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IFRSポイント講座

第13部 外国為替レート

2010.11.26
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第13部 外国為替レート(1)

「外国為替レート」の部では、2回にわたり、以下の項目について想定される主な実務上の論点に触れていきます。

  • 外国為替レート変動の影響(IAS第21号)
  • 超インフレ経済下における財務報告(IAS第29号)
  • 初度適用(IFRS第1号)

はじめに

IAS第21号では、①企業の財務諸表に外貨建取引及び在外営業活動体を計上するための方法、②財務諸表を表示通貨に換算するための方法が定められています。
日本基準では、外貨とは日本円以外の通貨を指しますが、IFRSでは、外貨は「機能通貨以外の通貨」のことを意味します。

機能通貨

機能通貨は、企業が営業活動を行う主たる経済環境の通貨と定義されています。報告企業が財務諸表を作成するとき、その基礎となる会計帳簿に取引を記帳する際に、機能通貨による記帳が求められます。日本基準では日本円で帳簿記入することを前提としていますが、IFRSでは、まず機能通貨を決定し、機能通貨による帳簿記入を行うことになります。

機能通貨を決定する際には、次の要因をまず考慮することとされています。

  1. 売上に関連する通貨
    • 財貨及び役務の販売価格に大きく影響を与える通貨
    • 競争力及び規制が財貨と役務の販売価格を主に決定することになる国の通貨
  2. 仕入に関連する通貨
    • 労務費、材料費や財貨や役務を提供するためのその他の原価に主に影響を与える通貨

上記の要因を考慮して、機能通貨が例えば米ドルに決定された場合、日本企業であってもIFRS上は米ドルを使用して帳簿記入することになります。また、機能通貨は在外営業活動体ごとに決定する必要があり、グループ各社間でも、その活動環境に応じて機能通貨が異なります。なお、上記の要因を考慮しても機能通貨が明確に決定できない場合には、考慮すべきその他の補足的要因が規定されています。

在外営業活動体

IFRSでは、「報告企業の所在国以外の国又は所在国以外の通貨にその活動の基盤を置く報告企業の子会社、関連会社、ジョイント・ベンチャー又は支店」のことを在外営業活動体と定義付けています。

日本基準では、在外支店と在外子会社等に区分して、外国為替レートの会計処理が定められているのに対し、IFRSではこのような区分はなく、在外営業活動体として統一的な会計処理が定められています。

外貨建取引の当初記帳

外貨建取引(機能通貨建以外の取引)を当初認識する場合は、取引日における機能通貨と当該外貨間の直物為替レートを取引の外貨額に適用し、機能通貨で計上することになっています。ただし、実務上の理由から、取引日の実際レートに近似するレートを採用することもあります。例えば、1週間又は1ヶ月の平均レートを当該期間に発生したそれぞれの外貨建取引のすべてに使用することも考えられますが、為替レートが著しく変動している場合には平均レートの使用は不適切となります。日本基準では、為替レートの著しい変動時に平均レートの使用を禁止する規定が存在しない点が、IFRSとは特に異なります。

期末為替換算差額の処理

期末日には、外貨建項目(機能通貨建以外の項目)については、以下の為替レートを用いて、期末換算処理を実施します。

  • 外貨建貨幣性項目:決算日の為替レート
  • 取得原価で測定される外貨建非貨幣性項目:取引日の為替レート
  • 公正価値で測定される外貨建非貨幣性項目:公正価値で測定された日の為替レート

為替換算差額については、以下の区分での計上が求められます。

  1. 外貨建貨幣性項目
    原則として、当期の純損益で認識
  2. 外貨建非貨幣性項目
    1. 非貨幣性項目の差損益が、その他包括利益に計上される場合には、当該差損益の為替変動部分も、その他包括利益に計上
      例:固定資産の再評価による評価益が、その他包括利益に計上される場合
    2. 非貨幣性項目の差損益が、損益に認識される場合には、当該差損益の為替変動部分も、損益に計上

次回も引き続き、外国為替レートのIFRSと日本基準との重要な相違について触れます。

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