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IFRS Developments

リース会計 - 草案の再公開の決定及び貸手の会計処理に関する新たな提案

2011.07.29
重要ポイント
  • 両審議会は、リース基準に関する草案の再公開を決定した。
  • 貸手の会計処理について、現行基準及び昨年公表された公開草案の内容と大きく異なる方法を新たに開発している。
  • 貸手の会計処理について、現行基準より大幅に複雑になることが想定される。
  • 貸手は、(短期リースを除く)すべてのリースについてリース料受取債権を認識することになる。また、リースされる原資産の帳簿価額の一部が残余資産に再分類され、それ以外の部分は認識を中止する。
  • 貸手における利益認識の時点及び方法は、リースによる利益が「合理的に確実視」されているか否かによって異なる。

概要

国際会計基準審議会(IASB)と米国財務会計基準審議会(FASB)(以下、総称して「両審議会」)は、リース基準に関する草案を再度公開することを正式に決定した。その理由は、両審議会が提案内容を昨年公表した公開草案から大きく変更したためである。この決定により、関係者は変更内容に関してコメントを提供する機会が与えられることになる。

リース基準に関する草案が再公開されることにより、関係者は、両審議会の提案する変更内容に関してコメントを提供する機会が与えられることになる。

また、両審議会は貸手の会計処理についても重要な決定を行い、貸手は、一部の例外を除き、全てのリースについて単一のアプローチを適用しなければならない旨が決定された。この会計処理は、現行基準及び昨年公表された公開草案(以下、当初ED)の内容と大きく異なる。

金融商品プロジェクトとの相互関係、リース契約の変更、残価保証、減損、財務諸表の表示、開示及び経過措置といった貸手特有の他の論点についても、今後議論が必要である。

なお、現在までに両審議会によって決議された内容は全て暫定的なものであり、最終基準が承認されるまでは確定していない点に留意が必要である。

貸手の会計処理

当初EDにおける提案内容では、貸手は、原資産に関連する重要なリスク又は便益に対するエクスポージャーを留保しているかどうかに基づき、2つのアプローチのいずれかを適用することとなっていた1。当初EDにおけるこの貸手の会計処理に対して、様々なフィードバックがあった。1つのアプローチに統一することが望ましいという意見もあれば、提案により現行の貸手の会計処理規定が改善されるのか疑わしく、現行の会計処理を残すべきという意見もあった。

両審議会は直近の会議で、貸手はすべてのリースについて「債権及び残余」アプローチという単一のアプローチを適用することに合意した。ただし、以下の2つの例外が設けられている。

  • 投資不動産 - 貸手は、公正価値で測定される投資不動産のリースについて、債権及び残余アプローチを適用しない。
  • 短期リース - 貸手は、短期リースにつき、現行のオペレーティング・リースの会計処理を適用するという会計方針を選択できる。短期リースとは、更新オプションを含めた起こりうる最長期間が12ヵ月以内であるリースをいう。

両審議会はこれまでに、リースの定義、リース期間、リース料、割引率といった、貸手に関する他の主要な概念について決議を行った。また貸手は、非リース要素(サービス及び未履行費用を含む)とリース要素のすべてを、収益認識プロジェクトで提案されている配分方法(多くの場合、売価の相対比による配分となる)を用いて区分しなければならないことが決定された。

  1. 公開草案「リース」に関する詳細については、IFRS Outlook増刊第79号「リース会計に関する公開草案の公表」を参照されたい。

債権及び残余アプローチ

債権及び残余アプローチの下では、貸手はリースの開始日に以下の処理を行う。

  • リース料を受け取る貸手の権利について、リース料受取債権を認識する
  • リースされる原資産の帳簿価額を、借手に付与される使用権に関連する部分と貸手に残存する部分(すなわち残余資産)に配分する
  • 利益が合理的に確実視されていれば利益を認識し、損失が予想されれば損失を認識する

リース料受取債権は、リース期間にわたり支払われるリース料を、貸手が借手に課す利子率を用いて割り引いた現在価値で当初認識される。このとき貸手は、借手に適用されるものと同じ規定を用いてリース期間及びリース料を決定することになる(例:使用に応じた変動リース料を考慮しない)。

原資産の帳簿価額の配分は、リース料受取債権の当初測定額とリースされる原資産の公正価値の比率に基づいて行われる。当該リースによる利益が合理的に確実視されている場合、認識される残余資産は以下のとおり当初測定される。

当該リースによる利益が合理的に確実視されている場合、認識される残余資産

原資産の帳簿価額のうち、借手に付与される使用権に配分される部分は、認識を中止することになる。

リース料受取債権と認識を中止した原資産の帳簿価額部分の差額は、リースの開始日に利益(又は損失)として認識される。現行のファイナンス・リースの会計処理では、当初に認識される利益は、資産全体の売却益を反映したものとなっており、リースされる部分だけを反映したものではない。そのため、債権及び残余アプローチによれば一般に、現行のファイナンス・リースの場合よりも少ない額の利益が認識されることになる。

貸手はリース期間にわたり、リース料受取債権から生じる利息収入を認識し、残余資産を増加させる。利息収入及び残余資産の増加による収益は、貸手が借手に課している利子率を用いて計算される。

設例1:債権及び残余アプローチ
貸手がCU7,500の機械を製造し、その機械について3年間のリース契約を借手と締結した。リースの開始日の機械の公正価値はCU10,000であり、毎期末にCU2,400の年間リース料が支払われる。貸手は、リース期間終了時における予想残存価値をCU4,770と見積っている。支払リース料は割引率7.9%(貸手の計算利子率)で割り引かれ、現在価値はCU6,200である。
以下の表は、債権及び残余アプローチのもとで認識される金額を示している。
期間 リース料
受取債権
残余資産 認識される
利益B
現金受領額
開始日 CU6,200 CU2,850A CU1,550
第1年度 CU4,288 CU3,074   712 CU2,400
第2年度 CU2,225 CU3,316   579 2,400
第3年度 CU3,577C 436 2,400
合計     CU3,277 CU7,200
  1. A残余資産は、以下のとおり当初測定される。
    [CU7,500 - (CU7,500 x (CU6,200/CU10,000))]
  2. Bリースの開始日に、リース料受取債権(6,200)と認識を中止する原資産の帳簿価額の部分(原資産7,500-残余資産2,850)の差額が利益として認識される。リース期間にわたって認識される利益は、リース料受取債権の利息収入及び残余資産の増加による収益から構成される。
  3. Cリース期間の終了時における残余資産の帳簿価額は、当該時点の原資産の予想価値又は償却原価のいずれでもない。

貸手は、当該リースによる利益が合理的に確実視されている場合に限り、リースの開始日に利益を認識する。両審議会は、この「合理的に確実視されている」という指標に関して、リースの貸手の利益認識と収益認識プロジェクトで開発される原則を整合させることを意図している。また、この「合理的に確実視されている」という原則をリース契約に適用するための方法を明確化する予定である。

両審議会は、リース期間終了時の残存価値やリースの開始日における原資産の公正価値が見積れない場合のように、利益が合理的に確実視されない事例について議論した。そこでは、見積りに関して、前述のようなケースでもリース契約の収入が経験則で予測できると仮定すると、貸手は経験その他説得力のある証拠に依拠することになると示唆された。

利益が合理的に確実視されない場合には、リースの開始日に利益は認識されず、残余資産はリース料受取債権と原資産の帳簿価額の差額として当初測定される。残余資産はリース期間にわたり増加し、最終的には、当初の耐用年数及び残存価額を用いて減価償却した場合のリース期間終了時の原資産の帳簿価額に等しくなる。つまり、貸手は、一定の利益率を用いてリース期間にわたり残余資産を増加させることで利益を認識し、残余資産は、原資産が貸手の貸借対照表に残存したまま減価償却が行われた場合の価額まで増加する。他方、リース料受取債権にかかる利息収入は、貸手が借手に課している利子率を用いて、リース期間にわたり認識される。

弊社のコメント
我々は、草案を再公開するという両審議会の決定を支持する。また企業が、変更された提案内容を検討し、両審議会にコメントを提供することを強く推奨する。
一方、貸手の会計処理に債権及び残余アプローチを適用する方法については、疑問が残る。今後再公開までの数ヵ月間で、ガイダンスを追加もしくは文言を明確化することが望まれる。草案の再公開は、本年第4四半期(10-12月)になると思われる。



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