アシュアランス
IFRS Outlook

リース会計に関する公開草案に対する弊社の意見

2011.01.20
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IFRS及び米国会計基準において、すべてのリースをオンバランスすることが、公開草案「リース」(以下、ED)で提案されている。これにより、不動産や航空機などの単独大型資産をリースする企業から、事務機器のような多数の小口リースを契約する企業に至るまで、さまざまな企業に影響が及ぶ可能性が高い。本稿では、国際会計基準審議会(InternationalAccounting Standards Board:以下、IASB)及び米国財務会計基準審議会(US FinancialAccounting Standards Board:以下、FASB)(以下、総称して両審議会)に対する弊社のコメント・レターで表明した、公開草案に関する意見を説明する。

リース・プロジェクト

リース会計は、両審議会が公表した覚書(MoU)において、IFRSと米国会計基準のコンバージェンスを達成するための最優先プロジェクトの1つとなっている。また、リース会計を改善することは、IASBとFASBの長年の目標でもあった。というのも、現行のリース基準において、ファイナンス・リースとオペレーティング・リースの分類上、「恣意的な」境界線が存在することで、リースの借手がリースにより生じる負債を必ずしも貸借対照表に認識していない、という批判があったからである。2010年8月、両審議会は共同でEDを公表し、EDに対するコメント募集は、2010年12月15日で締め切られた。

実質的に購入又は売却に該当するリースは、本EDの適用対象から除外された。こうしたリースは、使用権の移転ではなく、購入又は売却として会計処理しなければならない。

本EDでは、大部分のリースに対して単一の会計処理モデルを適用することが提案されている。その結果、実質的にリースをオフバランスすることはできなくなる。借手は、リース資産を使用する権利を資産として、リース料支払債務を負債としてそれぞれ認識する。また貸手は、原資産に関する重要なリスク又は便益を貸手が留保しているかどうかに応じて、履行義務アプローチ又は認識中止アプローチを適用することとなる。

貸手は、上記のどちらのアプローチによっても、リース料受取債権を資産として認識する。そして、履行義務アプローチでは、貸手は原資産を継続して認識し、リース期間にわたり原資産の使用権を借手に提供する義務について負債を認識する。一方、認識中止アプローチでは、貸手は原資産の帳簿価額のうち、リースされた部分について認識を中止し、残りの部分を残余資産として振り替える。

本EDではまた、数多くの見積りが必要とされており、リース期間にわたり当該見積りを定期的に見直すことも求められている。

表1では、公開草案における提案の概要をまとめている。

表1:リースについて提案されているモデルの概要

表1:リースについて提案されているモデルの概要

弊社の意見

我々は、リース会計を改善し、コンバージェンスを達成しようという両審議会の取組みを支持しており、それが実務的かつ理にかなったものである限り、リースをオンバランスすることには賛同する。しかし、財務諸表の作成者たる企業がこれを実務で実際に用いることができ、かつ財務諸表の利用者にも理解できるような基準として機能するようになるためには、修正が必要な多くの重要な理論上及び実務適用上の問題があると考える。

また、上記のように極めて大きな改正提案であり、かつ、多くの企業がその影響を受けることになることも踏まえ、弊社は、(2011年6月までに公表予定としている)現在の最終基準の公表スケジュールを再考するよう、両審議会に提言している。

一層の検討が必要と考えられる論点

弊社はコメント・レターにおいて、適用範囲、認識及び測定、ならびに貸手の会計処理といった具体的な提案項目について、両審議会で解決すべき複数の重要な問題点を指摘した。以下、これらの問題点について、弊社の提案とともに説明する。

リース会計に関する公開草案に対する弊社の意見(2)に続く

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