アシュアランス
IFRSポイント講座

第1部 有形固定資産

2009.06.05
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第1部 有形固定資産(1)

「有形固定資産」の部では、5回にわたり、以下の項目について想定される主な実務上の論点に触れていきます。

  • IAS第16号の定める有形固定資産
  • 資産の減損(IAS第36号)
  • 政府補助金の会計処理及び政府補助の開示(IAS第20号)
  • 売却目的で保有する非流動資産及び廃止事業(IFRS第5号)

はじめに

有形固定資産とは、財貨の生産又は役務の提供に使用する目的、外部への賃貸目的又は管理目的で企業が保有し、かつ、一会計期間を超えて使用されると予測される有形の資産をいいます。IFRSでは、有形固定資産の会計処理や開示について、他の基準が規定しているもの(*1)以外はすべて、IAS第16号で定められています。

(*1) 他の基準が規定しているものとは、例えば以下のとおりです。

  • IFRS第5号に基づき売却目的に区分された有形固定資産
  • 農業活動に関する生物資産(IAS第41号)
  • 探査及び評価資産の認識及び測定(IFRS第6号)
  • 鉱業権、石油、天然ガスなどの非再生天然資源
  • 投資不動産(IAS第40号)
  • リースに関する当初の認識と測定(IAS17号)

有形固定資産は、以下の場合に資産として認識する必要があります。

  1. その資産に関連する将来の経済的便益が企業に流入する可能性が高く、かつ
  2. その資産の取得原価を信頼性をもって測定できる。

日本の基準には有形固定資産に関する概括的な規定がありませんが、当初認識及び測定、また認識の中止に関して、IFRSと日本の基準で重要な相違はないと考えられます。しかし、以下の点では両者に大きな違いがあります。

  • 当初認識後の測定
  • 減価償却単位
  • 減価償却方法
  • 耐用年数
  • 残存価額、耐用年数、減価償却方法の見直し

これらの相違事項について、今回と次回にわたり説明していきます。また、初度適用の論点についても説明します。

当初認識後の測定

企業は当初認識後の測定にあたり、原価モデル又は再評価モデルのいずれかを、同じ種類の有形固定資産全体に適用しなければなりません。

原価モデルは、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で計上する方法で、再評価モデルは、再評価実施日における公正価値から、その後の減価償却累計額及びその後の減損損失累計額を控除した額で計上する方法です。

ただし、再評価モデルを適用しても原価モデルに基づく帳簿価額を開示する必要があり、実務上煩雑等の理由から、多くの企業で原価モデルが採用されています。

減価償却単位

IFRSでは、有形固定資産項目の全体の取得原価に対し、重要な部分を占める構成部分(コンポーネント)について、個別に減価償却を実施します。取得原価の重要性によって、重要なコンポーネントを識別し、各コンポーネントについて、使用見込みに応じた耐用年数や便益の消費パターンに即した減価償却方法を採用します。例えば、航空機の機体部分とエンジン部分を個別に減価償却するような場合です。

日本の税法においても、大抵の場合、耐用年数が償却資産の構成要素に応じて詳細に区分されていますので、税法基準で減価償却を実施してきた企業がIFRSを導入する場合には、馴染み易いと考えられますが、必ずしも構成要素ごとに減価償却を行っていない場合もあり、海外拠点を含め、これまでの減価償却単位の見直しを検討する必要があります。

次回も引き続き、有形固定資産の日本基準との重要な相違について触れます。

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