アシュアランス
IFRS Developments

新たな分類により定額法によるリース処理が復活

2012.06.18
重要ポイント
  • IASBとFASBは、主としてリースの対象となる原資産の性質に基づいてリースを分類することを決定した。
  • 借手に関しては、リース費用がリース期間を通じて定額で認識される場合もあれば、リース期間の初期に多くのリース費用が認識される場合もある。すべてのリース(短期リースを除く)は、貸借対照表に認識されることになる。
  • 損益計算書におけるリース関連費用の表示は、リースの種類によることになる。
  • 貸手(投資不動産をリースする貸手を含む)は、借手と同じ分類要件を用いることになる。

概要

国際会計基準審議会(IASB)と米国財務会計基準審議会(FASB)(以下、両審議会)は、一部のリースに関して、費用認識パターン及び関連する損益計算書の表示を変更することに暫定的に合意した。借手モデルのその他の部分について、変更は行われなかった。費用をリース期間の初期に多く認識するリースと、費用を定額で認識するリースに分類するにあたっては、通常、原資産の性質が用いられることになる。

貸手は、借手と同じ分類要件を用いる。ただし、貸借対照表でのリースの取り扱いは、貸手と借手で異なる可能性がある。

以前の決定では、ほとんどのリースは費用がリース期間の初期に多く認識される結果となるが、これは一部の種類のリースの経済的実態を反映していないという関係者からの指摘を受けて、両審議会は開発中のモデルに対するこのような変更を行った。

両審議会のスタッフは、今回ですべての重要な論点の再審議が終了したと考えている。両審議会は、今後数ヵ月の間に、今回の決定が過去の決定(たとえば経過措置や開示)に及ぼす影響など、残りの論点に関する審議を行うことにしている。また、両審議会は、提案されている収益認識基準の再審議の一環として、貸手の会計処理の一部側面について再検討する可能性がある。両審議会は、リースに関する新たな公開草案を、2012年の第4四半期に公表してコメントを募集する予定である。

今回の両審議会の決定によって、リースの分類方法を変更することになり、一部のリースについては費用認識パターンが定額となる。

主要な決定事項

両審議会は、リースを2種類に区分することを決定した。本稿では、これらを「定額リース(straight-line leases)」と「前加重リース(accelerated leases)」と呼ぶ。借手と貸手の双方が、リースの分類にあたっては同じ要件を用いることになり、どちらに分類されるかにより、リース収益及び費用の認識パターンが異なることになる。

リースの分類

両審議会は、借手が、リース期間にわたり原資産の「重要でないとはいえない部分」(more than an insignificant portion)を取得し、消費するか否かに基づいてリースを分類するという原則を開発した。両審議会は、リース資産の耐用年数又は価値の比較的少ない割合(すなわち、重要でない部分)を移転するリースに関しては、リース収益及び費用をリース期間にわたって均等に認識することを決定した。

ただし、両審議会は、リースの対象となる原資産の性質に基づいて分類されるという反証可能な推定を追加することによって、分類の際の評価を簡素化した。両審議会の今回の決定によれば、リースは以下のように分類されることになる。

  • 不動産(すなわち、土地、建物、又は建物の一部)のリースは、以下のいずれかの条件が満たされる場合を除いて、定額リースに分類される。
    • リース期間が、原資産の経済的耐用年数の大部分にわたる。
    • 固定リース料の現在価値が、原資産の公正価値のほとんどすべてを占める。
  • 不動産以外の資産(例:設備のリースは、以下のいずれかの条件が満たされる場合を除いて、前加重リースに分類される。
    • リース期間が、原資産の経済的耐用年数のわずかな(insignificant)部分である。
    • 固定リース料の現在価値が、原資産の公正価値と比較して重要ではない。

このような分類評価の背景にある原則によれば、借手が、自ら消費する原資産の一部を取得するために調達した資金に対する支払いを行っているのか、それとも単に資産を使用するために支払いをしているのかに基づいた分類を行うということに焦点が当てられている。上記の推定は、ほとんどの不動産リースにおいて、借手がリース期間にわたり原資産の「重要でないとはいえない部分」を消費することがないのに対し、他のほとんどのリースでは、借手がリース期間にわたり原資産の「重要でないとはいえない部分」を消費していることに基づいている。

この推定は、上記に記載した条件が満たされた場合に反証可能である。

弊社のコメント
多くの不動産リースの収益及び費用の認識パターンは、現在の会計処理と変わらない。しかし、現在オペレーティング・リースとして会計処理されている多くの設備のリース(たとえば、リース期間が経済的耐用年数の25%にしかならない設備リース)は、前加重リースとして分類されることになり、現在の会計処理に基づいた場合とは異なる収益及び費用の認識パターンになる。
現行のリース基準では、リースの分類目的で不動産と不動産以外の資産を区別することは重要ではないかもしれない。提案されている基準ではこれと異なり、リース資産が不動産かどうかを評価するために、追加的な判断の行使が企業に求められることになろう。

借手の会計処理

2種類のリースの類似性

すべてのリース(短期リースを除く)は、貸借対照表に認識され、どちらの種類のリースに関しても、借手の使用権資産及びリース料支払債務の当初測定は、リース期間にわたるリース料の現在価値となる。

また、リース料支払債務の事後測定も、どちらの種類のリースであっても同じである。負債の増加分は、利息法を使用して(すなわち、一定の利子率を使用)計算され、リース料の支払いにより負債が減額される。

2種類のリースの相違点

使用権資産の事後測定と、それに対応するリース費用の認識パターンは、リースの種類によって異なる。

前加重リースに関しては、借手は使用権資産を(通常は定額法で)償却し、それとは別個に負債の増加分に関して利息費用を認識する。利息費用は通常は時の経過とともに減少するため、借手は、リース費用の総額を早期により多く認識することになる。このパターンは、現行のリース会計におけるファイナンス・リースの処理と同じであり、借入による非金融資産の購入と類似している。また、両審議会の2010年公開草案における費用認識アプローチとも整合している。償却費及び利息費用は、個別に、又は他の償却費及び利息費用と共にそれぞれ損益計算書に表示される。

定額リースに関しては、借手は、現行の会計処理におけるオペレーティング・リースの定額法による費用の算定と同様に、その期間における定額の費用と、負債の増加分(利息法を使用)の両方を計算する。次に借手は、定額法によるその期間における費用から、負債の当期増加分を控除して、使用権資産の変動額を算定する。定額リースに係る費用総額は、単一の表示科目(たとえばリース料又は賃料)として損益計算書に表示する。

例示:借手に関する2種類のリースの比較
借手が、3年間のリース契約を締結し、毎年度末に、1年目は10,000CU、2年目は12,000CU、3年目は14,000CUを支払うことに合意すると仮定する。使用権資産及びリース料支払債務の当初測定は、約4.24%の割引率を使って33,000CUと計算された。
リースされる資産が車の場合、リースは前加重リースに該当する可能性が高い。リースされる資産がオフィス・ビルのスペースである場合、リースは定額リースに該当する可能性が高い。下記の表は、会計処理の相違について説明している。
  1. 定額法による年間のリース費用は毎年12,000ドルになる[(10,000+12,000+14,000)/3]。
  2. 計算された年間のリース費用(すなわち、定額法により計算された金額)から、リース負債の増加分を控除して計算(すなわち、前加重リースに関して計算された利息費用)
  3. 前年度の期末残高から、使用権資産の変動額を控除して計算した使用権資産の事後測定額

弊社のコメント
一部のリースに関しては、定額での費用認識が認められるが、今回のアプローチは、それぞれの種類のリースの会計処理及び表示・開示規定により、借手の管理帳簿に関する負担の軽減をもたらすことにはならないと考える(場合によっては負担増もありうる)。

投資不動産の貸手であっても、借手と同じ分類要件を用いることになる。

貸手の会計処理

貸手は、定額リースにオペレーティング・リース処理を適用し、前加重リースに債権及び残余アプローチ1を適用する。オペレーティング・リース処理をする貸手は、借手がリース料支払債務及びそれに対応する使用権資産を認識していたとしても、リース債権の認識は行わず、また原資産の一部の認識中止も行わない。

投資不動産の貸手のために、特別の規定が含まれることはない。

  1. 債権及び残余アプローチを適用する貸手は、債権を認識し、リースの対象である原資産の帳簿価額を借手に付与された使用権部分と貸手に残存する資産に配分し、借手に付与された使用権に係る利益をリースの開始時に認識する。債権及び残余アプローチの詳細に関しては、IFRS Developments第17号「リース会計-貸手のリース処理のさらなる変更:投資不動産リースへのオペレーティング・リース処理の適用」を参照されたい



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