アシュアランス
IFRSポイント講座

第2部 無形資産

2009.08.14
|1|2次のページ

第2部 無形資産(1)

「無形資産」の部では、2回にわたり、以下の項目について想定される主な実務上の論点に触れていきます。

  • 無形資産の資産認識の要件、特に開発費資産化の6要件
  • 無形資産に係わる支出の会計処理

はじめに

IAS第38号では、資産は、「過去の事象の結果として企業が支配し、かつ将来の経済的便益が企業に流入することが期待されている資産」と定義されており、無形資産は、この資産の小区分を構成するものであり、物質的実体のない識別可能な非貨幣性資産と定義されています。

日本の基準には無形資産に関する概括的な規定はなく、企業会計原則や財務諸表等規則並びに個別に定められた各基準書に従って処理されますが、IFRSでは、上述のIAS第38号にて無形資産に関する単一の包括的な基準書が存在しています。

なお、IAS第38号は、他の基準の範囲内の無形資産や探査及び評価資産の認識(IFRS第6号「鉱物資源の探査及び評価」)等は適用外とし、IAS第17号「リース」の範囲に含まれるリース等、他の基準書が特殊な形態の無形資産の会計処理を規定している場合には、当該基準が適用されることとなっています。また、以下①の指針書及び②・③の基準書も無形資産に関する論点を取り扱っています。

① SIC第32号「無形資産-ウェブサイト費用」:
難しいとされるウェブを介してのマーケティングや情報システムを開発する支出を無形資産とするか費用とするかの判断を規定

② IFRS第3号「企業結合」:
企業結合で取得したのれん及び無形資産の会計処理を規定

③ IAS第36号「資産の減損」:
計上された無形資産の減損を規定

無形資産の資産認識要件

無形資産は、以下の場合に資産として認識しなければなりません。

  1. 資産に起因する、期待される将来の経済的便益が企業に流入する可能性が高く、かつ
  2. その資産の取得原価を信頼性をもって測定できる。

なお、開発費資産化については以下のように処理します。

  • 資産の創出過程を研究局面と開発局面に分類
    研究とは、新規の科学的又は技術的な知識及び理解を得る目的で実施される基礎的及び計画的調査をいいます。 開発とは、商業生産又は使用の開始以前における、新規の又は大幅に改良された材料、装置、製品、工程、システム又はサービスによる生産のための計画又は設計に対する研究成果又は他の知識の応用をいいます。
  • 研究局面に係る支出は発生時費用処理
  • 開発局面に係る支出のうち、無形資産の定義及び一般認識要件、ならびに開発費資産化にかかる6要件のすべてを満たすものに限り、資産計上
    ただし、内部創出のブランド、題字、出版タイトル、顧客名簿及び実質的にこれらに類似する項目は、自己創出のれんと区別することが不可能なため、計上が禁止されます。

次に開発費資産化の6要件、及び6要件を立証するためのインフラ整備について説明します。

開発費資産化の6要件

下記の6要件は、無形資産の要件のうち主に将来の経済的便益を創出するために必要と考えられるものであり、内部創出の無形資産については特に判断を伴うので、恣意性を排除するために規定されたものです。

  1. 使用又は売却できるように無形資産を完成させることの技術上の実行可能性
  2. 無形資産を完成させ、さらにそれを使用又は売却するという企業の意思
  3. 無形資産を使用又は売却できる能力
  4. 無形資産が可能性の高い将来の経済的便益を創出する方法。とりわけ、企業は、無形資産の産出物の、又は無形資産それ自体の市場の存在を、あるいは、無形資産を内部で使用する予定である場合には、無形資産の有用性を立証しなければならない
  5. 無形資産の開発を完成させ、さらにそれを使用又は売却するため必要となる、適切な技術上、財務上及びその他の資源の利用可能性
  6. 開発期間中の無形資産に起因する支出を、信頼性をもって測定できる能力

上記の6要件を立証するためのインフラ整備

上記の6要件を立証するためには、客観的な証拠が必要となるため、インフラを整備し、客観的な証拠を確保することが必要になるものと考えられます。

そのインフラ整備として、プロジェクトごとの原価を集計するシステムの導入を主に挙げることができます。企業が当該システムを導入することにより、支出をプロジェクトごとの詳細な分類ができるため、資産性を有するもの及び費用処理するべきものを明確に区分することができ、6要件を立証することが可能になるからです。

次回は、無形資産に係わる支出の会計処理について解説します。

|1|2次のページ