EYグローバル気候変動リスク・ディスクロージャー・バロメーター 2018

気候変動の開示が明らかにするビジネスリスクと機会

本調査は、TCFD提言に基づく気候リスクと機会に関する企業情報の開示状況を、EYの気候変動とサステナビリティサービス(Climate Change and Sustainability Services、以下CCaSS)が取りまとめたレポートです。気候変動の影響が大きいとされる業界やセクター、17カ国500社を越える企業のディスクロージャーを元に作成しました。

2017年6月、金融安定理事会(FSB)の気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures、以下TCFD)は、気候関連の財務リスク開示に関する提言として最終報告書を発表しました。金融市場に不可欠な機能の一つとして、情報に則った効率的な資本配分決定ができるようリスクの価格付けを行うこと、と明記しています。この機能について、現在および過去の運用・財務報告が正確かつタイムリーに開示されることが基本である、と述べています。そして、金融市場は、気候変動に関連する情報についてもリスクの価格付けをし、運用・財務報告で開示することを求めています。ガバナンス・戦略・リスクマネジメント・指標と目標という、組織運営における中核的要素である4つのテーマを中心に、TCFDは2つの異なるカテゴリーでリスクとビジネスの機会を定義しています。

  1. 移行の影響: 低炭素経済に移行する過程で起こりうるリスクと機会、その他マクロ経済的要因を含む、経済の変化に関連するリスクと機会を反映
  2. 物理的影響: 将来の事業活動に影響を与えうる可能性がある物理的な気候の変化(例:降雨量、強度、タイミングの変更)を反映

また、TCFDの提言は、金融セクター(銀行、保険会社、機関投資家およびアセットマネージャー等)やその他のセクター(エネルギー、運輸、原材料および不動産、建物・建設、農業、食料および林産物等)といった特定の高リスクセクターに関する補足的指針も提言しています。

気候リスクは、伝統的なビジネスリスクに比べ、本質的に複雑で長期的なものである為、その潜在的な影響の理解と測定は進んでいるとは言えません。しかし、組織が気候変動による経済的影響の範囲と規模について明確に理解できなければ、その財務実績にとり不利益となる可能性は否めません。

経済的また財政的なリスクに加え、気候変動に関連したリスクと機会をどのように管理しているか、投資家の期待に寄り添い、長期的且つ持続可能な企業価値の創生のためにも、企業がより情報を開示することが重要です。気候変動リスクと機会に関する企業の情報開状況を理解する上で、この報告書が役立つことを願っています。

下記、EY CCaSS Globalの原文レポートも併せてご確認ください。

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気候変動の開示が明らかにするビジネスリスクと機会

EYグローバル気候変動リスク・ディスクロージャー・バロメーターで、18カ国の500社を超える企業が開示した気候関連リスク情報を概観し、地域やセクターによる違いを分析しています。

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