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IFRS outlook 増刊

リース期間及び変動支払リース料に関する基準案の簡素化

2011.03.01
リース期間及び変動支払リース料に関する基準案の簡素化

重要ポイント

  • IASB及びFASBは、当初の提案したモデルは複雑かつ導入にあたってコストがかかるため、適用は不可能であるといった批判に対応するため、当該モデルに対し変更を加えることを提案している。
  • 両審議会は、借手にとってリースを延長する(もしくは解約しない)重要な経済的動機があるオプション期間のみをリース期間に含めるように、リース期間の定義を変更することに合意した。
  • 多くの場合、その定義を改めたことにより、両審議会による当初の提案よりも会計上のリース期間は短くなるものと思われ、したがって、当初の提案よりも少ない金額の資産及び負債が貸借対照表上で認識されることになろう。
  • 両審議会は、当初の提案よりもより確度の高い(例えば、かなりの確度(reasonably certain)といった)認識規準を用いて、特定の変動支払リース料をリースに関連する資産及び負債に含めることに合意した。
  • 両審議会は、当初の提案に対する潜在的に重要な他の変更も議論し、追加のアウトリーチの実施を決定した。

概観

国際会計基準審議会(IASB)及び米国財務会計基準審議会(FASB)(以下、併せて両審議会)は、リース会計に係る提案モデルに対する批判、すなわち適用するには非常に複雑であり、またおそらくかなりのコストがかかるといった懸念に対応するため、当該モデルに対し変更を加えることを決定した。

2011年2月の共同会議において、両審議会はリース期間の定義及び変動支払リース料の取扱いを変更することに暫定的に合意した。ただし、すべてのリースについて貸借対照表上での認識を要求することに関し、変更は加えられていない。

今後数カ月で、両審議会は当初の提案に対する変更について、一部の利害関係者からフィードバックを受ける予定である。両審議会は、2011年6月30日までに最終基準を公表する計画を今のところ変更していないが、この期限に間に合わせるのは相当に厳しいと思われる。

背景

両審議会は、リースの借手及び貸手の貸借対照表上ですべてのリースを認識することを求めるリースに関する新たなアプローチを共同で開発している。昨年、使用権モデルが提案されたが、当該モデルの下では、すべてのリースに関し、リースにより生じる資産及び負債を認識することとなる1

800通近いコメント・レター、ワークショップ及び円卓会議から得たフィードバックをもとに、両審議会は再検討すべき多くの論点を識別した。これには以下のものが含まれる。

  • リース期間
  • 変動支払リース料
  • 収益及び費用の認識パターン
  • リースの定義
  • 貸手の会計処理モデル

提案にあったリース期間及び変動支払リース料の取扱いに関しては、特に多くの批判が寄せられ、多くのコメント提供者が当該提案はあまりに複雑でありかつコストもかかるため、適用は不可能であると言及した。

コメント提供者達はまた、提案されたモデルは最も目的適合的な財務情報を提供することにはならないと懸念した。加えて、一部には、将来におけるリース料の支払が回避できる場合、はたしてそれが概念フレームワークにおける資産及び負債の定義を充足すると言えるのか、疑問を呈する者もいた。

リース期間

両審議会は、会計上のリース期間を、発生しない可能性よりも発生する可能性が高い(more likely than not to occur、すなわち発生可能性が50%超)起こり得る最長のリース期間と定義することを当初提案していた。すなわち、リースの借手及び貸手は、種々の要因に基づき、各リース期間の発生可能性を評価することを当初の提案では求められていた。

その後、この当初提案には大きく変更が加えられ、両審議会は、リース期間を、解約不能な期間に、リース契約を延長する、又は解約しないという重要な経済的動機がある場合にはそのオプションを加算した期間と定義する暫定的決定を行った。リースの借手に経済的動機を生じさせる要因としては、廉価で更新することができる、キャンセルする場合又は更新しない場合には違約金を支払う必要がある、又は重要なカスタマイズ費用又はインストール費用などの経済的ペナルティを被るといった要因を挙げることができる。

多くの場合、その定義を改めたことにより、両審議会による当初の提案よりも会計上のリース期間は短くなるものと思われる。例えば、小売業者がリースを5年間延長することができるオプションが4つ付された、解約不能期間10年のリースをしていたとする。その経験及び予想にもとづき、当該小売業者は発生しない可能性より発生する可能性が高い最長のリース期間は20年であると結論付けるかもしれない。一方で、仮に更新オプションを行使する重要な経済的動機がこの小売業者にないのであれば、新たな定義では会計上のリース期間は10年であると結論付けられる可能性がある。

両審議会は、リースを更新する又は解約するオプションを行使する重要な経済的動機が存在するか否かの判断に関連する要因に重要な変更があった場合にのみ、リース期間を再評価するよう企業に求めることに、暫定的に合意した。

審議会は、リース期間の定義を改めることにより、一部の利害関係者が懸念していた、継続的にリース期間を再評価するために生じるコストに関する問題に対応することができるものと考えている。

弊社のコメント

リース期間の定義を改めることにより、リースに関連する資産及び負債が、現行の会計(IAS第17号)で使用される概念とより整合的に測定され、新たなモデルを過度な負担なく適用できることになると考える。しかし、現行基準(IAS第17号)にも見られる、こうした判断を行わねばならないことに伴う数々の課題には、今後も対処せざるを得なくなる。

経済的動機が重要であるか否かの評価は、主観的な判断を伴うものである。加えて、企業は事実及び状況の変化が経済的動機の評価にどのような影響を与えるか検討する必要がある。こうしたリース期間の再評価に関する要件は、今日のリースに係る会計モデルには存在しないものである。

変動支払リース料

両審議会は、確率を加重することで求められる期待値を用いて変動支払リース料(変動リース料、残価保証及び解約違約金)を見積ることを当初提案していた。当該アプローチのもとでは、変動リース料は、業績(例えば、リース店舗での売上)や使用度合(例えば、リースされた航空機の飛行距離)に応じた金額を含み、複数のシナリオをもとに見積られるとともに、貸借対照表上に資産又は負債として認識、計上されることになる。

両審議会は、借手の負債又は貸手の債権には以下を含めることを暫定的に決定した。

  • 何らかの指数(インデックス)又はレートにより決定される支払リース料
  • その変動性に経済的実態が伴わない支払リース料
  • より確度の高い(例えば、かなりの確度(reasonably certain)といった)認識規準を充たす支払リース料

ある特定の指数又はレートに基づく変動リース料は、その時点におけるスポット又は実勢レートに基づき当初測定されるものと思われる。より確度の高い認識規準を用いることにより、一部の業績又は使用度合に基づいて決定される変動リース料はリースに関連する資産又は負債に含められないことになるものと考えられる。

両審議会は変動支払リース料について、その認識基準及び測定方法について議論を継続する予定である。

弊社のコメント

当該変更により、リースに関連する資産又は負債は当初の提案に基づいた場合よりも少額で測定されるかもしれないが、多くのコメント提供者が表明しているコストと複雑性に関する懸念を完全に払拭できるものとは考えられない。今回の暫定的合意において両審議会は、変動支払リース料の事後測定を取り扱っていない。しかし、今回の内容を見る限り、定期的な再評価の一部は、両審議会によるモデルの一部になる可能性が高いものと考える。

変更可能性のある他の論点

両審議会は他の変更可能性のある論点についても議論を行ったものの、結論を導き出すには至らなかった。 リース収益及び費用の認識パターンが多くのリース取引の経済的実態と整合していないという懸念に対処するため、両審議会は重要な財務要素を有さないリースについて、定額法によりリース収益及び費用を認識することを許容するか否かを議論した。

両審議会は、重要な財務要素を有するリースとそうでないリースとをどのように区別するかを調査することに合意した。重要な財務要素を含むリースについては、当初の提案どおり、リース収益又は費用は、リース開始当初に多く計上され、その後、徐々に逓減していく方法により認識されるものと思われる。

両審議会はリースの定義を見直し、リース契約とサービス契約との区別を明確にする可能性がある。また、リース取引の定義に含まれる資産の定義に関する原則、及び契約により特定の資産の使用をコントロールする権利を移転しているか否かの評価方法の明確化についても議論された。加えて、両審議会はサービスの提供に付帯する資産の使用を含む契約をリース会計の議論の対象から除外することを検討している。そのような契約の例としては、顧客が特定のテレビチャンネルの視聴権を得るための契約を結んだ際に提供されるケーブルテレビ装置を挙げることができる。両審議会はこれらの論点について引き続き議論する予定である。

両審議会は、収益認識に係る共同プロジェクトのさらなる進展を待ってから、リース・プロジェクトの一環として、リースの貸手の会計処理を変更すべきか否かを決定する予定である。一部のコメント提供者は、当初の提案は貸手の既存の会計処理を改善するものではなかったと述べている。

我々は重要な進展について、引き続き情報を提供していく予定である。




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