アシュアランス
IFRSポイント講座

第3部 リース

2009.09.11
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第3部 リース(1)

「リース」の部では、2回にわたり、以下の説明、及び想定される主な実務上の論点に触れていきます。

はじめに‐IAS第17号の定めるリース

リースとは、貸手が一括払い又は数次の支払いにより、契約期間中の資産の使用権を借手に移転する契約です。ファイナンス・リースとは、資産の所有にかかるリスクと経済価値を実質的に全て借手へ移転するリースであり、オペレーティング・リースとは、ファイナンス・リース以外のリースをいいます。IFRSでは、リースの会計処理や開示について、以下のリース契約以外はすべて、IAS第17号で定められています。

  • 鉱物、石油、天然ガス及び類似する非再生資源の探査又は利用についてのリース契約
  • 映画フィルム、ビデオ録画、演劇脚本、原稿、特許権及び著作権等の項目についてのライセンス契約

以下、ファイナンス・リース及びオペレーティング・リースの借手の会計処理に関する論点について説明します。

ファイナンス・リース(借手)‐実質的な判断

ファイナンス・リース取引の判定において、日本基準では、現在価値基準(90%基準:解約不能期間中のリース料総額の現在価値が、リース資産の見積現金購入価額の概ね90%以上)、経済耐用年数基準(75%基準:解約不能期間がリース資産の経済的耐用年数の概ね75%以上)等、具体的な数値基準が設定されています。IAS第17号では、具体的な数値基準は設定されておらず、取引の実態を把握した上で、実質的な判断を求めています。

利息相当額の処理については、日本基準では、ファイナンス・リース取引において、リース資産総額の重要性が乏しい場合を数値基準(未経過リース料期末残高/未経過リース料期末残高+有形・無形固定資産期末残高<10%)で示し、この場合にはリース料総額から利息相当額を控除しない方法、利息相当額総額をリース期間にわたり定額法で配分する方法等の簡便法が認められています。IAS第17号では、原則として利息法により会計処理をすることになりますが、実務上、借り手は金融費用をリース期間にわたって配分するにあたり計算を簡単にするために、近似値法を用いることも認められています。ただし、日本基準のような数値基準は示されていません。IFRS適用の際、原則である利息法と簡便的な方法のいずれを採用するかについては、重要性による判断が必要となりますが、両者の各期間の金融費用の差異が重要でなければIFRSでも定額法を採用できるため、日本基準と重要な差異は生じないと考えられます。なお、IAS第17号ではリース料総額から利息相当額を控除しない方法についての記載がなく、原則的には認められないと考えられます。

また、日本基準では、重要性の乏しい小額リース資産(300万円以下)、短期リース取引(1年以内)の場合には、賃貸借処理に準じた簡便的な会計処理が可能ですが、IAS第17号では、これらについての規定がありませんので、重要性に応じ、原則通り売買処理をすることになると考えられます。したがって、IFRS適用の際には、修正の検討が必要です。

オペレーティング・リース(借手)

オペレーティング・リースに基づく支払リース料(保険、保守等のサービス費用を除く)は、支払が定額でなくても、原則的には、リース期間にわたり定額法によって費用認識しなければならないとされています。例外として、他の規則的な方法が利用者の便益の時間的経過をより適切に表す場合は当該方法により費用認識されます。

以下、オペレーティング・リースに係わる論点について触れます。

オペレーティング・リース‐①差入れ保証金の会計処理

借手は貸手に保証金を差し入れることがありますが、この保証金の利息について貸手から減額され(無利子の場合も含む)市場金利よりも低くなるケースがあります。この際、保証金については、公正価値で測定する必要があります(IAS第39号)。オペレーティング・リース開始日時点における保証金の額面金額が公正価値を超過している差異部分の金額は、貸手に支払う追加リース料の前払部分と考えられ、リース期間を通じて定額法で費用化されます。

なお、保証金が「貸付金及び債権」に分類される場合は、実効金利法により保証金の受取利息が計上されることになります。

オペレーティング・リース‐②フリーレント期間の会計処理

貸手が、リース契約の新規締結、既存契約の更新等、契約率を高めるために、借手にインセンティブを与えることがあります。これらオペレーティング・リースに係わるインセンティブについては、SIC第15号「オペレーティング・リース-インセンティブ」で規定されています。インセンティブには借手のリース関連費用(移転費用、設備造作費用)の負担、初期リース料の免除、割引等が挙げられます。何れの場合も、オペレーティング・リースの借手に与えられたインセンティブについては、その便益の総額を賃借料総額からの控除項目として、リース期間にわたって定額法で認識することとなっています。

オフィス賃貸等において、入居後一定期間のリース料を無料とするような契約が、上記のオペレーティング・リースのインセンティブを含む契約に該当します。例えば、入居後1年間のリース料を無料(フリー)とすることを条件に、その後の4年間を有料とするような契約です。この契約では、フリーレント部分は5年間のリース契約に関連するため、リース契約期間5年間に渡って調整することとなります。従って、リース料総額(4年分)をリース契約期間5年間に渡り、定額法でリース料を計上することになります。

上記、オペレーティング・リースについて借手の会計処理を説明しましたが、貸手についても考え方は同様であり、借手の会計処理の表裏となります。

次回はIAS第17号「リース」に関連する解釈指針IFRIC第4号「契約にリースが含まれているか否かの判断」、初度適用、及び本年3月に公表されたディスカッション・ペーパー「リース-予備的見解」について説明します。

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