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IFRSポイント講座

第5部 借入費用

2009.10.23

第5部 借入費用

はじめに

IFRSでは、IAS第23号「借入費用」により、借入費用の会計処理が規定されています。IAS第23号は、適格資産の取得、建設又は製造に直接起因する借入費用については、取得原価の一部として資産化し、その他の借入費用については即時に費用処理することを要求しています。本稿では、IAS第23号の紹介と、適格資産や資産化適格借入費用について想定される実務上の論点に触れていきます。

借入費用の定義

IAS第23号における借入費用とは、企業の資金の借入に関連して発生する利息及びその他の費用をいい、以下の費用が含まれます。

  • IAS第39号「金融商品:認識及び測定」で定められた実効金利法を用いて計算された利息費用
  • IAS第17号「リース」に従って認識されるファイナンス・リースに関連する財務費用
  • 外貨建借入金から発生する為替差損益で、利息費用に対する修正とみなされる部分

適格資産と資産化適格借入費用

適格資産の取得、建設又は製造を直接の発生原因とする借入費用は、当該資産の取得原価の一部として資産化されなければなりません。その他の借入費用は、発生した期間に費用として認識されます。

ここで適格資産とは、意図した使用又は販売が可能となるまでに相当の期間を必要とする資産をいいます。たとえば棚卸資産、製造プラント、発電設備、無形資産、投資不動産などが状況に応じて適格資産となりえます。しかし、金融資産、短期間に製造又は生産される棚卸資産は適格資産ではないとされ、また、取得時点において意図した使用又は売却が可能な状態にある資産もまた、適格資産でないとされます。

適格資産の取得、建設又は製造を直接の発生原因とする借入費用とは、当該適格資産に係わる支出が行われなかったならば避けられた借入費用をいいます。

日本基準との相違と実務上の論点

日本基準では、適格資産という用語は使われていませんが、固定資産を自家建設した場合、建設に要する借入資本の利子で稼動前の期間に属するもの(連続意見書第三)、および不動産開発事業において特定の条件を備えている支払利子については、資産計上が認められます(業種別監査研究部会「不動産開発事業を行う場合の支払利子の監査上の取扱いについて」)。

日本基準では、個別の基準により適格資産となるものが明確に定められているのに対して、IAS第23号では、適格資産を広範囲に規定しているため、実務上どの資産が適格資産に該当するかを特定することが必要となります。

また、日本基準では、借入費用は、原則として発生した期間の費用として認識され、資産化は特定の条件を充足したもののみ、容認されているにすぎず、限定的となっています。他方、IAS第23号では資産化適格借入費用の資産化は必須であるため、日本基準における現行の実務と大きく乖離することとなります。このため、固定資産を取得する場合などは、IAS第23号の影響を検討する必要があります。

さらに連結グループにおいて、開発企業と借入企業が異なるような場合、借入企業で計上されている借入金に関する利息について、連結財務諸表上、どこまでを資産化するかについて、実務上検討が必要となるケースが想定されます。

次回より、金融商品会計について説明します。




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