IPO(企業成長サポート)

日本の新規上場動向 - 2020年1月~12月

2021.01.25
EY新日本有限責任監査法人
企業成長サポートセンター
税理士 左近司 涼子

1. 新規上場市場の概況

2020年1月~12月の国内株式市場は、年明け日経平均株価終値23,000円台でスタートし、新型コロナウイルス感染症対策の影響を受け3月中旬には17,000円台に落ち込むものの、その後徐々に回復し、11月に入ってからは右肩上がりで上昇し、12月最終日終値は27,444円となりました。そのような市場環境の中で、新規上場企業数は、103社(TOKYO PRO Marketを含む。以下同様)となりました。前年同期(2019年1月~12月)と比較した場合8社増となっております。市場別に見ると、全体の61.2%にあたる63社がマザーズに上場し、新興市場合計で全体の85.4%を占めています(表1)。

表1 最近5年間(1月~12月)の市場別新規上場企業数

(単位:社)
市場 2016年
1月~12月
2017年
1月~12月
2018年
1月~12月
2019年
1月~12月
2020年
1月~12月
2020/2019
増減
東証1部 8 11 7 1 6 5
東証2部 5 8 5 11 9 △2
名証2部 2 1 0 0 0 0
福証本則 0 0 0 1 0 △1
マザーズ 54 49 63 64 63 △1
JASDAQスタンダード 14 19 14 6 14 8
JASDAQグロース 0 0 0 0 0 0
名証セントレックス 0 0 0 1 1 0
福証Qボード 0 0 0 1 0 △1
札証アンビシャス 0 2 1 1 0 △1
TOKYO PRO Market 3 7 8 9 10 1
①全市場合計 86 97 98 95 103 8
②①の内で新興市場合計 71 77 86 82 88 6
(②/①比率) 82.6% 79.4% 87.8% 86.3% 85.4% -
(注1)対象期間に新規上場実績のある市場のみを上記に記載しています。
(注2)東証と同日に他の市場に上場している場合は、東証の実績に含めています。

2. 新規上場企業データの分析

業種別では、情報・通信業37社(昨年28社)、サービス業28社(昨年35社)となっており、それぞれ全体の約30%を占め、他の業種社数と開きが昨年と同様に見られます。次いで多いのは建設業と小売業の5社となり、多岐にわたる業種が上場しています。(表2)。

本社所在地別では、全体の66.0%にあたる68社の本店所在地が東京都であり、依然として東京都が中心です。次いで大阪府15社、神奈川県4社、他にも12県の企業が上場し、昨年とほぼ同様の傾向にあります。東京都以外に本店所在地がある場合でも上場市場は東証に集中しています。東証以外では、東証に同日上場した場合を除きますと、名証セントレックスに1社が上場しています。

表2 2020年(1月~12月)の業種別新規上場企業数/表3 2020年(1月~12月)の地域別新規上場企業数

  社数 シェア
水産・農林業 1 1.0%
建設業 5 4.9%
食料品製造業 1 1.0%
化学業 4 3.9%
医薬品製造業 3 2.9%
ガラス・土石製品製造業 1 1.0%
鉄鋼業 1 1.0%
機械製造業 3 2.9%
電気機器製造業 2 1.9%
輸送用機器製造業 1 1.0%
その他製品製造業 2 1.9%
陸運業 1 1.0%
倉庫・運輸業 1 1.0%
情報・通信業 37 35.9%
卸売業 4 3.9%
小売業 5 4.9%
証券、商品先物取引業 1 1.0%
不動産業 2 1.9%
サービス業 28 27.2%
合計 103 100%
  社数 シェア
北海道 3 2.9%
千葉県 1 1.0%
東京都 68 66.0%
神奈川県 4 3.9%
新潟県 1 1.0%
石川県 1 1.0%
福井県 1 1.0%
静岡県 3 2.9%
愛知県 1 1.0%
滋賀県 1 1.0%
大阪府 15 14.6%
鳥取県 1 1.0%
岡山県 1 1.0%
福岡県 1 1.0%
宮崎県 1 1.0%
合計 103 100%

赤字上場(直前期の当期純利益が赤字で上場した会社)数はマザーズ上場した15社、TOKYO PRO Market3社です。

直前期の売上高の分布を見ると、10億円未満の企業が20社(19%)、10億円以上50億円未満の企業が50社(48%)であり、全体の2/3以上を売上高50億円未満の比較的小規模な企業が占めています(図1)。売上高が500億円を超える新規上場企業は、東証1部に上場した2社にとどまっています。

図1 2020年(1月~12月)新規上場企業・直前期売上高/図2 2020年(1月~12月)新規上場企業・初値時価総額

(下の図をクリックすると拡大します)

初値時価総額の分布を見ると、50億円未満の企業が18社(18%)、50億円以上100億円未満の企業が25社(24%)であり、全体の半数弱を占めます(図2)。時価総額500億円を超えた企業は、昨年(9社)並みの11社となっています。(株)プレイド1社が時価総額1,000億円超となっています。マザーズとジャスダック市場の平均時価総額は206億円と、前年同期の221億円と比較して減少しました。

監査法人別では、2018年~2020年までを通算するとEY新日本有限責任監査法人80社(27.0%)、有限責任あずさ監査法人が68社(23.0%)、有限責任監査法人トーマツ53社(17.9%)、となっており、大手監査法人に集中しております(表4)。

表4 2020年(1月~12月)の地域別新規上場企業数

  2018年 2019年 2020年 合計
  社数 シェア 社数 シェア 社数 シェア 社数 シェア
EY新日本有限責任監査法人 29 29.6% 23 24.2% 28 27.2% 80 27.0%
有限責任監査法人トーマツ 21 21.4% 21 22.1% 11 10.7% 53 17.9%
有限責任あずさ監査法人 25 25.5% 19 20.0% 24 23.3% 68 23.0%
太陽有限責任監査法人 6 6.1% 9 9.5% 11 10.7% 26 8.8%
その他 17 17.3% 23 24.2% 29 28.2% 69 23.3%
合計 98 100% 95 100% 103 100% 296 100%