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IFRS Developments

リース会計-両審議会がリースのオンバランス化による影響を検討

2012.03.13
重要ポイント
  • 両審議会は、リースの借手の会計処理について、全てのリースのオンバランス化を求める会計モデルの開発に引き続き力を注いでいる。
  • 関係者の懸念に対応するため、IASB及びFASBは、一定のリースに関し、リース期間の前半に多くの費用が計上されることを軽減する方法をはじめ、リース会計についての過去の暫定的決定を大きく変更する方法を検討している。
  • IASBとFASBは、今後決議を行うにあたり、事前にさらなるアウトリーチ活動及びリサーチを実施することに同意した。
  • 追加の作業が行われることから、公開草案は少なくとも2012年第3四半期(7月‐9月)まで公表されない可能性が高い。

概要

国際会計基準審議会(IASB)と米国財務会計基準審議会(FASB)(以下、両審議会)は、2012年2月の会議において、リースに関する共同プロジェクトにおける過去の暫定的決定を一部を変更する可能性について審議した。

両審議会は実質的な決定を何も行わなかったが、過去の暫定的決定を変更して公開草案を再公表する前に、さらなるアウトリーチ活動及びリサーチを行うことに同意した。

公開草案の再公表の前に、今までの暫定的決定を変更すべきかについて十分検討することを両審議会が決定したことにより、プロジェクトは遅れる可能性が高い。両審議会は当初、公開草案の再公表を2012年第2四半期(4月‐6月)に予定していたが、少なくとも2012年第3四半期(7月‐9月)まで公表されないものと考えられる。

検討されている主要な変更点

両審議会は、すべてのリースの借手に対して、リース料支払債務及び対応する使用権資産をリースの開始日に認識しなければならないことを暫定的に決定していた。借手はその後、実効金利法を用いて利息費用を認識し、使用権資産を(通常は定額法で)償却する。そのため、現行基準でオペレーティング・リースに区分されているリースの借手は、全体的なリース関連費用が現在よりも早期に認識されることになる。

両審議会はまた、リースの貸手の原則的な処理とされた「債権及び残余アプローチ」を、貸手が投資不動産をリースする場合に適用しないことについて暫定的に決定していた。債権及び残余アプローチとは、リースの開始日にリース料受取債権を認識するとともに、リースされる原資産の帳簿価額を、借手に付与する使用権部分(リース部分)と貸手に残存する部分(残余資産)に配分し、リース部分に関連する利益を認識する方法である。

両審議会は、これらの暫定的決定が損益計算書に与える影響について、引き続き関係者から意見を聞いている。

両審議会は、リースのオンバランス化に引き続き力を注いでいるが、関連するリース収益及び費用の認識方法に関して問題に直面している。

借手の会計処理

多くの関係者は、全体的なリース関連費用が早期に認識される提案に対して、必ずしもすべてのリースの経済実態を反映するものではないとの懸念を表明している。これを受け、両審議会は、使用権資産の他の償却方法を検討しており、一定のリースについて、リース期間の前半での多額の費用計上を軽減させようとしている。

しかしながら、使用権資産及びリース料支払債務の認識及び当初測定、並びに実効金利法によるリース料支払債務の事後測定に関する提案の変更は検討されていない。

両審議会は、現在使われているどの方法とも異なる償却方法を検討している。新たな償却方法に基づくと、リース費用合計は大抵の場合に定額で認識されることにはならず、リース費用の認識時期と金額の関係が一定の要因に応じて変動することになる。

現在検討されている代替案の1つは、借手が、現行基準におけるリースの分類(オペレーティング・リースとファイナンス・リースの区別)の指標に似た原則を用いてリースを分類し、それぞれで異なる会計処理を適用するというものである。具体的には、一定のリース(現在のオペレーティング・リースが該当する可能性が高い)の場合、使用権資産の償却費が、リース期間の後半により多く配分される方法で認識される。そのため、リース費用合計はリース期間にわたり平準化して認識される。それ以外のリース(現在のファイナンス・リースが該当する可能性が高い)の場合、使用権資産の償却費は定額法で認識され、(現在のファイナンス・リースと同様)リース費用合計がリース期間の前半で多く計上されることになる。

もう1つの検討中の代替案は、原資産のリース期間にわたる予測消費パターンから、償却方法を導き出すというものである。この方法の場合、借手は、リース期間中に生じる、リース資産の公正価値の予想減少額を見積り、その予測消費パターン(すなわち、価値の減少の見積り)を用いて使用権資産の償却費を計算することになる。原資産の公正価値がリース期間中にほとんど減少しない場合、償却費はリース期間の後半で多額になり、前半では少額になる(リース期間にわたるリース費用合計は比較的均等になる)。原資産の公正価値が大きく減少すると予想される場合、各期の償却費は、より定額法に近いものになる(リース費用合計はリース期間の前半で多く計上される)。不動産の公正価値はほとんど減少しないことが多いため、この方法が適用される場合、機器リースよりも不動産リースにおいて、リース費用合計がリース期間にわたり、より均等に認識される可能性が高い。

弊社のコメント
現在検討されている代替案により、両審議会が提案するリースの会計モデルはさらに複雑になると思われる。そのため、今回の変更案が費用対効果の面で妥当といえるのかという疑問が呈される可能性がある。
また借手にとって、最終的にリース費用合計がリース期間にわたり平準化されない可能性があるにもかかわらず、追加的な計算や多くの見積り、判断が求められることになろう。

両審議会は、関係者が表明している懸念事項の解決策を模索している。そのため、プロジェクトが最低でも数カ月程度遅れる可能性が高い。

貸手の会計処理

関係者はまた、リースの貸手の会計処理につき、一部のリースでは債権及び残余アプローチが適切ではなく、当該アプローチの運用にあたり問題が生じるという懸念を表明している。両審議会は、借手の会計処理の見直しを検討するとともに、貸手の会計処理についても従前の決定事項の見直しを検討している。原価で測定される投資不動産のリースに対する適用除外規定を設けるとした暫定的決定も、見直しの対象となっている。審議会のほとんどのメンバーは、概念的に借手と貸手で整合したリース会計モデルを開発することが望ましいと考えているようである。

次のステップ

両審議会の一部のメンバーは、検討中の代替案について、概念上の問題と運用上の懸念を提起した。その結果、両審議会は、今後決議を行うにあたり、追加の情報が必要であると判断した。両審議会は、以下の懸念に取り組むため、追加のアウトリーチ活動及びリサーチを実施することに同意した。

  • 代替案が運用可能であるか(すなわち、作成者は、その方法を容易に適用することができるか。また、そのコストはどの程度になるか)
  • 代替案に基づき作成される財務情報は、意思決定に有用な情報を提供し、利用者のニーズに応えるものであるか
  • 代替案を採用した場合の他の影響(たとえば、減損に関する追加的分析の要否など)
弊社のコメント
我々は、公開草案を再公表する前に、今までの暫定的決定を変更する可能性をより十分に検討するという両審議会の決定を支持する。




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