アシュアランス
保険IFRSアラート

IASBはIFRS第9号の発効日を2018年に暫定的に設定、FASBは保険プロジェクトの対象範囲を縮小

2014.03.14
重要ポイント
  • IASBは、IFRS第9号の強制適用日を2018年1月1日とした。
  • FASBは、長期保険契約についての改善という目標に重点を置くよう、プロジェクトの対象範囲を変更した。

概 要

国際会計基準審議会(以下、IASB)は、2月の会議を通じて、IFRS第9号「金融商品」の適用開始日について討議を行ったが、保険契約に関する公開草案(以下、ED)の再審議は行わなかった。他方、米国財務会計基準審議会(以下、FASB)は、保険契約に関するEDの再審議の一環として、保険契約プロジェクトの対象範囲について討議を行った。

IFRS第9号の適用開始日

IASBは、IFRS第9号の強制適用日を2018年1月1日以降に開始する事業年度とすることを暫定的に決定した。IASBがこの日を適用開始日とした理由の一つは、保険契約プロジェクトを進める時間的猶予を与え、IFRS第9号と新しい保険契約基準の一層の調和を可能とするためである。ただし、IASBは、IFRS第9号の強制適用日が新しい保険契約基準の進捗次第で変更されるわけではないことを明確にしており、企業が新しい保険契約基準の適用開始前にIFRS第9号を適用しなければならなくなった場合には、移行に関する追加のガイダンスの必要性を保険契約プロジェクトの一環として検討することを明らかにしている。2013年11月の時点では、IASBは完成版のIFRS第9号の発効日が2017年1月より早くなることはないだろうとしていたが、具体的な時期を明らかにはしていなかった。

IASBは、2013年11月にヘッジ会計に関する新たな基準を公表し、また、減損、分類及び測定に関する再審議も終了している。完成版のIFRS第9号には、分類及び測定、減損及びヘッジ会計に関する規定※1が含まれる予定であり、2014年4月から6月には公表される見込みである。

EYの見解

IFRS第9号の適用開始日を遅らせるという決定は、保険契約プロジェクトに関するIASBの最大の懸念事項の一つ、つまり、IFRS第9号と保険契約基準の発効日が異なれば、保険者が短期間のうちに二度の基準変更に対応しなければならなくなるという懸念を解消するきっかけになるだろう。IFRS第9号の発効日は、保険プロジェクトの進展に影響されることはないとIASBがコメントしているとはいえ、それを2018年としたことは、保険者に対応のための十分な時間を確保する一方で、同時期の適用が可能となる期間内に保険プロジェクトを完了するという責任がIASBに課せられたことを示唆している。

FASBは保険プロジェクトの対象範囲を縮小

2014年2月19日に、FASBは保険契約プロジェクトの対象範囲について検討を行った結果、対象範囲を縮小し、長期契約に関する現行のガイダンスおよび短期契約の開示に関する現行のガイダンスの改善に焦点を絞ることを暫定的に決定した。したがって、企業は、損害保険、短期の医療保険、モーゲージ保険、金融保証契約や権原保険契約といった短期契約に対して、現行の測定及び認識のガイダンスを引き続き適用することになるだろう。

またFASBは、非保険企業が引き受けた契約を保険のガイダンスの対象としないことを暫定的に決定した。ただし、将来的には、FASBが、非保険企業が引き受けた特定の契約に対し、保険のガイダンスを適用することが必要かどうかを検討する可能性もあるだろう※2

EYの見解

FASBの決定は、IASBの決定を直接左右するものではない。しかし、我々は、IASBがプロジェクト計画の一部を見直すのではないかと見込んでいる。具体的には、当初、IASB とFASBは、双方のEDの特定のトピックに関し合同で討議を続け、コンバージェンスの達成を探る意向であった。FASBのこの決定により、FASBの検討の範囲とタイミングがIASBとは相違する可能性があり、合同の審議が予定通り行われるかどうかは不透明である。

今後の行方

IASBは3月に次回の会議を予定している。そのトピックは公表されておらず、IASB もFASBも、当初のスケジュール通り3月に保険契約に関する再審議を共同で行うかどうかについて態度を明らかにしていない。

3月の会計基準アドバイザリー・フォーラム(Accounting Standards Advisory Forum : ASAF)の会議の中で、IASBのスタッフは、特定のトピックに対して寄せられたコメントへの対応、特にその他の包括利益の利用、契約上のサービス・マージンのアンロックおよび保険契約収益に対して寄せられたコメントへの対応について、ASAFメンバーの見解を尋ねる予定である※3

(以上)

  • ※1 個別のプロジェクトとして扱われているマクロヘッジ会計を除く。マクロヘッジ会計に関するディスカッション・ペーパーは2014年第1四半期に公表予定である。
  • ※2 FASBの討議内容の概要については、EYの刊行物である「To the Point No.2014-06 FASB scales back scope of insurance contracts project」を参照のこと。(要登録)
  • ※3 ASAFの2014年3月のアジェンダ・ペーパーによる。






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