アシュアランス
保険IFRSアラート

両審議会は改訂公開草案「保険契約」に寄せられたフィードバックへの対応を協議、IASBは保険契約プロジェクトとIFRS第9号との相互関係についても検討

2014.02.21
重要ポイント
  • 両審議会は、それぞれの保険契約のEDへのフィードバックについて、共同で討議を行った。
  • IASBは、2014年の上半期にIFRS第9号を最終基準化し公表する予定であり、IFRS第9号と保険モデルの相互関係については、保険契約プロジェクトの再審議の過程で対応する予定である。

概 要

2014年1月22日に、国際会計基準審議会(以下、IASB)及び米国財務会計基準審議会(以下、FASB、あわせて両審議会)は合同会議を開催し、2013年6月に公表されたIASBの公開草案「保険契約」(以下、ED)及びFASBの保険契約に関する公開草案双方に対するコメントレター、アウトリーチ活動(財務諸表利用者向けのものも含む)及びフィールドワークの結果の概要について討議を行った。

またIASB単独の会議において、IASBは、保険プロジェクトとIFRS第9号「金融商品」における分類及び測定のモデル案との相互関係について討議を行った。

保険契約の公開草案に対するフィードバック

会議では、IASB及びFASBのスタッフが、下記の事項から明らかになった主要なテーマの概要を報告した:

  • IASB及びFASBがそれぞれ公表したEDの提案内容に対して寄せられたコメントレター
  • EDに対する公式のコンサルテーションを補完するためにIASBが実施したアウトリーチ活動とフィールドワーク、及びFASBのフィールドテストから得られたフィードバック
  • 財務諸表利用者からのフィードバック

IASBのEDに寄せられたコメントの概要は、IASB保険契約プロジェクトに関するウェブサイト※1で入手可能である。

FASBのEDに寄せられたコメントの概要は、FASB保険契約プロジェクトに関するウェブサイト※2で入手可能である。

合同会議では、スタッフが要約したEDへのフィードバックの内容を理解するための、審議会メンバーからのコメントと質問が中心となった。

両審議会は、今後どのトピックを再審議の対象とするのか明確にはしなかったが、IASBの討議では、EDの中の下記の5つのトピックに関する関係者の懸念に議論が集中した:

  • 契約上のサービス・マージンのアンロック
  • 有配当契約
  • 保険契約収益
  • その他の包括利益(OCI)
  • 移行措置

IASBのメンバーの一部は、コメントレターで取り上げられていた、有配当契約に対するミラーリング・アプローチに対する代替案や、OCIの利用をオプションとするかどうかについて議論した。中には、IASBの2010年EDで提案された要約マージン・アプローチへの回帰を支持するメンバーもいた。IASBは今後、再審議の対象とする項目を決定する意向である。

FASBの討議は、FASBのEDに含まれていた48項目の質問事項に関するトピックをカバーしたものとなった。FASBのメンバーの一部は、これまでの見解の一部を見直していることに言及し、以下の項目を含む再審議の検討対象とする必要がある広範囲な課題を明らかにした:

  • ボラティリティ、会計上のミスマッチ、経済的ミスマッチの区別
  • 保険者の財務報告と、金融機関を含む他業種の企業の財務報告との比較可能性が重要かどうか
  • 会計処理を複雑化することによるメリットとそのコストの関係
EYの見解

本会議を通じたコメントの全体的な方向性を考慮すれば、IASBはEDでフィードバックを求めた5つのトピックに対応を絞り、2015年の早期に保険契約の最終基準を公表するというタイトなスケジュールに従うものと見込まれる。他方、FASBは、EDに48項目の質問事項を含めたことを考慮すると、より広範囲にわたるトピックを再審議する可能性が高いと考えられる。また、重複している質問項目について両審議会が合同で審議を行うことも考えられる。ただし、多くの事項については両審議会が合同で再審議を行う見込みは薄いため、コンバージェンスに至る部分が少数にとどまる可能性もあるだろう。

IFRS 第9号との相互関係

IASBのEDに寄せられたコメントレターで取り上げられている主なテーマの一つが、IFRS第9号との相互関係である。多数の回答者が、保険ビジネス、とりわけ長期の契約における資産負債管理の重要性を強調している。これらの回答者は、2013年のEDが保険負債のモデルと保険負債の裏付けとなる資産の分類及び測定のモデルとの相互関係を十分に考慮しておらず、その結果として会計上のミスマッチが十分に低減されない可能性または新たな会計上のミスマッチが生じる可能性があると考えていた。

IASBスタッフは、IASBが、保険プロジェクトの動向を踏まえるために保険プロジェクトの進展を待つことなく、できるだけ早い時期にIFRS第9号を最終基準化し、公表すべきであるという見解を表明した。スタッフは、「分類及び測定:IFRS第9号の限定的修正」の公開草案で提案されている修正を含めたIFRS第9号のモデル案が、保険契約の会計基準が最終化された際に生じる資産の会計処理に関する特定の問題を解決するための「道具」になりうるだろうと考えている。

保険プロジェクトにおける方向性が明確になっていないにもかかわらず、速やかにIFRS第9号の最終基準化しなければならないというジレンマを審議会が抱えている点を指摘したIASBメンバーもいた。また、IASBメンバーの一部は、IFRS第9号を先に最終化してしまうと、保険モデルがIFRS第9号とともに適用される際に重大な問題が生じた場合、再度IFRS第9号の見直しが必要となるリスクがある可能性に言及した。このような懸念はあるものの、IASBは、保険契約プロジェクトとIFRS第9号との相互関係から生じる問題に対して、IFRS第9号が十分に機能するだろうというスタッフの意見に同意した。

EYの見解

IASBはIFRS第9号と保険プロジェクトの相互関係に関する正式な投票を求められていないが、会議で交わされたコメントを見る限り、IFRS第9号と保険EDを結び付けて再審議する意図がないことは明らかである。IFRS第9号を最終基準化して2014年上半期に公表するというIASBの計画は、保険プロジェクトの討議とIFRS第9号プロジェクトの討議を同時並行で進めるという現実的な時間はないという見解を強めるものである。したがって、資産と保険負債の相互関係に関する問題は、保険プロジェクトの一環として対応しなければならないだろう。

次のステップ

IASBは3月にも討議を継続して行う予定であるが、その議題はまだ公表されていない。一方、FASB は2月に討議を継続して行う予定である。





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