アシュアランス
保険IFRSアラート

両審議会は、保険料配分アプローチについて協議

教育的セッションを通じ適用基準について協議を継続
2012.02.21
重要ポイント
  • 両審議会は、 保険料配分アプローチ(PAA)の適用基準に関する教育的セッションを行い、スタッフに対し、当該セッションにおいて提示された方向性に従い、適用基準をさらに整備するよう依頼した。
  • IASB及びFASBは、両者の金融商品の分類及び測定モデルに関する相違を埋めるために、共同で取り組むことに同意した。
  • IASBは、連結財務諸表、共同支配の取決め及び他の企業への関与の開示に関する新基準の発効日を延期することはないだろう。

概要

国際会計基準審議会(以下、IASB)及び米国財務会計基準審議会(以下、FASB)(以下、両審議会)は、それぞれ1月に教育的セッションを開催し、IASBの公開草案「保険契約」(以下、ED)及びFASBのディスカッション・ペーパー「保険契約に関する予備的見解」(以下、DP)の暫定的決定について再審議を行った。審議では、保険料配分アプローチについて討議された。

IASBは、連結財務諸表、共同支配の取決め及び他の企業への関与の開示に関する新基準の強制発効日を延期するかどうかを検討した。

IASB及びFASBは、1月27日の会議で、両者の金融商品の分類及び測定モデルに関する相違について擦り合わせを進めるため、共同で取り組むかどうかを討議した。

保険料配分アプローチ

両審議会は、前回までの会議で、保険料配分アプローチ(以下、PAA)に関して多方面から広範な討議を行った。両審議会は、1月にそれぞれ教育的セッションを開き、両審議会のスタッフが作成したPAAの適格要件に係る共同提案及び当該モデルの仕組みに関するいくつかの論点について協議した。当該セッションの開催にあたり、スタッフの意図するところは、各論点についての方向性及び両審議会の見解を得るところにあった。

両審議会は、それぞれ、ビルディング・ブロック・アプローチ(以下、BBA)によって測定すべき契約の判定基準を含むスタッフの共同提案について討議を行った。当該共同提案における判定基準は以下のとおりである:

  1. (a)契約の履行に係る期待正味キャッシュ・フローについて、保険事故発生前の期間 に、不利な契約テストでは捕捉されない大幅な変動が生ずる可能性が高いこと、
    又は
  2. (b)各報告期間に認識すべき金額の決定にあたり重要な判断が求められること

FASBのセッションにおいて、審議会メンバーは、不利な契約テストに言及することで意図しない結果がもたらされることを避けるため、提案された適用基準を修正するようスタッフに指示した。不利な契約テストに言及すると、上述の適用基準(a)は利益が見込まれない契約だけに適用されるという誤解を利用者に与えるだろうと考えるFASBメンバーもいた。

IASBのセッションにおいて、一部のメンバーは、PAAの適用条件を満たさない契約に関する基準を整備するのではなく、PAAの適用対象となる契約を識別できるような基準とすべきであると指摘した。これを受けてIASBは、スタッフに対して、以下の点を反映させる形で適用基準に関する提案内容をさらに検討するよう依頼した:

  1. (a)BBAを用いた場合と同様の結果が見込まれる場合にPAAを利用できるという原則に言及する
  2. (b)保険期間がおおむね12カ月以内の契約であれば、他の特徴にかかわらずPAAの適用対象となることを容認する簡便法を含める
  3. (c)本セッションでスタッフが提案した適用基準に基づいて、どういった場合にPAA及びBBAが同様の結果をもたらすと考えられるかに係る適用ガイダンスを提供する

両審議会のスタッフは、今回の教育的セッションで得られた両審議会からのインプットに基づき、適用基準を修正するよう依頼された。また、スタッフは、PAAをBBAの近似あるいはBBAと並存する別のモデルのいずれと考えるかに縛られない方法を用いることも求められた。

PAAの仕組みに関しては、新契約費が何を意味するかについても討議が重ねられた。スタッフは、その細部について討議する前に、両審議会は新契約費の概念的な性質について検討する必要があると結論付けた。また、両審議会は、新契約費を個別に資産として計上すべきか、負債の構成要素として報告すべきかについてスタッフに尋ねた。

EYの見解
両審議会は、PAAの適用基準を決定するにあたり、同じ目的に向かって進みつつある。しかし、今回の教育的セッションと同様に、過去の討議においても、PAAのいくつかの側面について、IASB及びFASBの見解に相違があることが明らかになっている。たとえば、IASBはPAAをBBAに近似するものであるとしているが、FASBはこれら2つを別個のモデルであるとしている。したがって、今後の適用基準の表現の改訂に際しては、スタッフがこのような異なる見解をどう擦り合わせるかに拠るところが大きいだろう。
保険期間の長さを基準とする簡便法を明示的にPAAの適用基準に含めるというIASBの提案は、BBA及びPAAの両方の方法での測定の見積り及び文書化に保険者が過大な時間を費やすことになるとの懸念を緩和するものとなるはずである。これは、PAAの適用基準を満たすことの立証を過度に強いること及び立証のコストを保険者に強いることは避けたいという両審議会の意向を示すものであるともいえるだろう。

金融商品

両審議会は、両者の金融商品に関する分類及び測定モデルの相違を埋めるために、共同で取り組むことに同意した。この討議は、2010 年 5 月に FASBが公表した金融商品に関する会計基準更新書(ASU)の再審議及び保険契約の基準書に係る検討に関連してIASBが行うIFRS第9号への限定的な範囲の変更に関するプロジェクトの一環として行われることになるだろう。また、両審議会は、分類及び測定モデルの重要な点について擦り合わせることを目標として共同で取り組むことになるだろう。両審議会は、これらの重要な点について合同で検討した上で、IFRS第9号及び米国会計基準(US GAAP)の修正案を公表するかどうかそれぞれ決定することになるだろう。

EYの見解
金融商品の分類及び測定について共同で取り組むという両審議会の決定は、コンバージェンスに向けた取組みの重要な一歩となるだろう。これは、金融商品会計にとってだけではなく、金融商品会計と保険会計との相互関連の強さを考えれば、保険契約の会計モデルにとっても重要なことである。それぞれの金融商品の分類及び測定モデルにおける大きな相違が残ったままでは、保険契約について、収斂した結論に到達するという課題は、一層難しいものとなるだろう。

IFRS第10号

2011年5月に、IASBは、連結(IFRS第10号「連結財務諸表」)、共同支配の取決め(IFRS第 11号「共同支配の取決め」)及びそれらの基準に関連する開示(IFRS第12号「他の企業への関与の開示」)の基準書を公表した。同じ月にこれらの基準書は2013年を強制発効日として公表された。保険者を含む一部の欧州の関係者は、その発効日に関する懸念を表明し、2014年に延期するよう求めた。保険者が挙げる懸念の1つは、IFRS第10号とIASBの投資企業に関する公開草案における提案内容との関連についてどう対応するべきかである。具体的には、投資企業のプロジェクトにおける提案により、すでに公表されているIFRS第10号における取扱いとは相容れない規定又はその解釈を変えるような規定が導入される可能性があるという点が懸念されている。

両審議会は、これらの懸念を認めたものの、発効日を延期しないことを決定した。その理由として、IASBは、すでに多数の国が新しい基準書を承認しているほか、現在、一部の企業で導入が進んでいることを主張している。

また、IASBは、延期の可能性を検討する際の重要な検討事項であった投資企業に関する公開草案での連結適用除外に関する提案への変更が、保険者や他の企業にとって大幅なコスト増や対応負担につながるといった可能性は極めて低いと考えている。IASBは、連結適用除外の範囲について、6月までにその方向性をさらに明確にする意向であるとしている。

EYの見解
一部の保険者は、投資企業プロジェクトの進捗状況などにより、IASBが連結に関する新基準の強制発効日を延期するとみていたかもしれない。発効日を延期しないという今回のIASBの決定により、少なくともIFRSを全面的に適用する保険者は、2013年度の財務諸表にこれらの基準書を適用しなければならないことは避けられないとみられる。
欧州など多くの地域では、新基準は国内で承認された後はじめて適用される。これらの地域のうちの一部では、場合によっては早期適用を認めつつ、強制発効日を2013年より遅らせる対応をとるかもしれない。その場合、保険者は、これらの地域では延期された発効日以降からこれらの基準を適用することでメリットを享受できるかもしれない。しかしながら、そのような企業は、2013年の時点で、IFRSへの全面的な準拠を主張することができなくなり、将来IFRSに全面的に準拠しようとした場合、移行規定をどのように適用するかという問題が生じる。

次のステップ

IASBは、保険契約に関して2012年前半1に改訂公開草案又は最終基準書のレビュー・ドラフトを公表する予定である。IASBは、いずれ最終基準書の発行日を決めることになるだろう。FASBは、目下、同時期に公開草案を公表する予定である。

両審議会は、2月に開かれる審議会で保険に関する次回の討議を行うものとみられるが、その議題はまだ公表されていない2

  1. 本翻訳版の公表時点では、2012年の後半に延期されている。FASBについても、IASBと同様に延期されている。
  2. 本翻訳版の公表時点において、議題はすでに公表されている。



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