アシュアランス
IFRS Developments

IASBとFASBがリースの定義を再確認 
定義の実務への適用に関しては審議を継続

2014.11.13
重要ポイント
  • 両審議会は、「リースとは資産を使用する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転する契約である」とする2013年の公開草案における定義を再確認した。
  • 両審議会は、資産の使用方法や目的を決定する権限を常に顧客が保持する場合には、顧客は「資産の使用を指図する権利」を有していることになるとした。これには、使用する期間において、資産の使用方法や目的を変更する権利も含まれる。
  • 両審議会は、識別された資産の使用を顧客が支配する権利の有無に関するその他の点については決定を先送りし、提案すべきアプローチをさらにまとめるようスタッフに指示した。

概要

国際会計基準審議会(IASB)と米国財務会計基準審議会(FASB)(以下、両審議会)は、借手にほとんどのリースをオンバランスすることを求める2013年の公開草案1に関する審議を引き続き行った。

両審議会は2014年10月の共同会議において、リースに関し提案されていた定義を改めて確認し、定義の実務への適用方法を決定した。両審議会は定義の一層の明確化についても議論したが、決定は将来の会議に委ねることにした。

両審議会は2014年5月にリースの定義に関して議論したが、定義や明確化に関する決定は先送りした。その代わり両審議会は、2013年の公開草案における定義が、重要なサービスを含む契約(たとえば電力供給契約、油田掘削)など、複雑な契約への適用例をまとめるようスタッフに指示した。従来の決定と同様に、両審議会の今回の決定も暫定的なものである。

主な決定事項

両審議会は、「リースとは、資産を使用する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転する契約」と定義することを改めて確認した。この定義は2013年の公開草案と一致しており、以下を検討することにより契約にリースが含まれるか否かを決定する。

  • 識別された資産の使用が明らかに、又は暗黙のうちに特定されているか。
  • 契約により、識別された資産の使用を支配する権利が、使用期間全体にわたって顧客に移転するか。

両審議会は、契約を履行するために使用する資産を取り替える「実質的な権利」を、供給業者が有している場合には、識別された資産が使用されていてもリース契約とはならないことを再確認した。両審議会は、供給業者が資産を取り替える実際の能力を有しており、その権利の行使により生じる便益を享受できる場合には、取り替える権利は実質的であるとした。

さらに両審議会は、以下の2つの要件を満たす場合には、契約は識別された資産の使用を支配する権利を移転するということに合意した。

  • 識別された資産の使用を指図する権利を顧客が使用期間全体にわたり有している。
  • 識別された資産の使用を指図することから生じる経済的便益の実質的にすべてを顧客が享受する。

両審議会は今回の会議で、識別された資産の使用を指図する権利を顧客が有しているかどうかをどのように判断すべきかについても合意した。さらに、顧客が識別された資産単独、また他の容易に入手可能な資源と合わせて使用を指図することから生じる便益を得る能力を有している場合にのみ、契約にリースが含まれることになるかどうかを検討したが、その決定は先送りされた。

識別された資産の使用を指図する権利

両審議会は、資産の使用方法や目的を変更する権利を含めて、顧客が資産の使用方法や目的を指図する権利を使用期間全体にわたり有している場合には、識別された資産の使用を指図する権利を有していることを決定した。両審議会は、ほとんどの状況で、これらは原資産の使用から得られる経済的便益に最も大きな影響を及ぼす決定になると考えている。

両審議会は、仮に顧客も供給業者も資産の使用方法や目的を使用期間全体にわたり支配していないならば(たとえば、資産の使用方法や目的が、事前に契約に定められているような場合)、以下の状況ではいずれも顧客が識別された資産の使用を指図する権利を有するとした。

  • 顧客が、(稼働に関する指図を変更する権利を持たない供給業者と共に)自身が定める方法で資産を稼働する、また他者に資産を稼働するように指図する権利を有している。
  • 顧客は、資産の使用方法や目的、あるいは稼働方法が事前に決定されるように、資産を設計、又は設計依頼していた。

また両審議会は、供給業者の防衛的な権利は単独では、顧客が識別された資産の使用を指図する権利を有することを妨げるものではないとした。しかし両審議会は典型的には、防衛的な権利が存在することで顧客の資産の使用範囲が定義されると考えている。防衛的な権利は、供給業者の権利(たとえば資産、職員、法令順守に対する利益)を保護することを意図しており、資産の最大使用量の制限や特定の稼働に関する指示への準拠を求める条項などが考えられる。

弊社のコメント

両審議会がリースの定義に関する再審議を完了するまでは、顧客の「資産の使用を指図する権利」に関する決定が、どのように適用されるかは明確にならないであろう。

さらに、重要なサービスが含まれ、かつそうしたサービスの主要条件が事前に決定されている契約上の取決めに両審議会の定義がどのように適用されるのか、すなわち、実質的にすべての稼働に関する決定が予めなされている場合であっても、顧客は識別された資産の使用を支配する権利を有することになるのか疑問が残ると我々は考えている。どのような決定が検討を行う際のポイントになるかも明確ではない。

その他の議論すべき論点

識別された資産の使用を指図することで便益を得る

両審議会は、顧客が識別された資産単独で、または他の容易に入手可能な資源と合わせて使用を指図する能力を有している場合にのみ、契約にリースが含まれることになるのか否かをはじめ、リースの定義のうちの経済的便益に関する部分の適用方法、及びその明確化について議論した。両審議会はスタッフに対して、審議会メンバーからのフィードバックを検討し、将来の審議会で議論できるように論点をまとめるよう指示した。

次のステップ

両審議会は基準の草案作成をすすめる前に、リースの定義に関する再審議を終了させ、少額資産のリースに関する免除措置、借手の開示、移行措置や発効日、他の基準への改訂など、残された論点も審議する必要がある。またFASBも単独で非営利企業に関する論点を議論するであろう。これらから判断すると、新たなリース基準が2015年第3四半期より前に公表されることはないであろう。




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