに、全てのリースについて、借手は、現行のIAS第17号のファイナンス・リースと同じ方法でリース費用を認識することになった。

なお、この決議も暫定的なものであり、基準が最終化されるまでに決議内容が変更される可能性があることに留意されたい。

借手は、全てのリースについて同一の会計処理方法を適用することになり、リース期間の前の方で費用認識が増加する形となる。

費用認識方法

前述のとおり、両審議会は2011年4月に、借手に関して、IAS第17号「リース」におけるファイナンス・リースとオペレーティング・リースの分類指標に似た指標を用いて、2種類のリース区分を設けることを暫定的に決定していた。

いずれのリースにおいても資産及び負債が認識されるが、費用認識は異なっていた。

具体的には、重要な財務要素を含むリースの場合、現行のIAS第17号におけるファイナンス・リースとほぼ同じく、実効金利法により利息費用が認識され、使用権資産は個別に償却されることとなる。このアプローチに基づくと、借手の期間費用合計(利息と償却費の合計)はリース期間の前の方で多く計上され、その後少なくなる。

一方、重要な財務要素を含まないリースの場合、現行のIAS第17号におけるオペレーティング・リースとほぼ同じく、リース費用は定額法により認識されることとなる。リース費用の認識に定額法を用いるため、費用の合計金額が均等になるように毎期の償却費が認識される。つまり償却費は、リース費用合計(毎期均等)と利息費用の差額として計算される。

この4月の提案は、「公開草案で提案された方法(現行のファイナンス・リースと同等の処理だけを適用するという方法)では経済実態を適切に表せないリースも数多くある」という関係者からのフィードバックを反映したものであった。しかし、リース費用を定額法で認識するという提案は、他のプロジェクトにおける提案内容や概念フレームワークの考え方と矛盾するという点から、認められないこととなった。結局5月の審議により、公開草案の提案に戻された形となった。

これにより、借手は全てのリースについて、ファイナンス・リースと同じ費用認識方法(のみ)を適用しなければならない。この費用認識方法は、現在のIAS第17号のファイナンス・リースの処理及び公開草案の提案内容と整合するものである。
両審議会はまた、貸手の会計処理についても議論を行い、単一の会計処理を適用させるのか、2つのモデルを用いてそれぞれで異なる会計処理を適用させるのか等を検討したが、暫定的な決定には至っていない。

弊社のコメント
両審議会は、使用権モデルに基づく借手の会計処理について、提案の重要な見直しを継続して行っている。今後の審議でも引き続き見直され、最終基準が当初の公開草案と大幅に異なるものになる可能性もあると我々は考えている。

変動リース料

業績や使用頻度に応じて決定される変動リース料は、その発生時に認識されることが暫定的に決定された。たとえば、リースにより賃借している店舗のリース料が年間売上高に基づいて変動する場合、その変動リース料は、(借手の)使用権資産及びリース料支払債務の金額に含まれず、当該店舗の売上発生時に認識されることとなる。

両審議会は、資産及び負債の測定金額から除外されるリース料は本当に変動性があるものでなければならないとする規定を、最終基準に含めることに合意した。つまり、契約上は変動料金とされていても実際は定額となる支払いは、定額のリース料として扱わなければならない。

両審議会は、(合理的に保証されているといった)発生確率の高い変動リース料を資産及び負債の測定金額に含めることを求めた以前の暫定的決定を見直したのである。

リースの定義

両審議会は、「特定の資産」及び「特定の資産の使用を支配する権利」という、リースの定義の基本となる2つの主要概念を明確化することに合意した。

両審議会は、現行基準と整合するように、特定の資産は固有かつ識別可能な資産でなければならないことに合意した。大きい資産の物理的に区分可能な一部分(例:高層ビルの1フロア)は特定の資産となりうるが、物理的な方法で資産を区分できない場合(例:パイプライン容量の50%)は特定の資産には該当せず、リースの対象にはならない。また、供給者が特定資産ではなく代替資産で賃貸できる契約もリースにはならない。

両審議会は、顧客が資産の使用を指図し、かつ、その使用による便益を受けることが出来る場合に、特定の資産の使用を支配する権利が移転されるという点に合意した。顧客が資産の使用によるすべての便益を受けるものの、その使用を指図できない契約は、その資産が提供サービスから区分できない限り、リースに該当しない。両審議会は、資産がサービスから区分できるかどうかの判断に関して、収益認識プロジェクトにおける履行義務の識別に関するアプローチと整合する規定を追加で提供することに合意した。

リースの定義が上記のとおり変更されることで、現行基準ではリースとみなされている一部の契約がリースとみなされなくなると想定される(例:一部のテイク・オア・ペイ契約)。両審議会は、公開草案の提案内容では多くのサービス契約が組込リースを有することになり、リース関連の資産及び負債を認識する必要が生じるのではないか、という関係者の懸念に対応するため、上記の改訂を行ったのである。また、この改訂により、特定の資産の使用を支配する権利は、収益認識プロジェクトで用いられている支配の概念と整合することになる。




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