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IFRS Developments

IASBがリースに関する再審議を実質的に完了

2015.03.03
重要ポイント
  • IASBは2015年2月の会議で、提案されていた新たなリース会計基準のうち経過措置等の規定について再審議した。
  • IASBは新たなリース基準への移行を単純化することを決定した。具体的には、修正遡及適用アプローチを変更し、また、既存の契約に関してはリースの定義に該当するか否かを改めて検討することを求めないこと、及び残余期間が12カ月以内のリースには新たなリース基準を適用しないこと、などが含まれる。
  • IASBは、新たなリース基準に、少額資産リースに関する認識及び測定の免除規定を盛り込むことを再確認した。
  • リースの会計基準は、2015年後半に公表される見込みである。

概要

国際会計基準審議会(IASB)は、2015年2月の会議で2013年の公開草案1の再審議を実質的に完了した。これにより、借手は大半のリースをオンバランス化することになる。

IASBは、借手がIAS第17号「リース」に従いオペレーティング・リースに分類されていたリースを有する場合には、新たなリース基準に移行する時点で、完全遡及適用アプローチ又は修正遡及適用アプローチを選択できることを再確認した。IASBは、既存のオペレーティング・リースに関するさらなる移行時の救済措置も認めることとした。またIASBは、移行時に既に存在する契約について、新たなリース基準におけるリースの定義を満たすか否かを再検討することは求めないこととした。さらにIASBは、セール・アンド・リースバック取引及びサブリースに関する経過措置、少額資産リースの免除規定及びサブリースの割引率についても決定した。これらの決定は、従来までと同様に暫定的なものである。

FASBは2015年2月の単独会議において、様々な移行上の問題点や、指数やレートに基づく変動リース料の再評価について議論する予定である。これらについて、弊社は近日中に公表される「To the Point」で、FASBにおける会議の決定の要約をお伝えする。

IASB及びFASBは、2015年の後半にそれぞれ別個にリース会計基準を公表する予定である。

経過措置に関する重要な決定

従前はファイナンス・リースに分類されていたリース

IASBは、ファイナンス・リースに関しては2013年公開草案の経過措置を再審議しなかった。したがって、新たなリース会計基準の適用開始日時点で存在するファイナンス・リースに関しては、その会計処理を変更することはないであろう。「適用開始日」は、新たなリース会計基準を初めて適用する報告期間の期首である。

借手 ― 従前はオペレーティング・リースに分類されていたリース

IASBは、従前にオペレーティング・リースに分類されているリースに関し、借手は、新たなリース会計基準の適用開始日時点で、完全遡及適用アプローチ又は修正遡及適用アプローチのいずれかを選択できるとした。選択したアプローチは、借手のオペレーティング・リース・ポートフォリオ全体を通じて一貫して適用する必要がある。

借手の修正遡及適用アプローチの内容は、以下のとおりである。

  • 比較対象年度の数値の修正再表示を行わない
  • 新たなリース会計基準の適用開始に伴う累積的影響額を、適用開始日時点で利益剰余金(又は資本のその他の構成要素)の期首残高の調整として認識する
  • 残存リース料支払総額を、リース負債として、適用開始日時点の借手の追加借入利子率を用いて割り引いた現在価値で測定する
  • 以下の2つのいずれかの方法をリースごとに選択し、移行時の使用権資産を測定する
    • 新たなリース会計基準を既に適用していたかのように測定する。ただし、適用開始日の借手の追加借入利子率を用いる
    • 従前に認識されていた前払又は未払リース料を調整したリース負債と同額とする
  • 類似の特徴を有するリース・ポートフォリオには、単一の割引率を適用できる
  • 従前に認識されていた不利なリースに関する引当金に関し、使用権資産を調整できる
  • 適用開始日から12カ月以内に終了するリースに関し、認識及び測定の免除規定を適用できる
  • 使用権資産の測定において、当初直接費用を除外できる
  • 例えば、契約にリース期間を延長できる、又は終了できるオプションが含まれる場合のリース期間の決定などについて、後知恵を使用できる

IASBは、IAS第17号「リース」と比べて新たなリース会計基準が、財政状態計算書と損益計算書にどのような影響を与えるかに関して、財務諸表利用者が理解する際に役立つ特定の開示規定について議論した。ただし決定には至らなかったことから、IASBは今後もこの点について議論を継続する。

IFRSの初度適用企業もまた、修正遡及適用アプローチを適用することができるが、上述のアプローチに一定の例外が設けられている。

弊社のコメント

借手が既存のオペレーティング・リースを有する場合、上記の経過措置により、2013年の公開草案の経過措置の適用に係るコスト及び複雑性について関係者が抱いていた懸念の多くが解消される。

貸手 ― 従前はオペレーティング・リースに分類されていたリース

IASBは、貸手は以下で説明するサブリースを除き、適用開始日時点で継続しているオペレーティング・リースには、引き続き現行の会計処理を適用するとした。

サブリース

IASBは、中間の貸手(同一の原資産の借手であり、貸手でもある企業)は、適用開始日時点で存在している各オペレーティング・サブリースが、新たなリース会計基準の規定においてオペレーティング・リースに分類されるか、ファイナンス・リースに分類されるかを判断するため、再評価しなければならないとした。この評価は、原資産ではなくヘッドリースに関連する使用権資産を参照して、ヘッドリースとサブリースの残りの契約条件に照らして行うことになる。サブリースがIAS第17号ではオペレーティング・リースに分類されていたが、新たなリース会計基準ではファイナンス・リースに該当する場合、中間の貸手はサブリースを適用開始日時点で締結される新たなファイナンス・リースとして会計処理することになる。サブリースから生じる利得又は損失は、適用開始日時点の利益剰余金(又は資本のその他の構成要素)の累積的なキャッチアップ調整に含めることになる。

セール・アンド・リースバック取引

IASBは、過去のセール・アンド・リースバック取引に関する売上がIFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」に従って発生したものかどうかを再評価してはならないとした。

売手/借手は、新たなリース会計基準への移行時点で、セール・アンド・リースバック取引の遡及修正を行わないことになる。新基準への移行に伴いリースバック取引は、以下を考慮した上で、適用開始日時点で継続する他のオペレーティング・リースやファイナンス・リースと同じ方法により会計処理することになる。

  • 従前はファイナンス・リースに分類されていたセール・アンド・リースバック取引に関しては、売却時の利得は、IAS第17号と同じ方法で引き続き償却する。
  • 従前はオペレーティング・リースに分類されていたセール・アンド・リースバック取引に関しては、適用開始日時点の市場条件以外の条件に関係する繰延損失又は利得を、使用権資産に対し調整する。

IASBは2014年2月の会議2で、セール・アンド・リースバック取引の売手/借手が直ちに認識する利得は、残余資産に関係する部分(すなわち買手/貸手に移転される原資産に対する残余持分)に限られるべきであるとした。

残りの利得(すなわちリースバックに関する部分)は、使用権資産の当初測定額の減額として認識することになる。IASBは2015年2月の会議で、この部分的利得認識アプローチは、適用開始日以降新たに締結されるセール・アンド・リースバック取引にのみ適用されるとした。

リースの定義

IASBは既存のリース契約について、新たなリース会計基準に定められるリースの定義に従って再評価することは求めないことを決定した。つまり、現行のIAS第17号及びIFRIC第4号「契約にリースが含まれているか否かの判断」に従い、リースを含まない取引として会計処理されている取引は、現行実務通り、たとえば通常はサービスとして引き続き会計処理することができる。同様に、新たなリース会計基準を適用する際に、IAS第17号及びIFRIC第4号に従ってリースを含むとされた契約についても、引き続きリースを含む契約として会計処理することができる。

IASBは、作成者のコスト面の軽減は、再評価することにより得られる便益を上回ると考えている。

このオプションを選択する場合には、適用開始日時点で継続しているすべての契約に適用し(すなわちリースごとにオプションを適用することを認められない)、その事実を開示することになる。

少額資産リース

IASBは借手に関して、少額資産リースの認識及び測定に係る免除規定を盛り込むとする2014年3月3の決定を再確認した。IASBは当時の会議で、「免除規定」案の適用範囲が明確か、合算した場合に重要となるリースが新たなリース会計基準の適用範囲から除外される可能性がないかを評価するためのアウトリーチを実施するようスタッフに指示した。

IASBはアウトリーチの結果を受け、数値基準が使用されれば、少額資産リースの免除規定を適用したとしても、重要な資産や負債が漏れることはないと結論付けた。したがって、新たなリース会計基準の結論の根拠で、免除規定を適用する際にIASBが適切であると考える数値基準に関する議論の経緯が説明される予定である。IASBは再審議で、数値基準として5,000ドルについて議論した。それにより作成者が、「少額」が何を意味するか容易に理解でき、原資産が新たに取得されたときの価値に基づきこれを判断できるようにすることがその意図である。新たなリース会計基準では、免除規定は、その他のリース資産に依存しない、又は密接に関連しない資産のリースにのみ適用されることが定められる。

弊社のコメント

結論の根拠で数値基準が説明されることで、どのような資産が少額資産の免除規定の要件を満たすことになるか、その評価方法が明確になる。ただし、数値基準では、外国為替レートの変動及び地域や世界のインフレ(又はデフレ)率の変動などの将来の事象をどのように取扱うかに関し見解にばらつきが生じる可能性があり、それらのすべてが作成者間の比較可能性を低下させることになる。

サブリースに使用される割引率

IASBは、中間の貸手がファイナンス・リースに分類されているサブリースを会計処理する際に、サブリースに使用される割引率を容易に判断できない場合には、ヘッドリースの会計処理に用いられたレートを使用できるとした。これにより、サブリースに使用されるレートを使用しなければならないとする、IASBの2014年6月の暫定的な決定4が変更される。

次のステップ

IASBはリースに関する再審議を実質的に完了した。IASBは、新たなリース会計基準を公表する前に、移行時の開示、同基準の発効日や起草作業の段階で生じる論点を議論することになる。新たなリース会計基準は、2015年後半に公表される見込みである。




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