上場審査では反社会的勢力の排除に関する審査項目があると聞きましたが、ポイントを教えてください。

2014年7月31日
カテゴリー IPO Q&A

Question

上場審査では反社会的勢力の排除に関する審査項目があると聞きましたが、ポイントを教えてください。

Answer

上場に際しては、内部統制システムの一環として、反社会的勢力との関係を排除するための体制を整備する必要があります。具体的な対応としては、経営トップが反社会的勢力との関係を排除するための基本的な考え方を明らかにしてそれを社内外に宣言すること、反社会的勢力に対応する部門を決定して情報を一元管理すること、対応マニュアルの整備や業務フローの見直しを行うこと、外部専門機関との連携を行うこと、契約書や取引約款に反社会的勢力排除条項を導入することなどが挙げられます。

また、上場申請時には「反社会的勢力との関係がないことを示す確認書」の提出が求められます。東京証券取引所では、上場申請日における役員、役員に準ずる者、重要な子会社の役員、上場申請日における大株主上位50名、主な仕入先及び販売先(直前事業年度の連結ベースで上位10社)について記載が求められますので、それぞれについて情報を入手し、反社会的勢力と関係のないことを確認する必要があります。取引先の情報は、商業登記簿の確認、取引開始の経緯の確認など、与信管理等で入手している情報で足りることもありますが、現状の取引状況やクレーム等の状況によっては再度見直しをすることも必要です。

さらに、反社会的勢力の排除について会社法の側面から見た場合は、反社会的勢力と取引を行うこと・反社会的勢力との関係を維持することは、当該取引が適法か違法かを問わず、取締役や監査役が善管注意義務を問われるリスクが高いと言えます。

なお、反社会的勢力との関係を排除するための体制整備には「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針について」(平成19年6月19日 犯罪対策閣僚会議幹事会申合せ)が参考になると思われます。