IPO(企業成長サポート)

関連法令等の改正

2018.07.20
企業成長サポートセンター
公認会計士 田代 学

1.コーポレートガバナンス・コードの改訂及び投資家と企業の対話ガイドラインの公表

JPXグループの東京証券取引所は2018年6月1日にコーポレートガバナンス・コード(以下「コード」)の改訂に係る有価証券上場規程の一部改正を施行しました。

また、同日金融庁は機関投資家と企業の対話において重点的に議論することが期待される事項を取りまとめた「投資家と企業の対話ガイドライン」(以下「対話ガイドライン」)を公表しました。

これらは「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」において、企業と投資家との対話を通じ、コーポレートガバナンス改革をより実質的なものへと深化させていくため、コードの改訂が提言されたこと、及び、スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードの実効的な『コンプライ・オア・エクスプレイン』を促すため、機関投資家と企業の対話において重点的に議論することが期待される事項を取りまとめた対話ガイドラインの策定が提言されたことに基づいております。

2.コーポレートガバナンス・コードの主な改訂点

コードの主な改訂点は下記の通りとなっております。

  • 政策保有株式の縮減を促進及び政策保有株主*1 に関する記載を追加
  • 企業年金のアセットオーナーとしての機能発揮に関する記載を追加
  • 非財務情報にいわゆるESG要素に関する情報が含まれることを明確化
  • 後継者計画の策定・運用に対する取締役会の主体的な関与及び適切な監督を促進
  • 取締役会が経営陣の報酬制度を設計し、具体的報酬額を決定することを明確化
  • CEOの選解任手続を確立することを明確化
  • 任意の諮問委員会を指名委員会や報酬委員会と具体化
  • 取締役会の多様性の具体化及び監査役に経験、能力、知識が求められることを明確化
  • 経営戦略、計画の策定、公表時に資本コストの把握が必要であることの明確化及び当該戦略、計画実現のために実行する活動の具体化
*1 自社の株式を政策保有株式として保有している会社

本改訂により、5つの基本原則自体に変更はないものの、「第3章 適切な情報開示と透明性の確保」の考え方が改訂されています。

また、30の原則のうち5つが改訂、1つが新設され、38の補充原則のうち4つが改訂、4つが新設されております。これにより改訂後のコードは5の基本原則、31の原則、42の補充原則により構成されることとなりました。

3.投資家と企業の対話ガイドラインの主な内容

対話ガイドラインは、コーポレートガバナンスを巡る現在の課題を踏まえ、スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードが求める持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に向けた機関投資家と企業の対話において、重点的に議論することが期待される事項を取りまとめたもので、① 経営環境の変化に対応した経営判断、② 投資戦略・財務管理の方針、③ CEOの選解任・取締役会の機能発揮等、④ 政策保有株式、⑤ アセットオーナーの5つの項目から構成されます。

対話ガイドラインは、両コードの附属文書として位置づけられるものであることから、その内容自体について、『コンプライ・オア・エクスプレイン』を求めるものではありませんが、両コードの実効的な『コンプライ・オア・エクスプレイン』を促すことを意図しており、企業がコードの各原則を実施する場合(各原則が求める開示を行う場合を含む)や、実施しない理由の説明を行う場合には、本ガイドラインの趣旨を踏まえることが期待されています。

4.公開準備会社の対応

コード改訂や対話ガイドライン公表の趣旨や理念は、より高度なコーポレートガバナンスを求める内容となっております。

コード及び対話ガイドライン自体は、上場会社を対象としたものですが、公開準備会社も精読し、趣旨や理念を正しく理解するとともに、いかにして実効性のある対応を行うべきか、公開準備の段階から検討し、自社の体制整備において考慮していくことが望まれます。

そうした早期かつ適切な準備をすることにより、上場会社になった際に、適切な対応が出来るとともに、長期的な視点では企業価値の向上に資するものと考えられます。

表1 コードレートガバナンス・コードの改訂/新設内容

(下の図をクリックすると拡大します)
表1 コードレートガバナンス・コードの改訂/新設内容