アシュアランス
IFRS Developments

IASBとFASBはリース新基準の共同審議を継続

2014.07.01
重要ポイント
  • 両審議会は2014年6月の会議において、2013年のリース共同提案を明確・簡略化するための方法を引き続き審議した。
  • 両審議会は、転貸者の貸借対照表と損益計算書における表示に関しては同じ決定に至った。ただし、サブリースの分類方法に関しては異なる決定を行った。
  • 両審議会は、借手のタイプAの使用権資産とリース負債の貸借対照表における表示、及び貸手のキャッシュ・フロー計算書における表示に関しては、同じ決定に至った。また、借手のキャッシュ・フロー計算書における表示は、両審議会の2013年の提案を踏襲することを決定した。

概要

国際会計基準審議会(以下IASB)と米国財務会計基準審議会(以下FASB)(総称して両審議会)は、2014年6月の会議において、借手に大半のリースをオンバランスすることを求める2013年の提案1を再審議した。

今回の審議会では、サブリースの会計処理、借手の貸借対照表における表示、借手及び貸手のキャッシュ・フロー計算書における表示が、重点的に審議された。このうち、サブリースの財務諸表における表示、タイプAリースに関する借手の貸借対照表における表示、及び貸手のキャッシュ・フロー計算書における表示については、同じ決定に至った。これにより両審議会は、IFRSと米国会計基準として公表される最終基準における相違点を最小限に留めることに再度注力したといえる。ただし、借手に関する会計モデル案2を以前再審議した過程で根本的な相違が生じていたため、転貸者の分類方法に関するIASBとFASBの決定は異なるものとなった。以前の議論によると、借手の会計処理に関しては、IASBは少額資産のリースに関する免除規定を設けた上で、単一リース・モデル(すなわちタイプAリース)を目指しているのに対し、FASBは2タイプ・モデル(すなわちタイプAのリースとタイプBのリースの2種類のリース)を追求している。なお今回の両審議会の決定も、これまでと同様に暫定的なものである。

主要な決定

サブリース

両審議会は2013年の提案のとおり、転貸者(すなわち、ヘッド(原初)リースでは借手となり、サブリースでは貸手となる企業)は、ヘッドリース(借手)とサブリース(貸手)を、2つの別個のリース契約として会計処理することを決定した。ただし両審議会は、複数の契約が同時期か、ほぼ同時期に締結される場合には、転貸者は、契約の結合に関する要件に留意する必要がある(すなわち、契約は単一の商業的な目的をもって包括的に交渉されているか、また、ある契約で支払われる対価が、他の契約の価格や成果に左右されるかを考慮する必要がある)ことを明確にした。これらのいずれかに該当するのであれば、転貸者はヘッドリースとサブリースを単一の結合された取引として会計処理することになる。

しかし、転貸者が、サブリースをタイプA(通常、現行基準でいうファイナンス・リース)とタイプB(通常、現行基準でいうオペレーティング・リース)にどのように分類すべきかに関しては、IASBとFASBの決定は異なっている。FASBは、転貸者は原資産を参照してリースの分類要件を検討すべきとしたのに対し、IASBは、転貸者はヘッドリースに係る残余の使用権資産を参照してリースの分類要件を検討すべきとした。IASBによるこのような決定の背景には、借手にはタイプAリースのみが認められるとする先日の決定(一定の免除措置あり)がある。IASBとしては今回の決定により、サブリースに関しては、原資産を参照してリースの分類が行われた場合と比べて、タイプAに分類されることが多くなると考えている(これはヘッドリースの借手としての原資産がタイプAに分類されることと整合する)。

また両審議会は、転貸者の貸借対照表と損益計算書における表示について合意した。具体的には、負債と資産が金融商品の相殺に関する規定を満たす場合は別として3、転貸者は、ヘッドリースとサブリースそれぞれから生じるリース負債とリース資産を相殺してはならないことになる。さらに両審議会は、転貸者は新たな収益認識基準4に定められる本人・代理人に関するガイダンスを用いて、サブリースの収益を総額で表示するか純額(すなわち、ヘッドリースにかかる費用を控除)で表示するかを判断することに合意した。両審議会は、転貸者は、サブリース収益を通常は総額で表示することになると考えている。

弊社のコメント

両審議会は、リース基準案における様々な点について、コンバージェンスされた新たな収益認識基準5と整合させることを試みている。この新たな収益認識基準は、リース基準(完成版)によるリース会計処理に影響を及ぼすことから、貸手は新たな収益認識基準の理解が求められる。

借手の貸借対照表における表示

両審議会は2013年の提案に沿って、借手のタイプAの使用権資産を、以下のいずれかにより貸借対照表に表示するとした。

  • 他の資産(例:所有資産)と区分して表示する。
  • 自己所有しているかのように他の同種の資産と合算して表示し、タイプAの使用権資産が含まれる表示科目とその金額を貸借対照表において開示する。

FASBは借手のタイプBの使用権資産を、タイプAの使用権資産とは区分して貸借対照表に表示し、タイプBの使用権資産を示す表示科目を貸借対照表に開示することを決定した。この際にタイプBの使用権資産をどのような方法で区分表示すべきかについては、「合理的かつ類似のリースに関して整合性が確保されるべき」と述べるにとどめ、具体的な方法には言及しないこととした。

両審議会は、借手のタイプAのリース負債を、以下のいずれかにより貸借対照表に表示するとした。

  • 他の負債と区分して表示する。
  • 他の負債と合算して表示し、タイプAのリース負債が含まれる表示科目とその金額を貸借対照表において開示する。

さらにFASBは、借手のタイプBのリース負債を、タイプAのリース負債と区分して表示すべきとした(タイプBの使用権資産の表示及び開示に類似する)。FASBは、借手がタイプBのリース負債を貸借対照表にどのように表示すべきかに関して、具体的には言及しなかった。FASBは、借手が事実と状況に照らして、最も適切と思われる方法でタイプBのリース負債を表示すべきと考えている。さらにFASBは、今回の決定により、リース負債が金融負債であるとする両審議会の従前の決定に疑問が呈されることはないとした。

リースのキャッシュ・フロー計算書における表示

両審議会は2013年の提案に沿って、リースの現金受領額は、貸手のキャッシュ・フロー計算書においては、営業活動として表示することで一致した。

一方で両審議会は、借手のキャッシュ・フロー計算書の表示に関しては、2013年の提案内容を維持することを決定した。

IFRSを適用する借手は、タイプAのリース負債の元本部分の支払いを財務活動に表示し、金利部分の支払いはIAS第7号6の会計方針の選択に基づいて、営業活動か財務活動のいずれかに表示することになる。

2013年の提案では、米国会計基準を適用する借手は、キャッシュ・フロー計算書において以下のように表示することになる。

  • タイプAのリース負債の元本部分に関する支払いは財務活動
  • タイプAのリース負債の金利部分に関する支払いは営業活動
  • タイプBのリース料の支払いは営業活動

次のステップ

両審議会はリースの最終基準を公表する前に、リースの定義や少額リース(すなわち少額資産のリースに関するIASBの認識及び測定の免除規定)、セール・アンド・リースバック取引、開示及び経過措置といった残りの論点を改めて審議する。FASBは独自に、レバレッジド・リースや非公開企業、非営利団体に関する論点(例:会計方針の選択として無リスク割引率の使用)について議論することになる。

  • 1 IASBのウェブサイトに掲載されている公開草案「リース」を参照
  • 2 IFRS Development 第75号「IASBとFASBがリース新基準開発における主要論点で一部乖離」を参照
  • 3 国際会計基準(IAS)第32号「金融商品:表示」及び米国会計基準(ASC)第210-20号「貸借対照表-相殺」を参照
  • 4 IFRS第15号「顧客との契約からの収益」IFRS第15号B34項からB38項(会計基準アップデート2014-09、顧客と の契約からの収益(第606号)、ASC606-10-55-36から606-10-55-40)を参照
  • 5 IFRS第15号(ASC第606号)を参照
  • 6 IAS第7号「キャッシュ・フロー計算書」


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