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IFRSポイント講座

第13部 外国為替レート(2)

2010.12.10
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第13部 外国為替レート(2)

前回に引き続き、外国為替レートのIFRSと日本基準との重要な相違について説明します。

前回は、日本基準にはない概念であるIFRSの機能通貨などを説明しました。今回は、主に機能通貨から表示通貨への換算について説明します。

表示通貨への換算①(通常のケース)

表示通貨とは、財務諸表が表示される通貨のことです。機能通貨と表示通貨が異なる場合に、機能通貨から表示通貨への換算処理が必要となります。超インフレ会計が適用となるケースを除き、通常のケースでは、以下の手続により機能通貨から表示通貨に換算しなければなりません。

  1. 財政状態計算書項目
    資産と負債は、各報告期間の期末日の為替レートで換算
  2. 包括利益計算書項目
    損益は、各取引日の為替レートで換算(ただし、実務上の理由から、取引日の実際レートに近似するレートとして、例えば期中の平均レートを採用することもあります)
  3. 累積換算差額
    上記の結果発生するすべての為替差額は、その他包括利益を通じて資本の部の個別項目(累積換算差額)として認識

表示通貨への換算②(超インフレ会計が適用されるケース)

機能通貨が超インフレ経済下の通貨に該当する場合(ただし、表示通貨は超インフレ経済下の通貨ではない場合)には、以下のように機能通貨から表示通貨への換算が求められます。なお、日本基準においては、超インフレ経済下の通貨に関する包括的な定めはありません。

  1. 財政状態計算書項目及び包括利益計算書項目
    当期のすべての金額は、当期の報告期間の期末日の為替レートで換算
    前期のすべての金額は、前期の報告期間の期末日の為替レートで換算
  2. 累積換算差額
    規定なし

なお、超インフレ経済下の通貨であるかどうかは、3年間の累積インフレ率が100%に近いか又は100%を超えるかなど、IAS第29号で定める要件を総合的に判断することになります。

在外営業活動体に対する純投資額

在外営業活動体に対する報告企業の純投資額の一部を構成する貨幣性項目について生じる為替差額は、個別財務諸表上は損益として処理される一方、連結財務諸表上はその他包括利益を通じて資本の部の個別項目(累積換算差額)として認識され、関連する純投資額の処分時に純損益で認識されます。

このように為替差額をその他包括利益で認識する取扱いは日本基準にはないものですが、IFRSでは在外営業活動体への長期貸付金等(決済が計画されず、かつ、予見し得る将来において決済が発生しそうにない場合に限る)について、当該規定への対応を検討する必要があります。

初度適用

IFRSへ移行する際、企業はIFRS移行日現在の開始財政状態計算書(貸借対照表)を作成します。この際、IFRS移行日におけるすべての在外営業活動体に係わる累積換算差額をゼロとみなすことができるとされています(移行日現在の日本基準に基づく為替換算調整勘定を税効果考慮後の金額で利益剰余金に振替)。この免除規定を採用しない場合には、初度適用企業は、在外営業活動体を取得した時点から、当該在外営業活動体に関して移行日現在であるべき累積換算差額の金額を遡及して算定する必要があります。

今回で、第13部「外国為替レート」は最終回となります。次回は「事業セグメント」です。

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