東京証券取引所は、マザーズ市場の活性化のため昨年末に「マザーズの信頼性向上及び活性化に向けた上場制度の整備等について」を公表し、市場関係者との意見調整を経て、平成23年3月31日より施行される運びとなりました。
新しい活性化の施策は3つの柱からなりますが、それぞれの概要は以下の通りです。
(1)市場の信頼性向上に向けた施策
- ①財務諸表の信頼性向上のため、上場会社の監査を担当するに足る監査事務所による監査の義務付け
- ②上場審査の実効性向上のため、主幹事証券会社、監査事務所、外部専門家等との連携の強化
- ③マザーズの市場コンセプト(高い成長性)を明確にするため、上場廃止基準、長期上場銘柄の市場二部への移行プロセス、市場コンセプトへの適合性確認手続の明確化
(2)流通市場の活性化に向けた施策
- ①アナリストのマザーズ銘柄の分析対象の拡大支援
- ②上場間もない会社のIR支援
(3)新規上場の活性化に向けた施策
- ①市場コンセプト(高い成長性)に則するため、上場審査において【上場直後】に経営成績が良好となる見込みは不要とし、中長期的な視点での事業計画の実現可能性を評価
- ②上場審査の手続の迅速化(標準上場審査期間2カ月)、主幹事証券会社の提出する推薦書の提出時期の見直し(上場申請時ではなく、上場承認時で可)
- ③遡及監査の実施に向け、日本公認会計士協会へ環境整備の要請
- ④潜在的な上場準備会社への支援体制(情報発信体制等)の強化
先般発生した東北地方太平洋沖地震の影響により日本経済は未だ復興途上にありますが、当施策が日本の株式市場の活性化の一端を担うことを願って止みません。