アシュアランス
IFRS Developments

IASBとFASBのリース・プロジェクトが進展

2014.05.09
重要ポイント
  • IASBとFASBは2014年4月の共同会議において、借手にほとんどのリースをオンバランスすることを求める公開草案の提案内容について、明瞭かつ簡素化するための方法を引き続き審議した。
  • 両審議会は3月に、主要な論点に関して互いに異なる見解を示したが、契約条件の変更、契約の結合、実質的に固定されているリース料、及びリース資産とリース負債の測定に用いられる割引率については、両者の見解が一致する暫定決定に至った。
  • 一方で両審議会は、指数又はレートに応じて決まる変動リース料をリース資産とリース負債の当初測定にどのように織り込むかについて合意したが、当該リース料の事後測定については、互いに異なる見解を示した。
  • 両審議会は5月の会議で、リースの範囲及び定義を再審議する。

概要

国際会計基準審議会(以下、IASB)と、米国財務会計基準審議会(以下、FASB)(以下、両審議会)は、2013年5月の公開草案1に対する「会計処理があまりに複雑である。また、適用するためのコストがかかりすぎる。」という、コメント提供者からの問題提起を受け、2014年4月の共同会議で、提案内容を明瞭かつ簡素化するための方法を引き続き審議した。

両審議会は3月の共同会議で、借手側の会計処理(単一アプローチと2タイプ・アプローチ)、貸手側の会計処理(タイプAリースに関するリスクと経済価値の移転の考え方)、及び少額資産のリースの例外措置など、基本的な論点で互いに異なる見解を示した2。一方で両審議会は、4月の共同会議では、多くの論点について両者の見解が一致するような暫定決定に至っており、IFRSと米国会計基準の基準差を最小限にする方向で引き続き検討する意思を示したといえる。しかし、借手及び貸手の会計処理に関する前述の基本的な相違点について、再検討の時期や、再検討そのものを行うかどうかは明らかではない。なお、現在に至るまでのすべての決定事項は暫定的なものである。

主な暫定決定事項

リース契約の条件変更

両審議会は、リース契約の条件変更の定義を、「リースの当初契約条件の一部にはなかった、契約上の条件変更」とすることを暫定決定した。

また両審議会は、以下の両方の要件が満たされる場合に、借手及び貸手はリース契約の条件変更を別個の新たなリースとして会計処理することを暫定決定した。

  • 条件変更により、当初のリース契約に含まれていなかった使用権(たとえば、原資産の追加や、同一の原資産であるが当初の更新オプションでは考慮されていなかった期間の追加)が借手に追加で付与される。
  • 追加された使用権の価格が、それ単独の価格と整合するように決定される。

条件変更が上記の要件を満たす場合には、条件変更前の当初リースと条件変更による新たなリースという、2つの別々のリースとして会計処理する。

契約条件の変更はあるが、別個の新たなリースを認識しない場合、借手は一般的には既存のリース負債と使用権資産を再測定することになり、純損益には影響が生じない。しかし、リース対象となる面積の縮小やリース期間の短縮など、リースの範囲を縮小する契約条件の変更がある場合には、借手はリース負債を再測定し、比例的に(たとえば、変更前のリース負債に対するリース負債の変動額の割合だけ)使用権資産を減少させる。この再測定によって生じた差額は、純損益として認識することになる。

同様に契約条件が変更されるが、別個の新たなリースを認識しない場合に、貸手は以下のとおり会計処理することが暫定決定された。

  • タイプBリース(通常は、現行のオペレーティング・リース)の条件変更は、実質的には新たなリースとなり、その受取リース料総額は、変更後の残存リース料に当初契約の前払及び未払リース料を調整した額と等しくなる。
  • タイプAリース(通常は、現行のファイナンス・リース)の条件変更は、IFRS第9号「金融商品」(米国会計基準ではASC第310号「債権」)に従って会計処理する。
弊社のコメント

今回のリース契約の条件変更に関する両審議会の決定は、どのような取引が契約条件の変更となるかを明確にすべき等の利害関係者からのコメントを受けたものである。

契約の結合

両審議会は、同時又はほぼ同時に同一の契約相手(又はその関係者)と締結される複数の契約について、以下のいずれかが満たされる場合に単一の契約とすることを暫定決定した。

  • 複数の契約が単一の経済的な目的を有し、一括して交渉されている。
  • ある契約で支払われる対価の金額が、残りの契約の対価又は履行に左右される。

この暫定決定は、「単一の取引とみなすべき場合に複数の契約を別個に会計処理すると、当該取引を忠実に表現できないことがある」という両審議会の懸念を反映したものといえる。なお、SIC第27号「リースの法形式を伴う取引の実質の評価」は、最終基準の公表時に廃止される予定である。

指数又はレートに応じて決まる変動リース料

両審議会は、指数又はレートに応じて決まる変動リース料は、公開草案(2013年)と同様に、リース開始日時点の指数又はレートを用いて算定して、リース資産及びリース負債の当初測定に含めることを暫定決定した。すなわち企業は、リース期間全体を通じて将来のリース料は変化しないと仮定して、リース資産及びリース負債を当初測定することになる。

さらに両審議会は、適用による手間やコストを削減するため、当該リース料の事後測定についても審議したが、借手については、次のような異なる見解を示している。FASBは、借手はリース期間の変更など他の理由によって、リース負債が再評価される場合にのみ、指数又はレートに応じて決まる変動リース料を再評価することを暫定決定した。このアプローチでは、借手は、指数又はレートに応じて決まる変動リース料の変動を、他の変動リース料と同様に変動のあった期の純損益に認識することになる。一方IASBは、借手は、契約上のキャッシュ・フローが変化する時点(当初のリースの条件に基づいてリース料が増加する場合など)であっても、指数及びレートに応じて決まる変動リース料を再評価し、リース負債を再測定することを暫定決定した。

貸手については、リース期間を再評価しないという2014年3月の暫定決定と整合するよう、両審議会は、指数又はレートに応じて決まる変動リース料の再評価を求めないことを暫定決定した。

実質的に固定されているリース料

両審議会は、実質的に固定されている変動リース料はリース料の定義に含められ、したがってリース資産及びリース負債の測定に反映されることを暫定決定した。最終基準の結論の根拠で、当該内容が現行の実務と整合すると想定される旨が記載される予定である。また両審議会は、実質的に固定されているリース料に関する設例を最終基準に盛り込まないことを暫定決定した。

割引率

両審議会は、リース資産及びリース負債の測定に使用される割引率についても、多くの暫定決定を行った。

公開草案においては、リース料総額の現在価値を算定するために使用する割引率は、以下のように提案されていた。

  • 貸手は、借手に課す利率を用いる。
  • 借手は、容易に算定できる場合には、貸手が借手に課す利率を用いる。当該利率が容易に算定できない場合には、借手の追加借入利子率を用いる。

両審議会は、貸手が借手に課す利率は、「リースの計算利子率」と定義することを暫定決定した。これは、現行基準のIAS第17号「リース」及びASC第840号「リース」における定義に類似している。貸手の初期直接コストは、貸手が認識するタイプAリースのリース債権に含まれる。重要な点は、借手及び貸手のいずれもリースの会計処理にあたり、「リースの計算利子率」を使用することである。なお借手は、リースの計算利子率が容易に算定できない場合には、引き続き追加借入利子率を使用できる。

弊社のコメント

割引率を「リースの計算利子率」と定義する暫定決定により、公開草案における提案と比べ、貸手側の会計処理が簡素化される。

両審議会は借手の追加借入利子率に関して、内容を明確化し、適用ガイダンスを追加することを暫定決定した。両審議会はスタッフに、借手が追加借入利子率を算定する際に考慮する要素について、追加調査を行うことを指示した。

両審議会は、借手が、契約条件の変更、リース期間の変更、又は借手がリース資産の購入オプションをほぼ確実に行使するかに関する評価の変更が生じた場合にのみ、割引率を再評価することを暫定決定した。なお、貸手が割引率を再評価することはない。

次のステップ

両審議会は2014年5月に、リースの定義、リース要素と非リース要素、初期直接コスト、及びリース・インセンティブを再審議する予定である。また6月に、残価保証、サブリース、及びセール・アンド・リースバックを再審議する予定である。また両審議会は、最終基準公表前に、表示、開示及び経過措置をはじめ、他の論点についても再審議することにしている。なおFASBスタッフは、関係者との最近の会議において、最終基準が2014年に公表されることはないであろうことを示唆した。3

  1. IASBのウェブサイトの公開草案「リース」を参照されたい。
  2. IFRS Development 第75号「IASBとFASBがリース新基準開発における主要論点で一部乖離」を参照されたい。
  3. Center of Audit Quality, Daily Media Briefing (2014年4月18日)


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