IPO(企業成長サポート)

関連法令等の改正

2015.10.30
企業成長サポートセンター マネージャー 公認会計士
中野 圭介

関係法令等の改正の概況

平成27年4月~ 9月に公表された、主な関係法令等の改正の状況は、表1~表3のとおりです。
政府の成長戦略に基づくIPO 活性化や持続的な企業価値向上への施策に対応した法令等の改正のほか、修正国際基準に関連する改正等、税効果会計に関連する改正等が主な内容です。

1. 修正国際基準(JMIS)に関連する改正等

企業会計基準委員会(ASBJ)から修正国際基準(JMIS)が公表されました。この公表を受け、金融庁からは、修正国際基準(JIMIS)の適用に伴う連結財務諸表規則等の改正案が公表されています。IFRSの任意適用の積上げ及び我が国によるIFRS に対する積極的な意見発信を図る方策の一つとして、IFRS を自国基準として取り込むエンドースメント手続の導入によるものです。

2. 税効果会計に関連する改正等

ASBJ において、日本公認会計士協会(JICPA)における税効果会計に関する会計上の実務指針及び監査上の実務指針を、ASBJ へ移管するための審議が行われています。なお、監査委員会報告第66 号の繰延税金資産の回収可能性に関する指針についても、見直した上でその内容を引き継ぐ適用指針(案)が公表されていますが、企業の「分類」に応じて回収可能性を判断するという取扱いの枠組みは基本的に踏襲されています。 その他、JICPA から、平成27 年度税制改正での、外国子会社からの受取配当金の益金不算入制度一部見直しを受け、「税効果会計に関するQ&A」の改正版が公表されています。

表1 金融庁
区分 主な法令等 内容
改正会社法関連
  • 会社法の一部を改正する法律及び会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律 の施行に伴う金融庁関係内閣府令の整備に関する内閣府令
  • 会社法改正に伴い、臨時報告書の作成要件が追加される他、株主数基準による有価証券報告書の提出義務免除の基準日に関する改正を図るもの。
金融商品取引法等改正関連
  • 金融商品取引法等の一部を改正する
    法律の施行日を定める政令
  • 金融商品取引法施行令
  • 財務計算に関する書類その他の情報の適正性を確保するための体制に関する内閣府令
  • 平成26年5月の金融商品取引法改正により、新規上場後3年間は内部統制報告書の監査証明を要しないこととされたが、当該免除期間(3年間)の起算日や当該免除規定を利用できない新規上場企業の資本の額その他の経営の規模を規定するもの。
修正国際基準
(JMIS)関連
  • 「 連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令(案)」等の公表
  • 修正国際基準(JMIS)の適用による連結財務諸表等に係る所要の改正を行うもの。

3. コーポレートガバナンス・コードの公表

政府の成長戦略「『日本再興戦略』改訂2014」を受けて「コーポレートガナバンス・コード」(以下「コード」)が策定され、それぞれの企業が自らの置かれた状況に応 じて、実効的なガバナンスを実現できるようになりました。コードは、「プリンシプル・ベース・アプローチ」(原則主義)が採用され、また、法令と異なり法的拘束力を有する規範ではないため、「コンプライ・オア・エクスプレイン」(原則を実施するか、実施しない場合にはその理由を説明するか)の手法が採用されています。

上場会社は、平成27 年6 月1 日よりコードの適用が義務付けられ、適用以後最初に開催する定時株主総会後、準備ができ次第、速やかに、コードに対応したコーポレート・ガバナンス報告書の提出が必要となり、新規上場会社も既上場会社に準じることとされています。

表2 ASBJ・JICPA等
区分 会計基準等 適用時期 内容
税効果会計(外国子会社からの受取配当金の取扱い)(公開草案)(JICPA)
  • 「 税効果会計に関するQ&A」の改正について(公開草案)
  • 平成27年4月3日公表
  • Q&Aという性格から適用時期は特に示されていない
  • 平成27年度税制改正において、外国子会社からの受取配当金の益金不算入制度が一部見直されたことを受け、その税効果会計上の取扱いを示すもの。
  • 復興特別法人税制度が改正され、復興特別法人税が1年前倒しで廃止されることになったため、関連項目を削除するもの。
税効果会計(繰延税金資産の回収可能性)(公開草案)(ASBJ)
  • 繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針(案)(企業会計基準適用指針公開草案第54号)
  • 平成27年5月26日公表
  • 平成28年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用
  • 平成28年3月31日以後終了する連結会計年度及び事業年度の年度末に係る連結財務諸表及び個別財務諸表から適用することができる
  • 監査委員会報告第66号における企業の分類に応じて繰延税金資産の回収可能性を判断するという枠組みを基本的に踏襲する。
  • 分類2の企業におけるスケジューリング不能な将来減算一時差異のうち、一定の要件を満たす場合は、当該将来減算一時差異に係る繰延税金資産の回収可能性があるものとして取り扱う。
  • 分類4又は分類5の要件について、「期末における重要な税務上の繰越欠損金の存在」や「債務超過の状況」等の期末の残高(ストック)は考慮せず、過去(3年)及び当期の税務上の欠損金の状況(フロー)等により判定する。
修正国際基準(JMIS)
(ASBJ)
  • 修正国際基準(国際会計基準と企業会計基準委員会による修正会計基準によって構成される会計基準)
  • 平成27年6月30日公表
  • 平成28年3月31日以後終了する連結会計年度に係る連結財務諸表から適用することができる
  • 四半期連結財務諸表に関しては、平成28年4月1日以後開始する連結会計年度に係る四半期連結財務諸表から適用することができる
  • 修正国際基準の適用、企業会計基準委員会が採択した国際会計基準審議会(IASB)により公表された会計基準及び解釈指針、企業会計基準委員会による修正会計基準、により構成される。
  • いわゆる「日本版IFRS」として、のれんの非償却及びその他の包括利益のノンリサイクリング処理について「削除又は修正」を行っている。

表3 東京証券取引所
区分 規定等 内容
改正会社法関連
  • 有価証券上場規程
  • 有価証券上場規程施行規則
  • 平成27年5月1日施行
  • 社外取締役や社外監査役の社外性要件の一部緩和が行われたことや支配株主の株式等売渡請求制度が導入されたことを踏まえ、適時開示事由の見直しなどを行うもの。
コーポレートガバナンス・コード
  • 有価証券上場規程
  • 有価証券上場規程施行規則
  • 平成27年6月1日施行
  • 5つの基本原則と各基本原則に対応する30の原則及び38の補充原則で構成される。
  • マザーズ・JASDAQについては、コードのうち、「基本原則」部分を実施しない場合に、その理由を説明するものとされている。


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