IPO(企業成長サポート)

関連法令等の改正

2017.02.01
企業成長サポートセンター マネージャー 公認会計士
瀬戸山 広樹

1. 関係法令等の改正の概況

2016年10月~12月に公表された、主な関係法令等の改正の状況は、表のとおりです。

金融庁からは、国際会計基準審議会が2016年1月1日から6月30日までに公表した国際会計基準を指定国際会計基準とする改正案のほか、2016年4月に公表された金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」報告で提言されたことを踏まえ、有価証券報告書の記載内容に「経営方針」を加えるための改正案が公表されています。また、同報告を受けて、東京証券取引所からは、決算短信・四半期決算短信(以下、「短信」という。)の様式について使用強制をとりやめる改正案が公表されています。

さらに、企業会計基準委員会(以下、「ASBJ」という。)からは「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準(案)」が公表されています。

2. 「ディスクロージャーワーキング・グループ」報告の公表を受けての改正案

(1)概要

政府は、持続的な企業価値向上のため、企業と投資家の建設的な対話を促す観点から、企業の情報開示について統合的な開示の在り方を検討することを求めています。これを踏まえ、「ディスクロージャーワーキング・グループ」は、現状、上場会社等に開示が求められている、3つの開示制度(金融商品取引法、会社法、上場規則に基づく開示制度)について、適時に、わかりやすく、より効果的・効率的な開示が行われるよう、開示に係る自由度を向上させることを提言しています。これを受けて、今般、金融庁及び東京証券取引所から法令又は規則等の改正案が公表されています。

(2)有価証券報告書へ「経営方針」を記載

従来、決算短信の記載内容とされている「経営方針」について、決算短信ではなく有価証券報告書において開示すべきことが、「ディスクロージャーワーキング・グループ」から提言されました。この提言を踏まえ、企業内容等の開示に関する内閣府令の様式において、「事業の状況」における「対処すべき課題」が「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に変更される改正案が公表されています。また、記載上の注意では、経営方針・経営戦略等の内容を記載すること、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等がある場合には、その内容について記載することが提案されています。なお、当該改正は公布の日から施行することが予定されています。

(3)短信様式の強制をとりやめ

短信による情報開示の意義が速報性にあることに鑑み、その開示内容の自由度を高めること目的として、短信のサマリー情報について、東京証券取引所が定める短信様式での開示を強制しないとする改正案が公表されています。当該改正は2017年3月末日以後最初に終了する通期決算又は四半期決算の開示からの適用が予定されています。

なお、「ディスクロージャーワーキング・グループ」において、短信の速報としての性格に比して、作成・公表の事務負担が過重となっている、記載内容が有価証券報告書と重複している、という意見を踏まえ、以下の提言も行われています。

  • 短信公表前の監査・四半期レビューが不要であることの明確化
  • 速報性に着目した記載内容の削減による合理化
  • 短信の内容について可能な限り自由度を高めることが必要であること
  • 投資者の投資判断を誤らせるおそれがない場合には、短信開示時点では連結財務諸表の開示を行わなくてもよいこと(開示可能な段階で開示する)

3. 「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準(案)」の概要

ASBJでは、従来JICPAが公表していた税効果会計に関する実務指針を会計基準としてASBJに移管すべく継続的に審議を行っています。この一環として、監査・保証実務委員会実務指針第63号「諸税金に関する会計処理及び表示に係る監査上の取扱い」についても税効果会計に関連するため、会計基準として公開草案が公表されています。なお、当該公開草案は、従来の内容を踏襲した上で、表現の見直しや考え方の整理を行ったものであり、実質的な内容の変更は意図されていないことから、確定公表日以後の適用が提案されています。

4. 最後に

金融審議会から平成28年12月22日に、フェア・ディスクロージャー・ルール(公表前の内部情報を特定の第三者に提供する場合に当該情報が他の投資者にも同時に提供されることを確保するためのルール)の導入に向けた報告書が公表されています。フェア・ディスクロージャー・ルール導入は、実務に大きな影響を与えうることから、注目するべき論点となっています。

区 分 主な法令等 内 容
  • 金融庁
  • 公開草案
  • 「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則に規定する金融庁長官が定める企業会計の基準を指定する件」等の改正案
  • 2016年1月1日から2016年6月30日までに公表された国際会計基準を指定国際会計基準とするもの
  • 企業会計基準委員会が2015年7月1日から2016年7月31日までに公表した修正国際基準を修正するもの
  • 金融庁
  • 公開草案
  • 「企業内容等の開示に関する内閣府令」等の改正案
  • 2.(2)参照
  • 国内募集と並行して海外募集が行われる場合に、海外募集に係る臨時報告書に記載すべき情報が国内募集に係る有価証券届出書に全て記載されているときには、当該臨時報告書の提出 を不要とするもの
  • 金融庁
  • 公開草案
  • 「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令(案)」等
  • リスク分担型企業年金の会計処理等に関する実務上の取扱い(案)」等が公表されたことを受け、財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等について所要の改正を行うもの
  • 金融庁
  • 公開草案
  • 決算短信・四半期決算短信に係る上場規則の改正案
  • 2.(3)参照
  • ASBJ
  • 公開草案
  • 企業会計基準公開草案59号「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準(案)」の公表
  • 3.参照


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