1. 新規上場市場の概況
2020年1月~3月の国内株式市場は、年明け日経平均株価終値23,204円でスタートしたものの、新型コロナウィルス感染症対策の影響で2月下旬には21,000円台となり、その後も下落を続け3月中旬には16,000円台に落ち込むものの、3月末には18,917円となりました。そのような市場環境の中で、新規上場企業数は28社(TOKYO PRO Marketを含む。以下同様)となりました。前年同期(2019年1月から3月)と比較した場合5社増となっております。市場別に見ると、全体の57.1%にあたる16社がマザーズに上場しており、新興市場合計で全体の78.6%を占めています(表1)。
表1 最近5年間(1月~3月)の市場別新規上場企業数
2. 新規上場企業データの分析
業種別では、サービス業14社が全体の50.0%を占め、他の業種社数と開きが見られます。次いで多いのは建設業、情報・通信業の4社(各14.3%)となっています。(表2)。
本社所在地別では、全体の67.9%にあたる19社の本店所在地が東京都であり、依然として東京都が中心です。東京都以外に本店所在地がある場合でも上場市場は東証に集中しています。
表2 2020年(1月~3月)の業種別新規上場企業数/表3 2020年(1月~3月)の地域別新規上場企業数
直前期の売上高の分布を見ると、10億円未満の企業が3社(11%)、10億円以上50億円未満の企業が11社(39%)であり、全体の2分の1を売上高50億円未満の比較的小規模な企業が占めています(図1)。売上高が500億円を超える新規上場企業はありませんでした。
図1 2020年(1月~3月)新規上場企業・直前期売上高/図2 2020年(1月~3月)新規上場企業・初値時価総額
初値時価総額の分布を見ると、50億円未満の企業9社(32%)、50億円以上100億円未満の企業が12社(43%)であり、全体の4分の3程度を占めております(図2)。また、TOKYOPRO Market を除いた新規上場企業においては、市場の低迷の影響を受け、公募割(初値が公開価格を下回る)企業は27社中17社となっております。赤字上場(直前期の当期純利益が赤字で上場した会社)数はマザーズ上場した1社です。
監査法人別では、28社中17社が大手監査法人となっております。2017年1月~2020年3月までを通算するとEY新日本有限責任監査法人83社(26.1%)、有限責任監査法人トーマツ72社(22.6%)、有限責任あずさ監査法人が70社(22.0%)となっております。