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IFRS Developments

FASBがセール・アンド・リースバック取引を審議 
リース・プロジェクトに関する米国会計基準におけるトピック

2014.09.18
重要ポイント
  • FASBは、公正価値により行使される買戻オプションについて、原資産が特殊な資産ではなく、かつ市場で容易に入手可能である場合には、当該オプションの付与によってセール・アンド・リースバック取引における売却処理が否定されないことを決定した。
  • FASBは、公開事業会社ではない借手は会計方針の選択により、リース負債の当初及び事後測定に際して、無リスク割引率の使用が認められることを決定した。 この決定はFASBの2013年の提案と一致している。
  • FASBは、レバレッジド・リースに関する現行の会計モデルを削除するという2013年の提案を再確認した。一方で移行時点で存在するレバレッジド・リースについては、従前の処理を引き継ぐことを認める決定をした。
  • FASBは、借手及び貸手は関連当事者とのリース取引をリースの法的に強制可能な契約条件に基づいて会計処理するという2013年の提案を再確認した。

概要

米国財務会計基準審議会(以下、FASB)は、2014年8月に開催された単独の会議において、借手にリースの大半をオンバランスすることを求める2013年の共同提案1の審議を引き続き行った。

FASBは、この単独の会議において、セール・アンド・リースバック取引に関するガイダンス案の明確化を図るためにさらなる決定を行った。またFASBは、公開事業会社(public business entity、以下PBE)に該当しない借手企業に認められる割引率、レバレッジド・リースの会計処理、及び関連当事者とのリース取引の会計処理に関して、2013年の提案を再確認した。今回のFASBの決定は、これまでと同様に暫定的なものである。

重要な決定

セール・アンド・リースバック取引

FASBは、セール・アンド・リースバック取引の一連の流れにおいて売却が成立しているかどうかを判断することに関して、新たなリース基準に適用ガイダンスを含めることを決定した。本決定は、国際会計基準審議会(以下IASB)とFASB(総称して両審議会)が7月に行った共同決定と同じである。この共同決定では、売手/借手は、セール・アンド・リースバック取引において売却が成立しているかを判断するために、両審議会が共同で開発した新たな収益認識基準2を用いることが決定された3。すなわち売手/借手は、買手/貸手が原資産の支配を獲得しているかどうかを評価することになる。新たな収益認識基準に従うと、原資産に対する支配とは、当該資産の使用を指図し、当該資産からの残りの便益のほとんどすべてを獲得する能力を指す。

さらにFASBは、セール・アンド・リースバック取引に関して、買戻オプションが付されていても、以下の条件をすべて満たす場合には、売却処理が否定されないことを明確にした。

  • 買戻オプションは、原資産に関するその時点(すなわち行使時)の市場実勢を反映した公正価値でのみ行使可能である。
  • 原資産は特殊な資産ではない。
  • 原資産は市場で容易に入手可能である。

FASBは、こうした条件を満たす買戻オプションは事実上、実質的なものではないため、セール・アンド・リースバック取引における売却処理が否定されることはないと考えている。またFASBスタッフは、不動産は、上記のうち「原資産は特殊な資産ではない」という条件を満たさないであろうとの考えを示した。IASBは、すでに売手/借手が実質的な買戻オプションを有する場合には、売却が成立することはないとの結論を出しているが、上記の条件を満たすオプションが実質的なものであるかどうかについては審議していなかった。

弊社のコメント

FASBは自動車のリースの例により審議を行い、このような資産は一般的には特殊なものではなく、かつ市場で容易に入手可能である点で合意したようである。 ただし、リースされる原資産が特殊なものではなく、かつ市場で容易に入手可能であるかを決定するには判断を必要とするであろう。

さらにFASBは、売手/借手及び買手/貸手は、売却が成立していないとされたセール・アンド・リースバック取引を金融取引として会計処理するという2013年の提案を再確認した。この決定は、IASBが2014年7月に下した決定と一致している。FASBは、現行の実務と整合するように、以下を排除することを目的として、金融債務の割引率をどのように調整するかに関する設例を作成するようスタッフに指示した。

  • 金融債務のネガティブ・アモチゼーション(すなわち、金融債務の残高がリース期間にわたり増加する状況)
  • リース期間終了時における含み損失(すなわち、リース期間終了時において原資産の帳簿価額が金融債務を超過する状況)

公開事業会社に該当しない企業に認められる割引率に関する会計方針の選択

FASBは、2013年の提案と同様に、PBEに該当しない借手は、会計方針の選択により、リース負債の当初及び事後測定に無リスク割引率を使用することが認められることを決定した。無リスク割引率は、リース期間に相当する期間を用いて決定されることになる。この会計方針の選択はすべてのリースに適用しなければならず、注記により開示することになるであろう。

弊社のコメント

無リスク割引率を使用することは、借手に関する会計処理の複雑性を低減することになるかもしれないが、これにより、リース料の現在価値がリース資産の公正価値のほとんどすべてを占める可能性が高くなり、結果としてタイプAのリース(現在のキャピタル・リースに類似)に該当する可能性が高まるであろう。このため、一部の企業はこのような「軽減措置」の使用を躊躇することが考えられる。

レバレッジド・リース

FASBは2013年の提案と同様に、新たなリース基準にはレバレッジド・リースの会計処理を含めないことを決定した。ただしFASBは、移行時点で存在するレバレッジド・リース契約に関しては、従前の処理を引き継ぐことを認めることとした。

弊社のコメント

FASBは既存のレバレッジド・リースの会計処理をそのまま引き継ぐことを認める決定をすることで、2013年の提案における経過措置は特定の取引に対して適用するためには複雑過ぎ、多大なコストがかかるであろうという関係者の懸念に対応している。

関連当事者とのリース取引

FASBは2013年の提案と同様に、借手及び貸手は、リースの法的に強制可能な契約条件に基づいて、関連当事者とのリース取引を会計処理しなければならないことを決定した。本決定により、借手及び貸手がリースの経済的実質を評価して適切な会計処理を決定することを求める米国会計基準の現行規定が廃止されることになる。ただし依然として借手及び貸手は、FASB会計基準コード化体系(ASC)トピック850「関連当事者についての開示」に従い、関連当事者との取引に関する開示規定を適用することが求められるであろう。

次のステップ

両審議会はリースの最終基準を公表する前に、少額資産のリースに関する認識及び測定の免除規定(IASB)、借手の開示及び経過措置といった残りの論点を再審議する予定である。両審議会が、リースの定義について、いつ、どの程度まで議論するか、さらには議論を行うかどうか自体明らかではない。またFASBは独自に、非営利団体に関する論点を議論する予定である。





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