IPO(企業成長サポート)

2013年新規上場会社概要(2013年1月~12月)

2014.06.23
戦略マーケッツ事業部 企業成長サポートセンター
マネージャー 公認会計士 中野 圭介

Ⅰ. 2013年の新規上場(IPO)の概況

2013年(1月から12月)に国内株式市場に新規上場(IPO)した会社数は、対前年比10社増加の58社(TOKYO Pro Marketを含む。以下同様。)、このうち新興市場に上場した会社数は対前年比4社増加の45社という結果となりました。これは過去5年間で最も多い実績です。2007年には121社あったIPO社数が、リーマンショックが起きた2008年には49社に減少し、翌年の2009年には19社という歴史的低水準を記録しましたが、2010年以降は毎年IPO社数が増加しており、緩やかではありますが、IPO市場は着実に回復を続けています。

2013年の株式市場は、日本銀行による金融緩和や安倍政権による財政出動という「アベノミクス」への期待感を背景に、年初には1万円台であった日経平均株価が上昇を続け、5月には1万5千円台を回復しました。その後、中国経済指数の悪化などを背景に急落し、6月に1万2千円台まで下落したものの、円安の進行などを受けて徐々に回復し、11月には再び1万5千円台となり、12月30日には終値で2007年11月以来6年ぶりの高値となる16,291円を付けるまでに上昇しました。実体経済面でも、こういった株式市場の回復に支えられたことなどから、特に年の前半において個人消費が好調となり、これに加えて緊急経済対策による公共投資の効果から景気を押し上げる結果となり、7~9月期までの国内総生産(GDP)が4四半期連続でプラス成長となるなど、景気回復傾向が持続しました。

このような経済環境のもと、IPO市場も、4年連続でIPO社数が増加しただけでなく、2012年末から49社連続で初値が公募価格を上回り、2013年にIPOした会社のうち、初値が公募価格を上回った会社が52社にも上るなど、活況を呈しました。中には公募価格の5倍以上の初値がつく会社もあったことから、過熱気味との声もありましたが、それだけIPO市場が注目を集めていたと言えるでしょう。銘柄別には、6月にペプチドリーム株式会社が時価総額(初値)1,018億円を、株式会社リプロセルが同1,477億円、7月にはサントリー食品インターナショナル株式会社が同9,640億円を記録し、注目を集めました。

2014年のIPO社数は2013年の58社を上回って70~80社まで増加するとの予想もあり、さらなる活況が期待されます。

1. 市場別分析

2013年の新規上場会社の市場別動向は表1のとおりです。新規上場会社数は全市場全体で58社となり、前年比10社増、比率では21%増と大幅に増加しました。市場別には、スタンダード及びグロースを合わせたジャスダック全体で前年比減少となりましたが、東証1部で4社増加、東証2部で1社増加、マザーズでは6社増加したほか、福岡本則市場では2007年以来6年ぶりのIPO実績がありました。特にマザーズに上場した会社数は29社と全市場全体の50%に当たり、昨年に続き過去最高の構成割合となっています。

本則市場(既存市場)に上場した会社は13社で、全上場会社数の22%に当たります。これは過去5年間を上回る実績であり、2007年の15社という水準に近づいてきています。一方、新興市場に上場した会社は45社で、全上場会社数の78%に当たります。2007年の実績数には及びませんが、2008年の実績を上回る水準まで回復しています。

【表1】 最近5年間の市場別新規上場会社数の推移

表1:最近5年間の市場別新規上場会社数の推移
  • (注1)大阪1部・2部・ヘラクレスグロース、名古屋1部・2部・セントレックス、札幌本則は上記期間内における新規上場実績はありません。
  • (注2)株式会社東京証券取引所は2012年7月1日付で株式会社TOKYO AIM取引所を吸収合併し、プロ投資家向け株式市場「TOKYO AIM」を「TOKYO PRO Market」と改称しています。

2. 業種別分析

2013年の業種別新規上場会社の状況は表2のとおりであり、例年IPO実績のある医薬品、情報・通信業、卸売業、小売業、不動産業、サービス業では、卸売業を除きIPO社数が前年の実績を上回りました。業種の構成比では、2012年に引き続き、サービス業、情報・通信業、小売業が高い割合を示しており、この3業種で全体の60%以上を占めています。また、この3業種に続くのが建設業で、2008年以降IPO実績がありませんでしたが、2013年は4社のIPO実績がありました。

例年、情報・通信業は他の業種と比較してPERが高い特徴がありますが、2013年のPERの平均は70倍を超えており、2013年も情報・通信業の成長性への期待が高いことがわかります。

【表2】 最近3年間の業種別新規上場会社数の推移

表2:最近3年間の業種別新規上場会社数の推移
  • (注)鉱業、繊維製品、石油・石炭製品、ゴム製品、ガラス・土石製品、非鉄金属、その他製品、電気・ガス業、海運業、証券、商品先物取引業は上記期間内におけるIPO実績はありません。

Ⅱ. 2013年 新興市場上場の傾向

ここからは、2013年において新興市場に上場した会社45社の財務データや時価総額の状況についてより詳細に分析を行っていきます。

なお、札幌アンビシャス、名古屋セントレックス、福岡Qボード、TOKYO PRO Market(TOKYO AIM)は、表中の「その他」に含めて記載しています。また、ジャスダックはジャスダックスタンダード及びジャスダックグロースをまとめて記載しています。

1. 新興市場45社の売上高

新興市場45社の売上高:分布状況
新興市場45社の売上高:平均
  • (注)連結財務諸表作成会社は連結売上高を、連結財務諸表を作成していない会社は単体売上高を集計しています。

2013年に新興市場に上場した会社45社のうち、売上高50億円未満の会社の割合は69%(31社)で、2012年の割合と同水準となりました。また、2011年以降、最大最小分析の下位5社の売上高が全て10億円未満となっており、新興市場に上場する会社の規模の小型化の傾向は続いています。

市場別に見ると、マザーズでは平均売上高が43億円となり、2012年と比較して増加している一方で、ジャスダックでは2012年の平均売上高をマックスバリュ九州株式会社(1,173億円)が押し上げていたこともありますが、これを除いても2012年との比較では減少して64億円となっており、両市場の売上規模の差が縮まってきたことが特徴的です。

最大最小分析においても、従来は上位5社をジャスダックに上場した会社が占めていましたが、2013年は2位を除いた4社がマザーズの会社となっています。

2. 新興市場45社の時価総額

新興市場45社の時価総額:分布状況
新興市場45社の時価総額:平均
  • (注)時価総額は、初値に基づいて算出しています。

2013年に新興市場に上場した会社45社のうち、時価総額(初値)が100億円以上の会社は47%(21社)となり、2012年の15%を大きく上回りました。また、中でも500億円以上となった会社も3社ありました。公募増資を実施していないTOKYO PRO Marketの4社を除く41社のうち40社は初値が公募価格を上回り、平均で公募価格の2.5倍の初値がついたこともあり、初値ベースでの時価総額が上昇する結果となりました。

市場別の平均金額を見ると、マザーズは195億円で2012年の約2倍、ジャスダックでは177億円で2012年の約5倍となっています。

最大最小分析では、iPS細胞事業を展開する株式会社リプロセルが注目を集め、公募価格の5.6倍の初値をつけて時価総額の1位となっています。2位から5位の4社も高いPERを示しており、高い収益性や成長性を期待されている会社で占められています。



情報量は適当ですか?

文章はわかりやすいですか?

参考になりましたか?