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保険IFRSアラート

アンバンドリング-両審議会が収益認識と整合する方法を模索

2011.05.20

重要ポイント

  • IASBは、2011年後半に保険契約の会計基準を公表するという目標に向けて作業を進めており、FASBもほぼ同時期に公開草案を公表することを予定している。
  • 両審議会は、保険契約から非保険要素をアンバンドルするための原則について、収益認識プロジェクトで提案されている区別可能な財とサービスのアンバンドリングに関するガイダンスに基づいて、その原則の明確化を模索している。
  • 投資要素に関しては、勘定価額(account value)に基づいて明示的な利率に基づく利息が付与される明示的な勘定残高(explicit account balance)のみがアンバンドリングの検討対象となるだろう。それに加え、明示的な勘定残高のうちどのようなものをアンバンドルすべきかを判断するにあたっては、提案されている収益認識に係るガイダンスが援用されることになるだろう。
  • 両審議会はスタッフに対して、アンバンドリングに関する明確な方向性を示したものの、アンバンドリングの詳細について検討すべき点がまだ多く残されており、今後の会議で引き続き討議される予定である。

5月4日に国際会計基準審議会(以下、IASB)と米国財務会計基準審議会(以下、FASB)(以下、両審議会)は、保険契約に関する会計基準の世界的な統一化に向けた討議を継続して行った。なかでも、如何なる場合に非保険要素を原保険契約から区分するかという、アンバンドリングの原則を中心に討議が行われた。両審議会は有配当契約の測定に関する討議を予定していたが、その論点は次回以降に延期し、今回の討議ではアンバンドリングに専念した。

背景

過去の会議において、両審議会は組込デリバティブの区分に関しては現行のガイダンスを踏襲することに同意した。一定程度のアンバンドリングが必要になるという前提で、両審議会は非保険要素をアンバンドルすべきかどうか検討した。さらに両審議会は、保険契約に含まれるサービス要素と投資要素のそれぞれに分けて討議を行った。

サービス要素

両審議会は、保険金支払処理のような保険の提供に不可欠なサービスと、給付金の事務管理サービスのように保険契約と区分して提供可能なサービスとの区別について検討している。また両審議会は、収益認識プロジェクトで提案されている以下のガイダンスと整合するガイダンスを整備することが望ましいとしている:

  1. A. 契約に規定された財又はサービスを1つにまとめて提供する場合には、これらの財又はサービスのとまりを単一の履行義務として会計処理すべきである。(この要件を満たす場合には、企業はBの要件を検討する必要はない。)
  2. B. 以下の双方を満たす場合、企業は契約に規定されている財又はサービスを、個別の履行義務として会計処理すべきである:
    • ・財又はサービスの移転のパターンが、当該契約で提供される他の財又はサービスの移転のパターンとは異なっている。
    及び
    • ・財又はサービスが区別可能な機能を有している。
  3. C. 以下のいずれかの場合に、財又はサービスが区別可能な機能を有しているとみなされる:
    • ・企業が、契約に含まれる複数の財又はサービスを日常的に別々に販売している。
    あるいは
    • ・顧客がその財又はサービスをそれら単独で、又は容易に利用可能なリソーとともに利用することが可能である。

両審議会は、保険カバーの提供に不可欠ではない、保険契約に含まれるサービス要素に適用される原則の明確化を模索している。両審議会は、収益認識に関する前述のガイダンスを保険契約にも適用できるよう、保険契約の特徴に合わせて、このガイダンスを修正する必要性を認識している。たとえば、保険契約に含まれるサービス要素をアンバンドルするかどうかを判定する際の条件として、サービスのパターンが、保険契約に基づく保険債務の履行パターンと異なる場合にアンバンドルすべきであるという条件を除外すべきかどうかについて討議した。この条件は、提案されている収益認識のガイダンスに、実務上の便宜の観点から含まれているものであるが、これは類似のパターンをもつサービスについては、収益認識の点では同じであるため、そのようなサービスを区分することに明らかな利益はないと考えられるからである。しかし、保険契約に関しては、契約に含まれる構成要素がそれぞれ異なる性質を有している場合もあり、そのような場合に構成要素を区分することで有用な追加情報の提供が可能となる可能性がある。

両審議会は、スタッフに対し、保険契約のためのアンバンドリングの原則について、適切な文言による作成を指示した。また、両審議会は、予期せぬ結果が生ずることへの懸念から、スタッフに対し、提案されている原則が多様な保険契約に対してどのように適用されるかについて検討するよう求めた。

投資要素

討議からは、アンバンドリングの要否の検討対象となりうる投資要素を含む保険契約が多数存在すると審議会メンバーが考えていることが明らかになった。ただし両審議会は、すべての種類の保険契約から投資契約を区分することは非現実的であると認識しており、目下、どのような場合に投資要素の区分を検討すべきかに関する判断基準の整備が検討されている。

両審議会は、契約に含まれる構成要素が商業的実態のない組合せの場合にのみ区分処理を求めるという提案を却下した。これは、提案された取扱いではごくわずかの保険契約しかアンバンドリングの対象とならないと予想されるためであるが、そのかわりに両審議会は、明示的な勘定価額を有する保険契約(すなわち、勘定残高に基づく明示的なリターンがある保険契約)のアンバンドリングを検討することに暫定的に合意した。また両審議会は、明示的な勘定残高のうちどのようなものをアンバンドリングの対象とすべきかを決めるため、履行義務の区分に関して提案されている収益認識のガイダンスを援用することになるとの方向性を示した。この点について両審議会は、明示的な勘定残高が存在するのは、保険契約者がその保険カバーを失うことなく、その勘定残高を引き出せる場合のみであるとするかどうかをさらに検討する予定である。今後の討議に資するため、両審議会はスタッフに対し、意図しているガイダンスが多様な種類の保険契約にどのような影響を及ぼすかについて、例示するよう依頼した。

さらにIASBは、投資要素がアンバンドルされる際には、金融商品に関するガイダンス(IFRS第9号)に従って会計処理することを決定した。ただしFASBは、アンバンドルされる投資要素の会計処理方法を検討するため、その決定を今後の会議に先送りしている。

区分が要求されない要素をアンバンドルすることが保険者に認められるかどうかについて、両審議会は、まだ検討を行っていない。審議会はまた、アンバンドリングが手数料や費用の各要素間の配分に結び付く可能性があり、この分野におけるガイダンスが必要になることも理解している。両審議会は、今後の会議で、アンバンドリングに関するこれらの論点にも対応することになるだろう。また両審議会は、保険ワーキンググループに対して、サービス要素と投資要素の双方に予定されているガイダンスについて、実務的な観点からの意見を求める予定である。

EYの見解
両審議会は、保険契約に含まれる構成要素のアンバンドリングについて、収益認識プロジェクトで提案されているものと整合したガイダンスの提供には楽観的であるように思われる。両審議会は、一部の構成要素についてはアンバンドリングの必要があるが、保険契約に関するIASBの公開草案やFASBのディスカッション・ペーパーでの提案内容よりも明確で一貫性のあるガイダンスの整備を望んでいるということは明らかである。また5月4日の会議での討議からすると、両審議会は広範囲にわたる保険契約を対象とするアンバンドリングのガイダンスを整備しようと考えているわけではないとみられる。しかし、両審議会が残りの論点を解決し、アンバンドリングのガイダンスを最終決定するまでは、将来の保険契約の会計基準の下でアンバンドリングの影響がどのようになるか、その全容は明らかにならないだろう。

アンバンドリングによる潜在的な影響を把握するために、保険者は、アンバンドリングの対象となりうるサービスや明示的な勘定価額がどの契約に含まれているか、その洗出しに着手すべきである。また保険者は、今後の対応が必要になると考えられる以下のような実務上の論点について把握したいと考えるだろう。すなわち:

  • アンバンドルされた保険契約の要素間での手数料や費用の配分方法
及び
  • アンバンドルされた要素の測定方法

次のステップ

両審議会は、2011年6月までに主な論点に関する討議を終えるため、継続して作業を進めている。次回の会議では、IASBは保険負債の変動について「その他の包括利益」を使用するかを含め、変動性の高い項目の表示に関する討議を行う見込みである。5月16日に開催予定の保険ワーキンググループでは、両審議会はワーキンググループのメンバーからさまざまな論点に関する意見を求めるものと思われる。




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